日本語の面白い語源・由来(ろ-③)ロハ・狼藉・呂律が回らない・ろくでなし・ロボット

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ロハ

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.ロハ

ロハ

ロハ」とは、「無料。ただ」のことです。

無料を意味する「ただ」を漢字にすると「只」になります。
この「只」を分解してカタカナにすると「ロハ」になることから、「無料」のことを「ロハ」と言うようになりました。

ロハの語源には、ドイツのザクセン地方の方言「ロッハー」に由来する説もあります。
このロッハーは「気前がよく何でも気軽にふるまう人」という意味ですが、意味と音が「ロハ」に近いことから作られた後世の俗説です。

2.狼藉(ろうぜき)

狼藉

狼藉」とは、「乱暴なふるまい。物が乱雑に散らかっている様子」のことです。

狼藉は、中国の通史『史記 滑稽列伝』に由来する漢語です。
「藉」には「敷く」や「踏む」「雑」などの意味があり、狼藉はオオカミが寝るために敷いた草の乱れた様子から、物が散らかっている様子を意味しました。

「狼藉」の語が日本に入り、派生的な用法として「乱暴なふるまい」も意味するようになりました。

3.呂律が回らない(ろれつがまわらない)

呂律が回らない

呂律が回らない」とは、「酒に酔ったりして舌がうまく動かず、言葉がはっきりしないこと」です。

「呂律(ろれつ)」は、中国から伝わった雅楽の言葉「りょりつ(呂律)」が転じた語です。
音楽の基準とされた12音階のうち、「呂(りょ)」は陰の6音、「律(りつ)」は陽の6音を意味し、「呂」と「律」の音階が合わないことを「呂律が回らない」と言いました。

これが一般にも広まり、「言葉がはっきりしないこと」ことを「ろれつが回らない」と言うようになりました。

江戸前期の『男重宝記』には、「ろれつがまはらぬは、呂律也」とあります。

4.ろくでなし

ろくでなし

ろくでなし」とは、「なんの役にも立たない者。ろくでもない人」のことです。

ろくでなしを漢字で「碌でなし」と書くのは当て字で、本来は「陸でなし」と書きます。
「陸(ろく)」は、土地が平らなことから、物や性格がまっすぐなさまを意味する言葉です。

現代でも、平らな屋根を「陸屋根(ろくやね)」、水平の基準となる墨の線を「陸墨(ろくずみ)」と言い、「陸」が平らなことを表す言葉として残っています。

その「陸」を否定した「陸でなし(ろくでなし)」は、性格が曲がった人を意味します。
そこから転じて、役に立たない人を「ろくでなし」と呼ぶようになりました。

ろくでなしの語源には、数字の「六」に関連付けた「六でなし」の説も見られますが、俗説です。

5.ロボット/robot

ロボット

ロボット」とは、「人造人間。一連の作業を自動的に行うよう設計された装置(工業ロボット)」のことです。

ロボットは、英語「robot」からの外来語です。

「robot」は、1920年にチェコスロバキアの作家 カレル・チャペックが、機械文明の発達と乱用に対する批判をテーマにした戯曲「R・U・R(ロッサムの万能ロボットの略)」の中で用いた造語です。

この造語は、チェコ語で強制労働者を意味する「robotnik」、強制労働を意味する「robota」などの語幹に由来します。

この「robota」は、ドイツ語で「仕事」を意味する「Arbeit(アルバイト)」と同源の言葉です。