池波正太郎の仕掛人・藤枝梅安で歴史小説の面白さを知る

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必殺仕事人

1.仕掛人・藤枝梅安

私が歴史小説の面白さに目覚めたのは、池波正太郎の「仕掛人・藤枝梅安」を読んでからです。

現役のサラリーマン時代は、通勤電車の中では日経新聞にざっと目を通すのが習慣になっていました。

しかし、サラリーマン生活の「上がり」が見え始めると、日経新聞を読む熱意も失せ、ついには購読中止に至りました。

その結果空いた「通勤電車の中の自由時間」を利用して、「文庫本の読書」を始めました。

最初のころは、東野圭吾の推理小説や、浅田次郎・五木寛之の小説などを手当たり次第に読んでいました。

やがて、それらに飽きてきたころ、ふと手にしたのが池波正太郎の「仕掛人・藤枝梅安」だったのです。

これは、40年ほど前から藤田まこと主演で連続ヒットした「必殺仕掛人・必殺仕置人・必殺仕事人」などの「必殺シリーズ」の原作です。

「社会の巨悪に対して、正義の鉄槌をくだす」という筋立てが、人々の日ごろの鬱憤を晴らす、あるいは溜飲を下げさせるのに十分でした。

今の日本では、国民全般にそれほど社会への不満が鬱積しているとは思えませんが、お隣の韓国では、「財閥企業・一族の横暴」や「極端な学歴社会」「財閥企業のエリートとそれ以外の負け組との格差」に対する不満が鬱積しているように見えます。

韓流ドラマ」でも、このようなテーマが好んで取り上げられているようです。

2.鬼平犯科帳・剣客商売・真田太平記

その後、池波正太郎のその他の作品も次々に読破して行きました。まさに池波正太郎にハマったのです。「鬼平犯科帳」、「剣客商売」、「真田太平記」などを熱心に読みました。

「真田太平記」は、「鬼平犯科帳」や「剣客商売」ほどの人気作ではないかもしれません。

しかし、真田昌幸とその息子(真田信之と真田幸村)の史実と創作を巧みに織り交ぜた長編歴史ロマンで、「真田家存続に向けた真田父子の執念」のすさまじさが、とてもよく伝わってきます。

3.獅子

「真田太平記」の後日譚とでも言うべき「獅子」も、面白いですよ。この小説は、真田信之の隠退後の生涯を描いたものです。彼は93歳まで長生きし、死ぬ間際まで徳川方との駆け引きに「獅子奮迅」の大活躍をします。

一般に真田信之は、派手な真田幸村に比べて、地味で冷血な人物のように見られがちですが、家臣たちの信頼は極めて厚く、領民からも大変慕われる名君だったようです。

池波正太郎は、「獅子」をまず書き上げ、そのあとに長編の「真田太平記」の執筆に取りかかったそうです。順番が逆みたいですが・・・

興味をお持ちになられた方は、ぜひ読んでみてください。

4.関口宏の「知ってるつもり?!」

二十年以上前になりますが、テレビで関口宏さんが司会の「知ってるつもり?!」という「歴史教養番組」がありました。私は「歴史好き」でもあるので、よく見ていました。

そこでは、「有名な歴史上の人物」で、「一般に知られているのとは別の意外な一面、違う実像・実態をクローズアップ」して紹介したり、「当時、日本ではあまり知られていない人物」で、「その人が活躍し貢献した現地(海外)では大変感謝されている。現地ではみんなが知っている有名な日本人」の業績や人物像を紹介したりと、大変面白くかつためになる番組でした。

もともと、この番組は、司会の関口宏さんがプロデューサーに、「先人たちの生き方の中に、我々現代人が生きるヒントを得られるような番組」を作りたいと話したことから企画されたそうです。

かなり長く続いた番組でしたが、「ネタ切れ」になったのか終了してしまいました。こういう番組は、また息子の関口知宏さんを司会にしてでも復活させてほしいなと思う次第です。

「歴史小説」ではありませんが、「歴史小説の楽しみ」に通じるものがあると思い、ご紹介しました。