私はマジックが好きで、テレビの特番などがあるとよく見るのですが、「コインのグラス貫通マジック」などの「貫通マジック」は鮮やかな手際でいつも感心します。
しかし、本当に貫通するはずがありません。
では「種明かし」はどうなっているのでしょうか?
1.「コインのグラス貫通マジック」
(1)手順
①準備はコイン1枚とグラス1個を用意するだけです。
②グラスに仕掛けがないことを示すために、コインで何度かグラスをたたきます。
③コインを左手に置き、右手でグラスを持って、コインを2回たたきます。
④3回目にたたく時にコインを軽く上に投げ、グラスの飲み口の所に投げ入れます。
⑤コインがグラスの底に落ちたら動きを止めて、グラスの中にコインが入っているを観客に見せます。
⑥グラスの中のコインをゆっくり取り出して、コインにもグラスにも仕掛けがないことを見せます。
(2)種明かし
上の手順の④の赤字部分が「種明かし」です。「仕掛け」は何もなくて、「早業のテクニック」が必要なだけです。
なお、この一番シンプルな「コインのグラス貫通マジック」は最初の「つかみ」として披露されることが多いマジックですが、ほかに「グラスの中のコインを取り出す」パターンもあります。このパターンは、コインに接着剤を少しつけてグラスの外にくっつけておき、観客からは「コインがグラスの中に入っている」ように見せておいて、ゆっくりコインを剥がして見せあたかも「グラスを貫通して取り出している」ように見せるというもので、赤字部分が「仕掛け」です。
2.カードのガラス貫通マジック
(1)手順
①後ろに大きな窓ガラスがある所に立ちます
②トランプカード1セット(52枚+α)の中から、一枚のカードを選んでサインをします。
③そのサインしたカードを1セットの中に入れてシャッフルします。
④窓ガラスをトントンと叩いてガラスであることを見せた上で、その全てのカードを、後ろの窓ガラスに向けて飛ばします。
⑤すると、残りのカードはすべて地上に落ちてしまいますが、サインしたカードだけが後ろの窓ガラスの内側(向こう側)に張り付きます。
(2)種明かし
これは、あらかじめ「同じようにサインしたカード」を用意して「アシスタント」に渡しておくのです。
そして、④で「マジシャンが窓ガラスをトントンと叩く」のを合図に、「アシスタント」があらかじめ用意してあった「同じようにサインしたカード」を窓ガラスに張り付けるのです。
なお、テレビなどで「観客」にサインさせる場合は「アシスタント」に渡して「同じようにサインしたカード」を作る必要があるように思いますが、「観客」は通常は「サクラ」を使っており、あらかじめもう一枚のカードにサインしてもらっています。ぶっつけ本番の偶然の指名だと、そのカードをアシスタントに渡して、「同じようにサインしたカード」を作る必要が出てきますので、ほかの観客にトリックがばれる可能性が高いからです。