私も47年間のサラリーマン生活の中で、会社の親睦会の幹事や、社内ゴルフコンペの幹事などを何回も経験しました。その中での失敗談(一部は他人の失敗談)をいくつかご紹介します。
1.会社の親睦会
(1)旅行先の選定
毎年、1泊の「店部旅行」をしていると、「城崎温泉」とか「白浜ワールドサファリ」とか「倉敷」「飛騨高山」など似たり寄ったりの旅行先が多くなります。
上司からは、「何か今までにない新しい発想で考えてほしい」「旅行先の選定は幹事に任せる」という言葉があったりして、幹事としても悩むところでした。
そこで、ある年「大阪ベイエリア周遊」と銘打って「海遊館の見学、大阪湾クルーズをしながらフランス料理を楽しんだ後ホテルハイアットリージェンシーに一泊、翌日昼に現地解散」というプランを立てました。マンネリ化した有名観光地への旅行よりも斬新で良いプランだと思ったからです。
ところが、問題が起きました。一人の女性社員が夜10時になっても部屋に戻って来ないと幹事の女性から連絡があったのです。どうも恋人と外で会っていたようです。
大阪から離れた普通の観光地であれば、そのようなことも起きなかったでしょうが、大阪市内だとそういうことも起きるということです。参加者全員が無事に安全に宿泊していることの確認も幹事の大切な役割です。
私たち幹事は、彼女が事件や事故に巻き込まれた恐れもあるので、全員で手分けして、ホテルの周りや大阪南港の周辺を深夜まで捜索しました。件の女性は、結局深夜に無事に戻って来たので1件落着したのですが、大変な気苦労をさせられました。
(2)列車の切符
ある時、列車を使った店部旅行の幹事をしたことがあります。その時「切符」は各人がばらばらに持っていると落とす人がいたりすると思って、親切心から私がまとめて持っていました。
ところが、改札口から全員をホームに入れたあと、最後に私がホームに入りました。慣れない駅のため、私が乗るべき列車を間違えて違う列車に乗り込んだのです。しかし車内を見回しても、誰も知った顔がないので、間違えたと気づき、すぐに飛び降りました。
間一髪でセーフだったのですが、その間違った列車が発車してしまっていたらと思うとぞっとします。
(3)クリスマスパーティーの料理
ビュッフェ(バイキング)形式の場合、料理の量はふつう出席人数の8割程度に設定します。あまり食べない人もいて、どうしても残るので、決して10割は用意しません。
しかし、売れ残ってしまう料理が必ずある反面、値段が高くて人気のある牛肉や握り寿司などはすぐになくなってしまいます。すると幹事の方へ「料理が足りない」とのクレームが来ます。
(4)余興の景品
ビンゴゲームなどの余興をする時は、必ず景品を用意します。少ない親睦会費の中でやりくりし、経費を抑えるため、「到来品」を使うことがよくあります。私が幹事をしていたころは、テレホンカードの粗品が沢山余っていたので、それも使いました。
しかし、「またテレホンカードか」という不満や不平が私の耳にも聞こえてきました。幹事の苦労も知らないで、勝手なことを言う人がいることは、幹事を経験した人なら誰でも知っていると思います。「ミスや事故がなく満足のいく運営ができて当たり前」で、「ミスや事故あるいは不満が出ると、たちまち非難され責任を追及される」のが幹事のつらいところです。
2.社内ゴルフコンペ
(1)同伴競技者の組み合わせ
会社のボスの組み合わせには特に気を使います。ゴルフの上手なボスには、コンスタントに80台で回れるシングルプレーヤーでなおかつアテンドが上手な「太鼓持ち」のような人物と、幹事、および下手な若手を組み合わせます。
この場合、シングルプレーヤーには、ドラコンやニアピンでボスを上回らないようにそれとなく「忖度」をお願いします。また最初の組で回るボスが、もしドラコンやニアピンを記録した場合は、後ろの組の人にもボスを上回ることがないように(ボスにドラコンやニアピンを取らせるように)くぎを刺すことがあります。(私は不器用なので、そこまであからさまな忖度はできませんでしたが、睨みを利かせることができる幹事の人なら「わかってるやろな」の一言で十分です)
下手な若手を同伴競技者に入れるのは、ボスの優越感をくすぐり、気分良くラウンドしてもらうためです。特にボスがあまりゴルフの得意でない人の場合は、ボスより下手な人を入れる必要があることは言うまでもありません。
(2)幹事一括精算の問題
社内ゴルフコンペの場合、費用の精算は、「幹事一括」の場合が多いようです。これは昼食時の酒類の注文などで、上席者や幹事がまとめてする場合が多いですが、これを個人負担にすることは公平でないからです。
しかし、この「幹事一括精算」を悪用して、私的な物品の購入、たとえばタバコやボール、手袋の購入をする輩が時々います。しかもそれは、幹部などの上席者に多いのです。昼食の時にアルコールをいくら飲んでも咎められないのと同様と考えているのかもしれません。
幹事は、幹部には「寄付」をお願いする弱い立場ですし、部下でもあるわけです。ですから、幹事としては、幹部が私的に利用した分をあとで現金で支払うよう迫るのは土台無理な話です。
しかし、「寄付」を出しているからと言って私的物品の購入を潜り込ませるのは、「公私混同」のような気がします。ゴルフ場で現金払いが基本的に出来ないことを悪用したものです。
(3)飲み放題
プレー終了後の簡単な「表彰パーティー」では、「軽食とワンドリンク」というケースもたまにありますが、大体は「軽食と飲み放題」が多いようです。飲み放題だと、誰がいくら飲んでも気にする必要がないので、割高にはなりますが気楽なものです。
私が幹事をした時、「飲み放題は割高」だと考えて、飲み放題にしなかったことがあります。しかし、結果は飲み放題より高くついてしまいました。個別の飲み物代が高い価格設定である上、皆が飲み放題の感覚で遠慮なくどんどん飲んでしまったからです。
以上、私の「幹事失敗談」を、一部他の幹事の人の失敗談も交えてご紹介しました。皆さんが幹事をされる時の参考になれば幸いです。