最近、テレビや新聞の広告などで、「モンドセレクション最高金賞受賞」とか「3年連続モンドセレクション金賞受賞」とかを冠した商品の宣伝をよく見かけます。
以前にも、「世界菓子博覧会金賞受賞」とか、「総理大臣賞受賞」とかの宣伝がありました。
今回は、「モンドセレクション」と「審査の透明性」について考えて見たいと思います。
1.「モンドセレクション」とは
「モンドセレクション」は、「食品、飲料、化粧品、ダイエット、健康を中心とした製品の技術的水準を審査する民間団体で、1961年にベルギーで設立された団体」です。ベルギー連邦公共サービスの指導と監査を受け「モンドセレクション」が「認証」を与えるものです。
「出品手数料」は一つの商品につき15万円だそうです。
審査方法は、「ワイン」は「コンクールスタイル」ですが、他の品目は「コンクールスタイル」ではなく、企業から送付された商品を専門家や評論家が審査するスタイルです。審査基準は「味覚」「衛生」「原材料」などの項目の総合得点で、「最高金賞」「金賞」「銀賞」「銅賞」が授与されるとのことです。
つまり、ワイン以外は「相対評価」でなく「絶対評価」なので、一定基準に達した商品すべてに、それに相当する「賞」が与えられる仕組みです。
「モンドセレクション」は、国際的な知名度は低いですが、日本では有名です。2008年の日経MJによると、審査対象品の5割が日本からの出品で、うち8割が入賞しているそうです。
1966年に日清製菓のバターココナッツが3年連続金賞でトロフィーを受賞し、大々的に宣伝したことで一躍有名になりました。最近ではサントリーのプレミアム・モルツが「特別金賞を3年連続受賞」したことをテレビCMで流したことで広く認知されるようになりました。
2.審査の透明性
2017年は、2965製品中420製品が「最高金賞」、1368製品が「金賞」と過半数が金賞以上に認証されており、90%以上の2691製品が「銅賞」以上に認証されています。
テレビ東京は「ワールドビジネスサテライト」という番組で、「90%以上が何らかの賞を受け取れるのは多すぎるのではないか?」と報道しました。
「ワールドビジネスサテライト」がモンドセレクションの審査委員長に問いただしたところ、「質の高い物ばかり応募されてくるので、質の悪い物を見つける方が逆に難しい」と返答されたそうです。
2017年までは製品評価のスコアが非公開で、審査の正しさに疑念を持たれたことから、この報道をきっかけにして、初めて「評価シート」が導入されました。スコアが明示されて企業に配布されるようになったのです。
3.エージェントの存在
モンドセレクションに応募するには、英語かフランス語の申請書類を用意する必要があるほか、ベルギーに商品現品を送るための通関手続きや多数の書類が必要で非常に煩雑です。
そこで、これらの手続きを一括して代行するエージェントが日本には多数存在します。この「代行手数料」が、「出品手数料」をはるかに高い50万円から100万円に設定されているため、「モンドセレクションはお金で買える」という噂の一因になっているようです。
ネットで調べると、「モンドセレクション公認申請代行」の(株)ByThinkという会社の「公的機関認証を広告したい・・・とお困りの経営者様へ モンドセレクション公認のエージェントに全てお任せください!」という宣伝が出ています。受賞率は97%だそうです。
『売上向上効果の高い「モンドセレクション受賞実績」 モンドセレクションの受賞が「世界的なお墨付き認定」となり、商品の信頼度が飛躍的に向上し、商品の購買率を大きく押し上げることが期待できます。』
という宣伝文句が記載されています。