ピグマリオン効果・ゴーレム効果とは?プラセボ効果・ホーソン効果に類似

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ホーソン効果

皆さんは「ピグマリオン効果」「ゴーレム効果」という言葉をお聞きになったことがありますが?これはあまり知られていませんが、アメリカの教育心理学者のロバート・ローゼンタールの唱えた説です。

1.「ピグマリオン効果」と「ゴーレム効果」

(1)ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、「教師の期待によって、学習者の成績が向上する心理効果」のことです。「教師期待効果」とか「ローゼンタール効果」とも呼ばれています。

山本五十六」の教え方や「ほめちぎる自動車教習所」も、この効果を狙っているのではないかと思います。

ピグマリオン効果の名前の由来は、ギリシャ神話に遡ります。ピグマリオンとは、ギリシャ神話に出てくる彫刻家の名前で、彼は自らが彫った彫像に恋をし、神もその彫像に命を吹き込むという神話に由来するものです。

(2)ゴーレム効果

ゴーレム効果とは、ピグマリオン効果と反対に「教師が期待しないことによって、学習者の成績が下がる心理効果」のことです。

ゴーレム効果の名前はユダヤに伝わる物語が由来になっています。「ゴーレム」とは、「ユダヤに伝わる泥で出来た人形の名前」です。

ゴーレムには意思がなく、主人の操るままに動きます。しかし、額に描かれている文字の一部を消すことでただの泥に戻ってしまうのです。この様子が、「能力のある人が、他からの言葉や態度によってその力を発揮できなくなること」というゴーレム効果に重ねられたのです。

近年の研究では、ピグマリオン効果とゴーレム効果に対して、批判的な意見が多いようです。

確かに、教師や親の期待が大きければ、生徒や子供の成績が上がるのであれば、誰も苦労はしないというのが、私の正直な感想です。

過度の期待が重圧となって、かえって子供が学習意欲を喪失したり、引きこもりやノイローゼになることもあるでしょうし、逆に教師や親から期待されていなくても、自分から自発的に勉強する子供も少なくありません。

ビジネスの世界においても、上司と部下との関係でこのピグマリオン効果とゴーレム効果を説く「心理戦略コンサルタント」がいますが、あまり当てになりません。

ただ、上司と部下との「信頼関係」という意味では、「1on 1(ミーティング)」のような適切な対話を通して、部下の成長を促すとともに部下も上司の期待に応えるというウィンウィンの関係を築くことは可能だと思います。

また、私の中学時代を思い出してみると、中学3年の時の担任の先生は「人格者」で、その人の期待に応えるためにというわけではありませんが、感化されて勉強に熱が入ったという経験もあります。これは、ある意味でピグマリオン効果と言えなくもありません。

一方、自分は会社のためにと思って一生懸命頑張っていても、上司が自分の仕事や頑張りを全く評価せず、理解も関心も示さないので、虚しい気持ちになってモチベーションが下がったという経験があります。これなどは、「信頼関係」が元々全くないか、以前はあったとしてもその時点では完全に「信頼関係が崩壊している」状態で、ゴーレム効果と言えなくもありません。

2.「プラセボ効果」と「ホーソン効果」

ピグマリオン効果・ゴーレム効果と似た心理効果については、、プラセボ効果・ホーソン効果というものがあります。

(1)プラセボ効果

プラセボ効果とは、「効果のないはずの成分で作られた薬剤(偽薬)によってもたらされる心理効果」のことです。この心理効果により実際に症状が軽減されることがあるそうです。「偽薬効果」とも呼ばれます。

確かに患者が全幅の信頼を寄せている医者から、「この薬は大変良く効く薬だから」と言われて投薬されれば、暗示にかかりやすい人には効果てきめんかもしれません。薬漬けの予防や軽減に役立ちそうです。ただし、私のように疑い深い人間には効果がないと思いますが・・・

(2)ホーソン効果

ホーソン効果とは、「治療を受ける患者が、治療する医者に期待されていると感じることで、行動の変化を起こすなどして、結果的に病気が良くなる(良くなったように感じる、良くなったと患者に告げる)現象」のことです。プラセボ効果とよく似たものです。

ホーソン効果は、アメリカのウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で、労働者の作業効率向上のための調査の中で発見された現象であるため、このように呼ばれています。

この調査は、「工場の何を改善すれば一番効果的か」を調べるのが目的でした。その結果、労働者の周囲の人間や上司が関心を高めることが、物理的要因以上に効果のあることが判明したのです。人は一般的に関心を持つ人や期待する人の心に応えようとする傾向があるためだとされています。

いずれにしても、上記の「ピグマリオン効果」「プラセボ効果」「ホーソン効果」という3つの心理効果が正しく発揮されるためには、「お互いの信頼関係が存在していること」が大前提だと私は思います。

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