日本語の面白い語源・由来(い-⑪)家・許婚・一張羅・一大事・稲妻・痛み入る

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家

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.家(いえ)

家

」とは、人が住むための建物、住まい、家屋、生活の中心となる場所のことです。

家の旧かなは「いへ」で、語源は次のように諸説あります。

古くは「小屋」を指し、「小さな家」をあらわす「庵(いほり)」の「いほ」と同根とする説
「寝戸(いへ)」や「睡戸(いへ)」など、「い」が「寝る」を意味し、「へ」が「戸」に通ずるとする説
「い」は接頭語で「へ」は容器を意味し、人間を入れる器を表す説

2.許婚/許嫁(いいなずけ/いいなづけ)

いいなづけ

許婚」とは、幼い時から、双方の親の合意で結婚の約束をしておくこと、結婚の約束をした相手、婚約者(フィアンセ)のことです。

「フィアンセ」と言えば、最近何かとお騒がせの秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんとの「納采の儀(のうさいのぎ)(一般の「結納」に当たるもの)を行わないまま、「一方的な記者会見」を行っただけで「破談」にせず結婚に突き進んだことが物議を醸しましたね。

いいなずけ(いいなづけ)は、動詞「言い名付く(いひなづく)」の連用形が名詞化した語で、「許婚」「許嫁」は共に当て字です。

「言い名付く」は中世以降に用いられ始めた語で、上流武家の間で男性支配型の婚姻として嫁入り婚が成立し、婚約の慣例が生まれた頃とされます。

その後、許婚は親同士が結婚相手として約束する意味で用いられ、そのような婚約がほぼ無くなった現代では、婚約した当人同士が相手をいう言葉となりました。

その他、許婚の語源には「結納付け(ゆひのうづけ)」が転訛して「いひなづけ」となり、「いいなづけ(いいなずけ)」になったとする説もあります。

しかし、「名付け」に婚約の意味があったか定かではありませんが、「申し名付く」といった語系も見られ、近世には許婚と同じ意味で「名付け」が用いられた例もあることから、「結納付け」が転じたとする説は有力とされていません。

「名付け(なづけ)」に由来する言葉ですが、許婚(許嫁)の現代仮名遣いは「いいなずけ」です。

また、「許婚」の漢字を「きょこん」と読むのは間違いとされることもありますが、「許婚」には「きょこん」の読みもあり、間違いではありません。

3.一張羅/一丁羅(いっちょうら)

一張羅

一張羅」とは、持っている衣服の中で、最も上等のもの、一枚しか持っていない衣服のことです。

一張羅は「一挺蝋(いっちゃうらう)」が訛った語です。(「いっちゃうらう」は現代仮名では「いっちょうろう」)
一挺蝋とは、まだ蝋燭(ろうそく)が高価なものであった時代、予備のない一本だけのろうそくをいった言葉です。

そのため、現代でも「一張羅」を「一丁蝋燭(いっちょうろうそく)」という地方があります。

この「一挺蝋」から、江戸末期には「たった一枚の羅(うすぎぬ)」という意味で、「一張羅」が用いられるようになりました。

さらに、一枚しかない衣服の意味から転じ、持っている衣服の中で一番よいものも「一張羅」と言うようになりました。

4.一大事(いちだいじ)

一大事

一大事」とは、放置できない重大な事件・出来事、容易でない事態のことです。

一大事は、もともと仏が衆生救済のために、この世に現れるという重大事を意味する語でした。
一大事因縁」ともいわれ、仏が衆生を救うためにこの世に現れ、それによって成仏するという、最も大切な目的を意味する言葉です。

この「一大事」が一般にも広まり、重大な出来事を意味するようになりましたが、現在では主に悪い事態の場合に用いられています。

5.稲妻(いなずま)

稲妻

稲妻」とは、空中電気の放電によってひらめく火花のことです。

稲妻は、「稲の夫(つま)」の意味から生まれた語です。

古代、稲の結実時期に雷が多いことから、雷光が稲を実らせるという信仰がありました
そのため、稲妻は「稲光」「稲魂」「稲交接」とも呼ばれ、頭に「稲」が付けられます。

稲妻の「つま」は、古くは夫婦や恋人が互いに相手を呼ぶ言葉で、男女関係なく「妻」「夫」ともに「つま」と言いました。

雷光が稲を実らせるという信仰から、元来は「稲の夫」の意味です。しかし、現代では「つま」に「妻」が用いられるため、「稲妻」になりました。

語源的に考えれば「稲妻」と「雷」の違いは、「稲妻」が「光」で、「雷」が「音」です。

「稲妻」は秋の季語で、次のような俳句があります。

・稲妻を 手にとる闇の 紙燭かな(松尾芭蕉

・いなづまや 堅田泊りの 宵の空(与謝蕪村

・稲妻の かきまぜて行く 闇夜かな(向井去来)

6.痛み入る(いたみいる)

痛み入る

痛み入る」とは、相手の親切・好意に恐縮しながら、感謝の意を表す言葉です。皮肉を込めて言うことも多いようです。

「痛み入ります」は、動詞「痛み入る」の連用形「痛み入り」の丁寧な表現です。

痛み」は、申し訳ない、もったいないと思う心の痛みのことで、「痛み」のみでも相手の親切や好意に恐縮する意味で用いられました。

入る」は、状態の程度が非常に深いことを意味する語で、単独で「痛み」を用いるよりも、心の中まで深く染み入るほどであることを表しています。