老子の教えの「道」はあるがままに自然体で生きること。引退後の人生の指針です

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老子

皆さんは、古代中国の思想家・哲学者である老子の名前を聞いたことがあるでしょう。

「老荘思想」とか、「無為自然の哲学」、「道(タオ)」という言葉もご存じかもしれません。

孔子なら、「論語」があるからよく知っているけれど、老子には何があるんだろうとお思いの方も多いのではないでしょうか?

かく言う私も、恥ずかしながら老子については、「無為自然」「道」「無用の用」など断片的な知識しか持っていませんでした。

1.老子とは

老子(紀元前6世紀ごろ、生没年不詳)は古代中国の春秋戦国時代に生きた人で、周という国の書庫の記録官を務めていたそうです。

孔子が「礼の道」の教えを受けるために、老子を訪ねたこともあるそうなので、単なる役人ではなく、思想家・哲学者としても広く知られていたようです。

長く周の国で過ごしましたが、その衰えを悟り、周の国を去ることを決意します。周から西方へ向かう途中の関所で、関所の役人から「老子先生の思想をまとめた本を書いてほしい。」と頼まれ、「道徳経2巻」を書いて残していったということです。

2.老子の名言

(1)上善は水の如し

意味は、「最高の善は水のようなものである。万物に利益を与えながらも、他と争わず、器に従って形を変え、自らは低い位置に身を置くという水の性質を最高の善のたとえとしたもの」です。

一橋大学の同窓会の名前や政治家の会派の名称に「如水会」というのがありますが、これは老子の「上善は水の如し」(上善如水)や孔子の「君子の交わりは淡きこと水の如し」(君子交淡如水)から取ったものです。

(2)足るを知る者は富む

これには前後の文章があります。

人を知る者は智、自ら知る者は明(めい)なり。人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。足るを知る者は富み、強(つと)めて行う者は志有り。その所を失わざる者は久し。死して而(しか)も亡びざる者は寿(いのちなが)し。

意味は、「他人を理解するのは普通の知恵の働きだが、自分自身を理解するのはさらに優れた知恵の働きである。他人に勝つには力が必要だが、自分に打ち勝つには本当の強さが必要である。満足することを知っている人間は本当に豊かな人間で、努力を続ける人間はそれだけで目的を果たしている。自分本来のあり方を忘れないことが長続きするコツである。死にとらわれず、「道」に沿ってありのままの自分を受け入れることが本当の長生きである」です。

(3)天は万物を生みて所有せず、育ててこれを支配せず

「お天道様」という言い方があります。これは太陽の有難さ・偉大さを見事に表現していますが、老子の言葉の「天」は、「太陽」という意味ではなく「創造主」のようなものです。

毎年、春になると蝶が飛び交い、梅雨には蛍が舞い、夏になるとセミやキリギリスが鳴き、秋にはコオロギやスズムシ、マツムシなどの秋の虫が鳴きます。人間のように虫かごに閉じ込めたり、エサを特別に与えなくても、自然に成長し繁殖します。花も同じように四季ごとに美しい花を咲かせます。

これらの昆虫や花の営みを見ていると、老子のこの言葉が身に染みるとともに、「年年歳歳花相似たり 年年歳歳人同じからず」という詩句も思い出します。これは自然の悠久さと人間の生命のはかなさを対峙させて人生の無常を詠嘆したものです。

3.自由訳老子

孔子が、厳格に上下を律する教えであるのに対し、老子は、あるがままに自然体で生きよというおおらか且つゆるやかな教えであると、漠然と考えていました。

ところが、先日図書館で、新井 満著「自由訳 老子」という本を見つけたので、借りて読んでみました。

「自由訳」というだけあって、原文に忠実な訳ではないのですが、その「心」を意訳して、我々現代人にもわかりやすい平易な文章で書かれており、大変読みやすいです。

ぜひ、一読されることをお勧めします。

老子の教えは、現役のサラリーマン時代にはあまり向いていません。かえって害になるかもしれません。しかし、引退後の人生を送る上では、大いに参考にすべき考え方です。

現役のサラリーマン時代は、孔子の教えを基本としつつ、頭の片隅には老子の教えを置いておき、硬直的にならないようにするとよいでしょう。

新井 満氏の著書には、ほかにも「自由訳 千の風になって」というのがあります。

この「千の風になって」という歌は、数年前に大変よく歌われ、NHKの紅白歌合戦でも聞いた記憶があります。

この歌は、もともとアメリカの女性が作った詩を、新井氏が日本語で作詞作曲したものだそうです。

歌詞の内容も、共感できるところが多いですし、これもたいへんお勧めです。

「超訳 ニーチェの言葉」という本を、数年前に書店で見かけたことがあります。こちらは、立ち読みでパラパラと見ただけですが、今度暇ができたら読んでみようかと思っています。

もし、どなたか既にこの本をお読みになった方がおられたら、その感想などを教えていただければ幸いです。