「大阪都構想」は否決されたが、維新の会の力で地道に大阪改革の継続・推進を!

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大阪都構想区割り

<2020/11/2追記>「大阪都構想」が2回目も僅差で否決

2020/11/1の住民投票の結果、約1万7000票の僅差で再び否決され、「大阪都構想」が実現する可能性はなくなりました。

(1)今回も否決された要因

①現状維持バイアスが働いた

現在、大阪府も大阪市も知事・市長が「維新の会」の人物で強固な協力関係を構築しており、議員も「維新の会」が多数派を占めているので、現状の体制で徐々に二重行政を解消して行けばよいという考えの人が上回ったということです。

②反対派の「大阪市がなくなる」という危機感を煽る宣伝戦略が功を奏した

反対派は、「大阪市がなくなる」「住民サービスが低下する」「コストが増える」という危機感を煽る「都構想のマイナスイメージ宣伝」で多くの住民の共感を得たことです。

③都構想の内容がわかりにくかった

都構想の内容自体がわかりにくかった上に、出来上がりのメリットが必ずしも明確に示せなかったことです。

(2)大阪府知事・大阪市長の今後の進むべき道(私の提案)

議員定数削減と報酬引き下げ、職員給与引き下げ

今後は、「大阪府・大阪市」の議員定数削減と議員報酬引き下げ、「大阪府・大阪市」の職員給与引き下げを実現して、「大阪府・大阪市の住民税引き下げ」を実現してほしいと思います。

「赤字企業」に相当する大阪府や大阪市の職員は「中小企業平均以下の給与」でしかるべきで、議員をリストラするのも民間企業なら当然真っ先に手を付けることです。

二重行政のデメリットを徐々に解消

「大阪都構想」のようなドラスティックな改革は実現できませんでしたが、「維新の会」が多数派を占めている間に、地道に二重行政のデメリット解消に取り組んでほしいと思います。

職員にコスト意識と目標意識を徹底

「職員の人数が減ると住民サービスが低下する」とか「学力テストの成績を給与に反映させることに反対する」という意見のように、民間企業では考えられない「コスト意識・目標意識の欠如」が目に余ります。

「維新の会」の力で大阪府・大阪市の職員の意識を徹底的に鍛え直してほしいと思います。

<2020/9/3追記>「大阪都構想」の2回目の住民投票実施が決定

2020/9/3、「大阪都構想の協定書(設計図)」が大阪市議会で可決、承認されました。8/28には大阪府議会で承認済で、2回目の住民投票の実施が決まりました。日程は「10月12日告示、11月1日投開票」になる見込みです。9月7日にも「市選挙管理委員会」が決定します。

今年4月7日に「統一地方選挙」の投票が行われますが、大阪では「大阪府知事選挙」と「大阪市長選挙」が行われます。

大阪維新の会は、現職の松井大阪府知事と吉村大阪市長が府と市を入れ替えて立候補し、2人とも当選して「大阪都構想」の実現を「住民投票」の再実施によって目指しています。

大阪維新の会以外の自民党や公明党などは、法定協議会でも議論に入る前段階でもめている有様なので、大阪都構想も最終的に煮詰まった形のものがなく、わかりにくいというのが正直な感想です。

とかく「わかりにくい」と言われる大阪都構想ですが、今回わかる範囲でじっくりと考えてみたいと思います。

1.「大阪都構想」とは

(1)経緯

大阪市の人口は約266万人で、全国で2番目の大都市です。そのため、大阪市の権限は非常に大きく、大阪府と同じくらいの権限があります。

そのため、大阪市は大阪府と大阪市の「二極体制」のような形になっており、「二重行政」の無駄があったり、府と市の意見が食い違って足並みがそろわないという弊害もあります。

1956年(昭和31年)に大阪市が政令市に指定され、大阪府と同等の行政権限を持つようになってから、50年以上の長きにわたって「大阪府庁」と「大阪市役所」は「犬猿の仲」でした。

足の引っ張り合いをやって来た長い歴史を揶揄して作られた語呂合わせが「府市合わせは不幸せ」です。

そこで橋下徹氏を中心とする「大阪維新の会」が大阪府知事・大阪市長を歴任することによって、それを是正するための「大阪都構想」を提唱したわけです。

(2)概要

①大阪市を解体して、4~6つの特別区に分割する(東京都の23区と同様のイメージ)

つまり、今までの「大阪府と大阪市とそれ以外の府下市町村」体制から、「大阪府と5つの特別区とそれ以外の府下市町村」体制に変わるということで、「大阪都」が出来るわけではありません。

②年間2,200億円の「大阪市民」の税金は、「大阪府」に流出し、一部を残して後は大阪府民全体のために使用される

大阪市に莫大な税収があるため、多くの無駄遣いをしていた問題があるのです。ここに「大阪市民」や「大阪市職員・労組」、「大阪市会議員」の「既得権」の問題が出て来るようです。

③大阪市職員の給与削減を含めたあらゆる無駄な経費を削減する

たとえば、大阪市の市バスの運転手の平均年収は740万円だとか、運転手の5人に1人は1000万円を超えていたとの話もあります。これでは大阪市交通局が破綻するのも無理はありません。また大阪市職員のゴミ清掃員が、年収1500万円もあったと聞いたことがあります。

これには「大阪市職員・労組」の「既得権」の問題が出て来るようです。

④上の①~③の実現によって、大阪府の財政の立て直しが出来る

年間で4000億円の経費削減効果があるとも言われています。ただこれについては、もう少し詳細な試算の説明が必要だと思います。

⑤特別区の人口比率は、東京23区が7割であるのに対し、大阪4~6区は3割という問題が残る

ただ、この人口比率に関して言えば、「大東京」のように大阪も周辺の衛星都市を特別区に吸収して「大大阪」にすることを議論し、検討してもよいと私は思います。

当初、堺市を併合した大阪都構想があったようですが、竹山堺市長の反対により立ち消えになりました。竹山市長は今「政治資金問題」で窮地に立たされていますが、元は大阪府の幹部職員で橋下徹氏の応援を受けて堺市長に当選した人物です。

ただ、その場合も周辺の衛星都市の住民や「首長」、「市会議員」の「既得権」の問題が出て来ると予想されます。

2.「大阪都構想」のメリットとデメリット

(1)メリット

①「二重行政の解消」

無駄な支出が解消し、財政を黒字化出来る

②「区長の公選」

4~6つの特別区に分けて、それぞれの「区長」を選出することで、より地域住民の声が政治に反映されやすくなる

③「広域行政の一体性向上」

強大な力を持っていた大阪市の力をそぐことで、従来あった大阪市と大阪府の対立による行政の停滞や無駄を極力減らせる

④「コスト意識の向上」

大阪市職員と大阪府職員に「コスト意識」を徹底させるよい契機になる

(2)デメリット

①「再編コスト」

4~6つの特別区に移行するために約6百億円の「初期費用」がかかる

②「大阪市の財源の流失」

これにより、既得権を持つ反対勢力の激しい抵抗がある

③「行政サービス水準の差異発生」

<2019/12/10追記>「大阪都構想」基本方針案が2019/12/26採決へ

「大阪都構想」の制度設計を議論する「法定協議会」(法定協)が12/10開かれ、大阪府と特別区の財源配分について大阪維新の会と公明党が一致し、制度設計が事実上決着しました。

「淀川区(当初の東西区)」「北区」「中央区」「天王寺区(当初の南区)」の4区に分けた「大阪都構想」基本方針案が、12/26の法定協で採決されることになりました。維新・公明が過半数を占めていることから、可決は確実です。

「大阪府から特別区への財源配分」について、従来案では、大阪市が担う業務の一部を大阪府へ移管するのに伴い、市民税や固定資産税など市の年間収入約8600億円(16年度決算ベース)のうち、約2000億円を府へ移すという内容でした。これに対して公明党は11月の法定協で「住民サービスの維持・拡充」のために特別区への配分を増やすように求めていました。

従来案からの前進として公明党が評価したのが、大阪府から特別区へ10年間で370億円の財源配分をすることが盛り込まれたことです。内訳は「庁舎整備費やシステム改修費」が200億円、「市立高に対して市の一般財源から支出している経費」が170億円です。

今後のスケジュールは2020年1月から「協定書の作成」や「国との事前協議」を始めます。3~4月には住民の意見を聞く「出前協議会」を開催し、4~6月に「協定書をまとめる」予定です。

公明が賛成すれば、府・市両議会での過半数獲得は確実で、2020年11~12月にも「住民投票が実施される」予定です。

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