CASEとは、自動車産業に大変革期をもたらすキーワード!脅威かチャンスか?

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トヨタCASE

皆さんは「CASE]とか「CASE時代」という言葉をお聞きになったことがありますか?

まだまだ馴染みが薄い言葉ですが、これは近い将来自動車産業に大変革期をもたらすキーワードです。

今回はこれについて説明してみたいと思います。

1.「CASE」とは

CASE解説

「CASE」は「Connected」「Autonomous」「Shared & Services」「Electric」という四つの単語の頭文字を取ったものです。

この四つのキーワードは、「モビリティ革命」をもたらすとも言われています。

この言葉は、2016年10月に開かれた「パリモーターショー」で、独ダイムラーの社長であるディーター・ツェッチェ社長が新型EV(電気自動車)「EQ」発表の際に使った造語です。

この四つの言葉は、今の自動車のトレンドを並べただけですが、彼は「大切なのは、この4つを包括的に提供するパッケージだ。新ブランドのEQは、CASEに則ったビジネスを展開する」と述べました。従来の「自動車メーカー」から「モビリティサービスのプロバイダー」への変身を目指すことにしたわけです。

ダイムラー社長のCASE発表

(1)「Connected」(コネクテッド化)

これは、「ネットワークへ常時接続したつながるクルマ」という意味です。具体的には、車が通信端末を内蔵し、インターネットなどを活用して常に車外と情報をやり取りできるようにする技術です。

車両の状態や周囲の道路状況など様々なデータをセンサーによって取得し、ネットワークを介して集積・分析することで様々な価値を生み出すというものです。

従来からある「GPSカーナビ」は「一方通行の接続」でしたが、CASEにおいては、人工知能(AI)がデータを高次元で分析し、ドライバーに有益な情報をリアルタイムで提供する「相互接続」となります。たとえば「駐車場の空き状況を把握して専用アプリに送信してくれる」サービスなどです。

(2)「Autonomous」(自動運転化)

これは、現在盛んに実証実験が行われている「自動運転車」の技術です。俳優の香川照之さんが助手席に乗って高速走行する自動運転車の技術に驚くトヨタのCMでもお馴染みですね。

「自動運転」については、公道実験での事故発生の報道もあります。安全性の向上や、技術の更なる向上が今後とも必要だと思われます。

現在のところ、自動車メーカー各社は「自動運転レベル2」(部分運転自動化)技術を導入しています。独・アウディの上級セダンや米・GMの新型キャデラックには「自動運転レベル3」(条件付き運転自動化)技術を搭載していますが、法整備などの環境が整わず、運用は「自動運転レベル2」にとどまっています。

「自動運転レベル4」(高度運転自動化)や「自動運転レベル5」(完全運転自動化)へとレベルアップして、高速道路における完全自動運転が実現すれば、長距離輸送の多いトラック業界での長時間労働や人手不足問題が大きく改善します。

(3)「Shared & Services」(シェア/サービス化)

これは、自動車の共有化を進めようとする取り組みです。

「カーシェアリング」や「ライドシェアリング」と呼ばれるもので、クルマを「所有する」から「共有する」への認識の変化を促すものです。俳優の佐藤浩市さんと松田翔太さんが出演するトヨタKINTOのCM「定額なる一族」でも強調されていますね。「クルマのサブスクリプション」ということです。

レンタカーはカーシェアリングへ、タクシーはライドシェアリングへの移行が進み、その一部はロボタクシーに置き換わり、「モビリティサービス」で移動する頻度が高くなることが見込まれます。

(4)「Electric」(電動化、電気自動車)

欧州・中国・アメリカで電動化した新車販売が加速しています。自動車の電動化は、環境問題の観点から、欧州を起点としてガソリン車・ディーゼル車の販売規制の動きが急速に広まっています。

2.CASEは脅威かチャンスか?

(1)脅威

①自動車メーカー

今後「マイカー」を購入する人が減少することが予想されます。

また、「ガソリン車」や「ディーゼル車」の販売規制強化が見込まれます。

需要が「個人中心」から「法人中心」に移行するため、「いいクルマの基準」の変化も予想されます。従来の「運転しやすい」「加速しやすい」「所有することにステータスを感じる」から、「呼べばすぐに来る」「車内のクォリティーが高い」「特定の用途に対して使いやすい」「メンテナンスしやすい」「シートの汚れを落としやすい」などへ変わっていきます。

少なくとも、CASEを意識せず、旧態依然たる自動車メーカーにとどまっている会社には脅威と言えるでしょう。

②保険会社

保険会社にとっても、自動運転による事故の減少や、マイカーの減少で減収となります。さらに完全自動運転になれば、交通事故の責任は自動車メーカーになる可能性もあり、交通事故の責任が運転者側にあることを前提に組み立てられた自動車保険は不要となる可能性もあります。

③ガソリンスタンドやマイカー向け駐車場経営

電気自動車が普及すれば、ガソリンスタンドの倒産も増加するでしょう。マイカー向けの駐車場経営にも悪影響を及ぼすことでしょう。

(2)チャンス

①トヨタのCASEを意識した事業展開

「従来のクルマを作る会社から、モビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」ことを宣言したトヨタは、CASEを意識した事業展開を図っていく構えです。

2018年10月4日のソフトバンクとの共同出資会社「MONET Technologies」(モネ テクノロジーズ)の設立記者会見の席で、豊田章男社長は「100年に一度の大変革時代を迎えているが、その変化を起こしているのはCASE]と話し、「コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化といった技術革新によってクルマの概念が大きく変わり、競争の相手も競争のルールも大きく変化している。これからのクルマは、あらゆるサービスとつながることによって社会システムの一部となる」との考えを示しています。

またトヨタは2019年9月には、スバルへの出資比率を現状の約17%から20%以上に引き上げ、「持ち分法適用会社」にする方針を発表しました。資本関係をより強固にして自動運転技術などを共同開発し、次世代車を巡る世界規模の競争に対応する構えです。

②「自動運転化」は「交通弱者」の救済に役立つ

日本は少子高齢化や過疎地における「交通弱者」の問題もあり、「自動運転化」は大きなチャンスになりそうな気がします。

「ロボシャトル」(無人運転路線バス)のような無人で動くモビリティサービスが実現するのは、2030年頃でしょうか?少なくともそれほど遠い将来の話ではないと思います。