<2024/2/17追記>2月18日からNHKで全10話のドラマ「舟を編む」始まる
【あらすじ】 大人気ファッション誌の編集部員・岸辺みどり。雑誌の廃刊が決まり、突如異動になった先は辞書編集部!そこは、ぼさぼさ頭で超がつくほどの生真面目上司・馬締光也を筆頭に、くせ者ぞろい。
みどりは、彼らに翻弄されながらも、一冊の辞書を作るために十数年間に及ぶ時間と手間をかける根気と熱意に触発され、次第に自らも言葉の魅力を発見、辞書編さんの仕事にのめり込んでいく。辞書「大渡海」を完成させるまでの、辞書編集部員たちの奮闘物語。
【放送予定】2024年2月18日(日)スタート〈全10話〉毎週日曜よる10時~10時49分(NHK BSプレミアム4K・NHK BS)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美(全話) 塩塚夢(第5話共同執筆)
【音楽】Face 2 fAKE
【演出】塚本連平 麻生学 安食大輔
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 ほか
【制作統括】高明希(AX-ON) 訓覇圭(NHK) 【プロデューサー】岡宅真由美(アバンズゲート) 西紀州(AX-ON)
前に「国語辞典を読む」楽しみ方を紹介する記事を書きましたが、三浦しをんさん原作の「舟を編む」という面白い小説があります。2012年の「本屋大賞」受賞作品です。松田龍平さん主演で映画化もされたので、ご覧になった方もあると思います。アニメ化もされています。
これは辞書編集者の話で、「玄武書房」に勤める変人編集部員の馬締光也が、新しく刊行する辞書「大渡海」の編纂メンバーとして、辞書編集部に迎えられ、個性豊かな編纂者たちと辞書の世界に没頭して行く物語です。
「大渡海」の由来は、「辞書は言葉の海を渡る舟で、編集者はその海を渡る舟を編んで行く」という意味で名付けられたそうです。
この主人公馬締光也のモデルは、1959年に三省堂に入社し、1970年代の倒産を乗り越えて再生三省堂で25年間の歳月をかけて「大辞林」を完成させた倉島節尚氏と言われています。
しかし、私には、「新明解国語辞典」の編集者たちをモデルにしているような気がしてなりません。
と言うのは、馬締が語釈を任された『恋』が、『ある人を好きになってしまい、寝ても覚めてもその人が頭から離れず、他のことが手につかなくなり、身悶えしたくなるような心の状態。/成就すれば、天にものぼる気持ちになる』とあり、「新明解国語辞典」の「恋愛」の語釈と酷似しているからです。「大辞林」も「新明解国語辞典」も三省堂の辞書なので、倉島節尚氏はひょっとすると、「新明解国語辞典」の編集にも携わっていたのかも知れません。
話は変わりますが、以前ある辞書でこんな説明に出くわしたことがあります。「A」と「B」という二つの言葉があり、「A」「B」は同じ意味を持つ言葉です。ところが、「A」の項を見ると、「Bに同じ」とあり、「B」の項を見ると、「Aに同じ」とありました。これでは「堂々巡り」で「A」「B」が同じ意味とわかるだけで、肝心の言葉の意味がわかりません。
詳しいことは忘れましたが、多分「A」も「B」も説明するまでもない簡単な言葉だったのだと思いますが、辞書としては「失格」です。辞書の編集には多くの人が携わり、膨大な言葉を分担して語釈を作成していますので、「A」と「B」を担当した編集者同士の連絡・連携不足(どちらの担当者が、具体的な語釈を書くのか不明確)が原因だと推測できます。
最終的な「校正・校閲」でも見落とされたのでしょう。野球選手同士の「譲り合い」、バレーボール」の「お見合い」のようなものです。逆に「A」と「B」の担当がそれぞれ異なる語釈を書いて、読者が矛盾を感じたり混乱するのもまた問題ですが・・・
舟を編む [ 三浦しをん ]
舟を編む [ 松田龍平 ]
さらに悩ましい国語辞典 辞書編集者を惑わす日本語の不思議! [ 神永暁 ]
辞書編集、三十七年 [ 神永 曉 ]
4辞書・事典の活用術 (辞書・事典のすべてがわかる本) [ 倉島節尚 ]