10月6日にメガバンクのみずほフィナンシャルグループが、今年12月から「週休3日・4日制」導入を検討していることを明らかにしました。
この問題は、一つの金融グループの話にとどまらず、他のメガバンクグループなどにも波及する可能性もあり、預金者や取引先企業にとっても関係のある問題です。
そこで今回は、この「週休3日・4日制」導入のメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
1.みずほフィナンシャルグループの「週休3日・4日制」とは
(1)制度の概要
①制度の対象は「希望社員のみ」
対象者は「みずほFG、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、みずほ総合研究所、みずほ情報総研」の計6社の「正社員」約4万5千人
②週休が増えるにしたがって「基本給も減額」
「週休3日」で8割程度、「週休4日」で6割程度となる見込み
③「労働組合の合意」が前提
なお、「週休3日・4日制」を利用した後でも、希望すれば再び「週休2日制」に戻ることも可能とのことです。
(2)導入の狙い
みずほフィナンシャルグループによれば、導入の狙いは次の通りです。
休日を利用して自己研鑽やスキルアップにつなげてほしいと考えている。また介護や子育てなど、柔軟な働き方を進める一環でもある。
(3)導入の背景
ただ、現実には「人件費の抑制」や「社員の副業促進」が狙いではないかと見られます。日銀のマイナス金利政策の長期化で総資金利ザヤが稼げなくなり、金融サービスを提供する異業種の新興企業が台頭する中、金融機関の経営は厳しくなっています。
うがった見方をすれば、解雇や退職勧奨などのリストラが難しいため、「週休3日・4日制」によって「実質的なリストラ」を図ろうとしているとも言えます。
2.「週休3日・4日制」導入のメリット・デメリット
(1)メリット
①社員が介護や子育てと両立させる柔軟な働き方ができる
②兼業(副業)を考えている人は開業しやすくなる
③働きながら大学院やビジネススクールで学んだりすることができる
④多様な働き方を認めることで社員の意欲を高めるとともに、優秀な人材を確保できる
(2)デメリット
①兼業(副業)しても、従来と同レベルの収入を得ることは難しい
2020年現在のみずほ銀行の平均年収は735万円(平均年齢は38.2歳)です。単純計算で、週休3日なら年収は588万円、週休4日なら441万円となります。
兼業(副業)であれば、1日あたり3万~4万円の収入を継続的に得られなければ、従来と同レベルの収入が得られません。
②体のいい実質的なリストラ
③社員にとって出世にマイナスになる恐れがある
④「週休3日・4日制」の社員をカバーするために、「週休2日制」の社員の負担が増える
⑤社員への周知・伝達や社員相互の意思疎通に支障が生じる恐れがある
⑥預金者や取引先企業は、担当者の休みが多いと相談・打合せなどがスムーズに出来なくなる
このように見てくると、デメリットの方が多いように私には思えます。果たしてこの制度は定着あるいは効果を発揮するのでしょうか?今後ともウォッチして行きたいと思います。