自民党総裁候補の石破茂氏はどんな人物?政策や主張は?3年間日本を託すに足る

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石破茂

1.石破茂氏とは

64歳の石破茂(いしば しげる)氏(1957年~ )は、慶応義塾大学法学部卒の衆議院議員(11期)です。血液型B型

防衛庁長官(第68代・第69代)、防衛大臣(第4代)、農林水産大臣(第49代)、自由民主党政務調査会長(第52代)、自由民主党幹事長(第46代)、内閣府特命担当大臣(国家戦略特別区域)、内閣府特命担当大臣(地方創生)、さわらび会会長、無派閥連絡会顧問、自民党たばこ議員連盟副会長、水月会会長などを歴任。

父は、建設事務次官、鳥取県知事、参議院議員、自治大臣などを歴任した石破二朗です。

2.政策や主張

(1)外交・安全保障

①徴兵制は違憲

市民社会と軍隊が、かけ離れた存在とならないよう、市民が軍隊という組織を実感して理解するという意味で、徴兵制度の利点を認める発言をしていますが、日本での徴兵制の導入については、国会答弁で、政府見解と同じく、日本国憲法第十三条の「幸福追求権」や、第十八条の「意に反する苦役」の趣旨からみて、違憲との見解を示しています。

②自衛隊の機動的運用

自衛隊を機動的に動かせるような法改正を繰り返し主張しており、特に北朝鮮有事の際の邦人救出の必要性を強調しています。2008年の自民党総裁選挙に立候補した際は「動乱が起き、北朝鮮の(日本)国民が逃げなきゃいけない時でも自衛隊は(国内法の制約で)助けに行けない。そんな国でいいのか」と述べています。2013年1月27日には、同月に発生したアルジェリア人質事件を受けて、「日本人の生命、財産を守るのは国家の当然の責務。必要最小限の武器使用は(憲法が禁じる)武力行使ではない」と述べ、在外日本人を緊急時に自衛隊が救出するために武器使用基準を緩和すべきと主張しました。

③海兵隊の必要性

2010年5月23日、テレビ番組で「将来的に日本のような島国に、海兵隊が無いのはおかしなことだと思っている」と述べ、日本も海兵隊を持つべきだと主張しました。また、日本が海兵隊を持った場合、日本の海兵隊がアメリカ海兵隊と共同で活動する可能性にも言及しました。

④外交問題で硬軟織り交ぜた見解

外交問題では硬軟織り交ぜた見解を表明しており、朝日新聞社の論壇誌『論座』にも寄稿して保守強硬派を批判しています。

⑤テロ対策の法整備

2015年11月に発生したパリ同時多発テロ事件を受けて、共謀罪を含む日本国内のテロ対策に向けた法整備に関して「不十分なままだと日本がテロ活動の抜け道、抜け穴になりかねない」と指摘。また、国際組織犯罪防止条約を日本が批准していないことについて「批准していないのは北朝鮮とイラク、あと何カ国だけだ。日本さえ良ければいいということにはならない」と述べ、共謀罪の創設と条約の早期批准を必要とする考えを示しました。

⑥憲法9条

2019年11月には、憲法9条について、戦力の不保持を定めた9条2項を削除し、軍隊の保持を定めるべきだ、と改めて主張し、「(軍隊に)最高の名誉と規律を与え、文民統制を徹底すべきだ」としました。

(2)農政

①元々は農水族

初入閣は防衛庁長官であり、防衛庁長官・防衛大臣を通算で3年以上務め、政調会長就任後も予算委員会では主に外交・安全保障を中心に質疑を行っていたため外交・安全保障の政策通の一面ばかりが注目されがちですが、元々は農水族であり、農水政務次官を2度務めました。自身の農政への取り組みについて、「農家から防衛しか知らないと思っていたと言われた、農林水産問題を語ってもメディアが報じてくれない」と述べています。

(3)経済

①財政再建派

経済成長よりも財政再建を重視する財政再建論者です。財政健全化を憲法に明記することを提案しています。

2017年11月の講演では、「税収以上のお金を使うと、借金が増えて次の世代は大変になる」と発言し、安倍晋三首相の経済財政運営に疑問を呈しました

②消費税

消費税の引き上げに賛成しており、自身の政権構想について問われた際は「消費税率を10%に上げる日は早ければ早いほどいい」と発言していました。

③TPP

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉について「参加しない選択はあり得ない」と述べ、交渉参加に賛成する考えを示しており、自身のブログにおいて「総選挙において『わが党が政権を担当すればTPP交渉からは直ちに離脱する』とでも公約するつもりなのか。そこまでの覚悟があるのならそれはそれで構いませんが、私はそのような公約をすることには反対です」と表明していました。一方で「国益を損ねて、重要産業を壊滅させてまで(TPP交渉を)まとめる必要性はない」と述べ、「安易な妥協はすべきでない」という見解を表明しています。

(4)歴史認識

①太平洋戦争

太平洋戦争(大東亜戦争)について、「政府の総力戦研究所が日米戦争のシミュレーションで日本必敗の結論を出して、政府中枢にも報告しているのに、勝てないとわかっている戦争を始め、何百万という国民を死に追いやった責任は厳しく問われるべき」、「昭和天皇の質問にも正確に回答せず、国民に真実も知らせず、国を敗北に導いた行為がなぜ「死ねば皆英霊」として不問に付されるのか理解できない」と述べ、当時の日本の指導者たちを批判しています。

あわせて、東京裁判に対しては、「平和に対する罪」などが事後法である問題等を踏まえた上で、それでも裁判自体を受け入れたからこそ今日の日本があるとの見解を示し、さらに、東京裁判を受け入れることと、戦前の日本は全て間違いと断罪するのは決して同義ではない。逆に、東京裁判が法的に無効とする立場の人たちからは、戦前の日本にまったく誤りがなかったのかという議論が見受けられないと述べ、「すべてが間違ってる、あるいは正しい」といったような極論の、自虐史観と一部の保守派の史観の両方を批判しています。

②南京事件

南京大虐殺とも呼ばれる南京事件について、「少なくとも捕虜の処理の仕方を間違えたことは事実であり、軍紀・軍律は乱れていた。民間人の犠牲についても客観的に検証する必要がある」との見解ですが、「大虐殺」があったとは発言していませんし、従軍慰安婦問題でも、「狭義の強制性(軍や官憲による強制連行)があった」などとは一度も発言していないと述べています。

③靖国参拝

総理をはじめ政治家の靖国参拝や、「東京裁判は誤りで無効」「大虐殺はなかった」「狭義の強制性はなかった」といった行為や歴史認識に対して、政治家がそのような行為や発言をすることが果たして日本の国益となるのかと、現に外交上問題となった例を挙げて疑問を呈し、日本に真の共感を持つ国を増やして国益を守るのが政治家の務めと述べ、加えて、靖国参拝については、戦死者との約束の一つは天皇が靖国に親拝することであり、政治家が参拝することが事の本質ではないとし、後者の歴史認識については法律家や歴史家が主張すべきことであって、政治家の役割はそうしたことができるような環境を整えることだと主張しています。

実際に石破氏は、2002年の防衛庁長官で初入閣以降は靖国神社に参拝していません。地元の護国神社には毎年8月15日に参拝しています。

また、靖国神社からの「A級戦犯の分祀」を主張しています。

④村山談話

2013年5月、高市早苗・自由民主党政調会長が「村山談話に違和感を覚える」と発言した際に「誤解を招く発言は厳に慎んでもらいたい」と苦言を呈しました。

(5)皇室

①天皇特例会見問題

2009年12月の天皇特例会見問題では、石破氏が委員長を務める「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」は民主党政権の対応を「陛下の政治利用にあたる」と指摘しました

石破氏は民主党政権の対応を「かなり異例」「大事じゃない国はルール通りだが、大事な国はひっくり返して会見するのは政治判断だ。そういうことをしていいのか」「(ルールが)時の政府の意向で左右されることであってはいけない」と民主党政権を重ねて批判しました。

②民主党の「天皇の政治利用に関する見解」批判

2010年2月25日、鳩山由紀夫内閣が天皇の公的行為に関してまとめた統一見解に関し、官房長官の平野博文(当時)が記者会見で「本来、憲法で言っている概念からいくと、天皇は国政に関する権能を有しないので、政治利用が存在することはあり得ない」と述べ、天皇の政治利用はそもそも存在しないとしたことに対し、石破氏は「ルールはいらないというなら、憲法の趣旨や陛下の立場を無視した考えられない見解だ」と述べました。

③生前退位容認

2016年8月8日の明仁天皇の、象徴としての務めについての発言を受けて、天皇の譲位を認めるべきとした上で、皇室のあり方について以下の考えを示しています。

④女系天皇容認

将来的に皇族は悠仁親王ただ一人になってしまう可能性は否定できず、男系男子のみで皇位を継承し続けることは不可能に近い。皇室の安定的な継続を考える上で、このことに対しての議論を避ける訳にはいかない。旧宮家の復活案もあるが、一般国民として長く人生を送ってきた人物を皇位継承者とすることは妥当性に疑問がある。皇室が途絶えることは、日本の国体そのものの滅失を意味するものであり、男系男子の皇位継承を基本としつつ、女系天皇の可能性も敢えて追求するべきとの立場です。

(6)外国人参政権に反対

2010年の自由民主党大会で、永住外国人への地方選挙権付与について、「憲法上の議論が多く残り、国民的議論も成熟していない。私どもは拙速な法案成立に断固反対する」と述べ、党として法案に反対する考えを表明、また「(憲法上の)住民とは日本国民をさすと考えており、私どもは多くの疑義があると考えている。国の形そのものにかかわる問題だ」との考えです。

(7)同性婚・同性パートナーシップ制度導入に前向き

「活力ある社会を創るためには、広く多様性を認め合うことが必要」と制度の導入に前向きな姿勢を示しました。

(8)選択的夫婦別姓制度

2010年3月3日の記者会見で、民主党が目指す選択的夫婦別姓の導入を含む民法改正案について「これを待ち望む人々のニーズに応えながら、法案には反対だという姿勢を示したい」と述べ、自民党内の選択的夫婦別姓に賛同する動きについて「党内には(民主党が推進する選択的夫婦別姓の)問題点が理解されず、『まあ、いいじゃないか』という風潮があるのも事実だ」と述べていましたが、2018年10月22日に選択的夫婦別姓訴訟の弁護団と会談を行い、改めて選択的夫婦別姓の導入に賛成の意思を表明しました。

(9)子ども手当

民主党の政策である子ども手当について、子どもを母国に残した在日外国人も対象になっていることに触れ「(在日外国人であるが)子どもさんは国外にいる。そして、子どもさんは日本国籍を有していない。どう考えても、こういう方々に対して、日本国民の税金を使って支給すべきではない」と述べました。

(10)移民政策

加速度的に進む、日本の人口減少と高齢化の中において、将来的に限定的な移民の受け入れを進めるべきと主張しています。

その上で、日本人が嫌がるような仕事を外国人にさせるというような考えを持つべきではないし、日本人と同じ仕事ならば賃金も一緒でなければならないと述べ、加えて、医療や年金などの社会保障の考慮や、言語や習慣などにお互いが違和感を持つようなことがないような施策が必要との考えを示しています。

(11)防災

2016年に発生した熊本地震や鳥取県中部地震などを踏まえ、「日本全体のあらゆる防災体制を一元的に管理する組織が必要だ」として、災害対応を専門に行う『防災省』の設置を検討するよう主張しました。

また、自身が率いる石破派の会合で、旧国土庁防災局が省庁再編により内閣府の一部になったことや、河野太郎防災担当相(当時)が国家公安委員長や消費者担当相の兼務で負担が大きいと指摘し、そのうえで、「防災省のようなものをつくり、専任の大臣をおいてはどうか。危機管理は最悪の事態を想定し、どんな法律を用意し、組織を動かし、情報発信していくかシミュレーションするのが常識だ」とも述べました。

(12)獣医学部新設

2017年6月26日、政府の国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設計画を巡り、安倍晋三首相が「全国展開を目指したい」と表明したことに対し、「(家畜を診る)産業用獣医師などの処遇を改善する方が、公費の使い道としてはいいのではないか」と共同通信の取材に答えました。

また、福井市で講演した際には、「これまで獣医学部をつくってこなかったのは、税金のむだづかいを無くし、需要と供給のバランスを取るためだ。安倍内閣で閣議決定した、新設のための4つの条件を満たしていなければ、どんな人であっても認めてはいけない」と指摘しました。

(13)受動喫煙

受動喫煙防止を目的に飲食店などの建物内を原則禁煙とする改正健康増進法について反対しており、2017年1月12日に日本フードサービス協会など5団体が出席して行われた受動喫煙防止強化に対する緊急集会において、「一律に禁煙というのはあまりにも乱暴な考え方」と持論を展開し、「個人の価値観や楽しみをまで否定する社会がいいとは思わない」と述べています。

3.エピソード

①キリスト教徒(プロテスタント)

②キャンディーズ(かつての女性アイドルグループ)の大ファン

③軍事愛好家

自民党きっての外交・安全保障の論客、政策通で知られ、「軍事オタク」や、「防衛オタク」などと呼ばれることもあります。ミリタリー系プラモデルの愛好家でもあります。

④鉄道愛好家

4.きちんと「政策論争」をした上で、その結果を見て総裁を選ぶのが筋

きちんと「政策論争」をした上で、その結果を見て総裁を選ぶのが筋で、派閥の論理(永田町の論理)で事前に「誰々を支持する」と決めるのは順序が間違っていると私は思います。

今の中堅・若手議員はそのことに気付き始めたようで、かつてのような「派閥による候補者一本化」という厳しい締め付けはなくなり、「事実上の自主投票」になりそうな雰囲気です。

現時点での「世論調査」の結果は、あくまでも「知名度」や「人気度」に過ぎません。今後「政策論争」が行われれば、「付け焼刃の政策」しかない候補者は化けの皮が剥がれ、ボロが出てくるはずです。そうすると世論も「こんな候補者には日本を任せられない」と気付くはずです。

石破氏も、きちんと自分の政策を「公開討論会」や「ブログやYouTube、TwitterなどのSNSでの発信」で、多くの国民に広く知らせるべきだと私は思います。

そうすれば、国民も馬鹿ではありませんので、「世論調査」の支持率も高まり、それを見て中堅・若手議員も態度を決めるはずです。

候補者の第一声となる所見発表演説会を17日に開催。新型コロナを考慮して、出席者を党執行部や候補者の応援議員(各20人)に限定し、インターネットでライブ中継するそうです。20日には党青年局・女性局主催の討論会を予定しており、オンラインで党員と質疑応答を行うとのことです。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、候補者がそろって全国を回る地方遊説は見送り、替わりに、候補者と国民が直接対話するオンライン形式の政策討論会を初めて実施することになりました。

この「オンライン政策討論会」は「国民の声に応える政策討論会」と銘打ち、23~26日の4日間にわたり開催するそうです。それぞれの日にコロナ対策、外交や安全保障、防災・減災、憲法改正といったテーマを決め、抽選で選ばれた質問者と候補者がオンラインで質疑応答を行うとのことです。

石破氏は出馬するか否かの態度を明確にしていませんが、2021年9月6日のBS-TBSの「報道1930」では、内に秘めた意欲を滲ませていました。

噛んで含めるような独特の語り口で、含蓄のある話をするので、他の候補の浅薄な饒舌に比べて説得力があります。私とは意見の違うところもありますが、これからの日本を託すに足る政治家なのでぜひ出馬を決断してほしいものです。そして、他の候補者としっかり「政策論争」を戦わせてほしいと思います。

笑うと可愛いのですが、普段の睨むような目つきが気になります。中国やロシアに「睨みを利かせる」には打って付けかもしれませんが・・・

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