時間にまつわる面白い話(その1)。13まである時計・天上界と人間界・ジャネーの法則

フォローする



13まで表示のある時計早稲田予備校

どの人間にも、1日は24時間しかありません。王様や金持ちだからといって多いわけでもなく、乞食や貧乏だから少ないわけでもなく、全く平等です。

私が現役サラリーマンの頃、「腕時計を常にわざわざ5分進ませている」同僚がいました。彼はそうすることで、「5分得したような気分になる」「約束の時間に遅れないようになる」「時計を見て、『遅れた』と思っても5分進んだ時計なので安心する」と話していました。

その人の「気分」の問題で、わかるような気もしますが、なぜわざわざそんなややこしいことまでするのか釈然としませんでした。

1.早稲田予備校の「13まである時計」


私がまだ高校生だった時に、「某予備校には『13時まである時計』がある」という話を聞いたことがあります。これは現実には24時間しかない1日を、26時間あるように見せて、「まだ2時間勉強する時間があると受験生に錯覚させて安心させる」とか、「受験生の集中力を高めさせるために1時間を55分としている」のではないかと想像していました。

ただ、「そんな奇妙な時計をわざわざ特注しているのだろうか?」と疑問に思っていました。

ところが、実際にそのような時計をビルの壁面に掛けている予備校があることを最近知りました。

「ホーンテッドマンション感(注1)ある」「パラレルワールド(注2)に来てしまった…」などとネット上でも話題になりました。

(注1)「ホーンテッドマンション(Haunted Mansion)」とは、ディズニーランドのお化け屋敷アトラクションのことで、Haunted Mansionとは英語で「お化け屋敷」という意味です。

(注2)「パラレルワールド (parallel world)」とは、ある世界( 時空 )から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す言葉です。 「並行世界」 、 「並行宇宙」 、「 並行時空」 とも言われています。そして、「異世界( 異界 )」、「 魔界 」、「 四次元 世界」などとは違い、パラレルワールドは我々の 宇宙 と同一の次元を持ちます。

村上春樹の小説『1Q84』のような世界ですね。

時計が設置されているのは「早稲田予備校 西船橋校」のビル上部の壁面です。12階建てのビルで時計も大きいため、離れた所からでもよく確認できます。

13まで数字があるこの時計、数字が一つ抜けているわけではなく、1から順に13個が並んでいます。しかし「時空の歪み」ではありません。ただ、短い針は13、長い針は5を指したまま動きません

早稲田予備校の広報担当者によると、「この『13時時計』は、普通の時計と違って動いていません。13まである理由については3つの説があります」とのことです。

その3つとは

(1)1日を24時間ではなく26時間勉強する意気込みで学んでほしいというメッセージ

(2)13と5を指すことで「いざ合格」(135=イザゴウカク)というメッセージになる

(3)小学校(6年)、中学校(3年)、高校(3年)を足して12。そこに浪人時代の1年を足して13になるため「13年目で合格」というメッセージになる

とのことです。

なお、この『13時時計』は西船橋だけでなく、東京都の高田馬場にある東京本校の壁面にも設置されているそうです。

2.天上界と人間界の時間

「人間(じんかん)五十年」は、「人間の寿命は五十年にすぎない」という意味ではありません。また織田信長が享年49で亡くなったことの連想からか「当時は平均寿命が50歳くらいだった」と勘違いしている方が時々おられます。

「人間五十年」とは、仏教用語で、「人間界(人の世)の50年の歳月」という意味です。「化天(けてん)」の一昼夜は人間(じんかん)の800年に当たり、「下天(げてん)」の一昼夜は人間(じんかん)の50年に当たります。人間界は「化天」や「下天」に比べればなんと儚いあっという間の世界かがわかるでしょう。

これについては、前に書いた「人間五十年は天上界の1日で人間界の儚さを表す。人生100年時代の生き方を考える」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

3.ジャネーの法則

年を取ると時間や月日の経つのが早く感じられます。

「実際の時間の長さは万人共通で違いはない」のですが、「主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象」を心理学的に説明したのが「ジャネーの法則」で、次のように表されます。

人間の体感時間(心理的な時間の長さ)は、それまで生きてきた年齢に反比例する

つまり、「物理的時間」は変わりませんが、「心理的時間」が変わってくるというわけです。

この「ジャネーの法則」(ジャネの法則)は、フランスの哲学者ポール・ジャネ(1823年~1899年)が最初に提唱したのでこう呼ばれています。

彼の甥の心理学者ピエール・ジャネ(1859年~1947年)がその著書の中で紹介しました。

これについては、前に書いた「ジャネーの法則とは?大人になると時間が経つのが早く感じる現象を説明!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。