「人生の節目」を表す四字熟語(その1)「結婚」と「誕生」と「長寿」を祝う

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倚玉之栄

4000年の歴史を持つ中国には、多くの故事やそれに由来する「四字熟語」がたくさんあります。これは人類の叡智の結晶と言っても過言ではありません。

「人生の節目」を表す多くの四字熟語があります。そこで3回に分けてご紹介したいと思います。

1.結婚を祝う四字熟語

(1)倚玉之栄(いぎょくのえい)

容姿の美しい人や、人格のすぐれた人と寄り添うこと。結婚することの誉れ。
「倚」は寄りかかること。「玉」は玉樹のことで、容姿の美しい人や、立派な人物のたとえ。
「栄」は栄誉・誉れ。
中国の魏の明帝が、皇后の弟である毛曽(もうそう)を、容姿のすぐれた夏侯玄(かこうげん)と並べて座らせたのを見た人々が、「葭(あし)が玉樹(ぎょくじゅ)に寄りかかっている」と言ったという故事から

(2)栄諧伉儷(えいかいこうれい)

栄えて和らぎ、睦まじい連れ合い。調和の取れた仲のよい円満な夫婦のこと。
「栄諧」は栄えて仲のよいこと。「伉儷」は夫婦のこと。
他人が妻を娶り迎えるのを祝って言う言葉で、結婚の賀詞として使われます。

(3)鴛鴦之契(えんおうのちぎり)

オシドリのように一生仲睦まじく連れ添うという夫婦の約束。夫婦のきずながきわめて強いことのたとえ。夫婦仲がよいことの形容です。

余談ですが、仲のいい夫婦を「おしどり夫婦」と言いますが、実は動物の世界では一夫多妻が一般的で、オシドリも例外ではありません。

オシドリは一夫多妻で、一番きれいなオスだけが多くのメスを獲得します。夫婦でいるのは交尾の期間だけで、オスは子育てを手伝いません。また、一番になれないオスに相手はいません。つまり、オシドリのオスはイクメンとはほど遠く、同じメスと一生を共にするわけでもなく、「おしどり夫婦」ではないというのが現実です。

(4)嘉耦天成(かぐうてんせい)

天の働きによって、良い配偶者と自然に巡り合うこと。

結婚を祝福する時に用いられる言葉です。

「耦」は「偶」と同じで配偶者の意。「嘉耦」は良い配偶者のこと。「天成」は天の働きによって自然に出来上がること。

(5)華燭之典(かしょくのてん)

結婚式のこと。また、他人の結婚式の美称。
「華燭」はきらびやかで美しい灯りということから、結婚式の灯りのこと。

「典」は儀式のこと

(6)吉日良辰(きちじつりょうしん)

縁起のよい日。「吉日」と「良辰」はどちらもよいことがある日、めでたい日という意味。

また、占星術によって日時の吉凶を占うこと。

大安吉日などの「六曜」は、仏教に由来すると思っている人も多いと思いますが、仏教とは無関係です。

涅槃経に「如来の法のなかに吉日・良辰をえらぶことなし」(仏の教えに日の善悪を選ぶことはない)とあります。

親鸞も「かなしきかなや道俗(どうぞく)の 良時吉日(りょうじきちじつ)えらばしめ」(悲しいことよ。僧侶も在家の者も、日の善し悪しを論じている)と述べています。

(7)月下氷人(げっかひょうじん)

縁結びの神。転じて、男女の縁の仲立ちをする人。仲人(なこうど)。媒酌人。

略して「氷人」とも言います。

古代中国晋の令孤策(れいこさく)が、氷の上に立って氷の下の人と語り合った夢を見た。そこで占いの名人索紞(さくたん)に夢占いをしてもらったところ、氷の上と下というのは陽と陰で男女を示し、『詩経』の句に「若者よもし妻をめとるならば氷の溶けきらない冬のうちに」というのは婚姻に関することであるから、おそらく婚姻の媒酌をして氷が溶ける前には成立する前ぶれであろうと言い、そのとおりになったという故事から。

(8)月下老人(げっかろうじん)

男女の仲を取り持つ人。仲人 (なこうど) 。月下翁。月下老。月老。

中国唐の韋固 (いご) が月夜に会った老人から将来の妻を予言されたという「続幽怪録」の次のような故事が由来です。

中国唐の韋固は、若くまだ結婚していなかったが、旅先で、月明かりの下で袋に寄りかかって読書をしている老人に出会った。韋固が袋の中身を問うと、夫婦になる者の足を結ぶ赤い縄だと言う。その後、韋固は老人の言った通り郡の長官の娘と結婚したという故事です。

(9)赤縄繋足(せきじょうけいそく)

結婚する準備が整うこと。または、結婚すること。赤い紐で足首を縛るという意味から。

中国唐の韋固は、旅先で不思議な老人に出会い、老人のそばにあった袋の赤いひもについて聞くと、天に選ばれた夫婦となるべき人同士の足首にひもで縛れば、憎い仇同士でも夫婦になると言ったという故事から。これは「月下老人」と同じ故事です。

「赤縄足を繋ぐ」とも読みます。

日本でも、愛し合っている恋人同士のことを「赤い糸で結ばれている」という言葉で表現することがありますね。

(10)二姓之好(にせいのこう/にせいのよしみ)

結婚すること。または、婚約した両家の親しい交際のこと。
昔の中国では同じ姓をもつ者同士は結婚できないという風習があったことから、「二姓」とは姓の異なる両家のこと。

2.誕生を祝う四字熟語

私は近所に住む明治生まれの上品なお婆さんが、「私が○○(そのお婆さんの息子の名前)を喜びました(産みました)時は、・・・」と話すのを聞いて、「何と奥床しい言葉だろう」と感心した記憶があります。

「喜ぶ」という言葉には、出産を喜ぶ意から「子供を産む」という意味もあるのです。

(1)夢熊之喜(むゆうのよろこび)

男の子供が生まれることを喜ぶこと。
「夢熊」は夢に熊が出てくること。
「熊」は山の動物の中で、陽の象徴であり、強壮の動物で男の象徴とされ、夢に出ることは男の子供が生まれる前兆とされていたことから。

ちなみに「蛇」は陰物で穴におり、柔弱の動物で女子の祥(前兆)とされています。

(2)弄瓦之喜(ろうがのよろこび)

女の子が誕生すること。また、そのことへの喜び。
「弄瓦」は糸巻きを玩具にすること。
中国では家事が上手くなるようにと、女の子に玩具として糸巻きを与えたことから。

(3)弄璋之喜(ろうしょうのよろこび)

男の子が生まれること。または、生まれた喜び。
「弄」はおもちゃにすること、「璋」は玉のこと。
中国では男の子に玉を玩具として与えて出世を願ったことから。
祝辞として使われる言葉。

3.長寿を祝う四字熟語

「長寿」については、前に「長寿・長生きにまつわる面白い四字熟語」という記事に詳しく書きましたので、そちらをご覧ください。




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