旧統一教会・勝共連合が自民党政治家や右翼団体に接近できた巧妙な戦術とは?

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岸信介と文鮮明

<2022/8/20追記>旧統一教会の伝道・教化活動そのもの」「国民の思想信条の自由を侵害する違法行為」であるとする判決(最高裁で確定)があった!

それは、現在も3件の訴訟を闘い続ける旧統一教会の不俱戴天の敵ともいうべき郷路征記弁護士(全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人)が、1987(昭和62)年から14年間かけて勝ち取った判決です。

郷路弁護士が1987(昭和62)年3月に提訴した「青春を返せ訴訟」(郷路本人が命名)で、2001(平成13)年6月に言い渡された札幌地裁判決(一部抜粋)は次のようなものでした。

(旧統一教会の伝道・教化活動は)社会的にみて相当性が認められる範囲を逸脱した方法及び手段を駆使した、原告らの信仰の自由や財産権等を侵害するおそれのある行為であって、違法性があると判断すべきものである。

2003(平成15)年に被告である旧統一教会の控訴は棄却、上告も棄却されて確定しました。

この訴訟以降も、郷路弁護士は一貫して旧統一教会の伝道・教化活動が、被勧誘者である国民の自主的、主体的な信仰選択を侵害する不法行為であることを立証し、そして、勝訴してきました。

ところが、安倍元首相銃撃事件以降、聞こえてくるのは霊感商法・高額献金・合同結婚式といった1980年代から1992(平成4)年をピークとする「騒動」の繰り返しのような視点の言葉ばかりで、冒頭の判決を踏まえた違法性の議論がなされていないことを、郷路弁護士は「政治家はささいな接点にせよ、憲法違反といえる違法行為を是認しているに等しいということの自覚がないようだ。空疎というほかない」と嘆いています。

また「現在、2世信者、宗教2世の苦悩がクローズアップされていますが、たとえば、その子どもたちが旧統一教会に損害賠償を求めることを考えた場合には、親自身が違法な伝道・教化によって信仰を持たされたというところを出発点にしないと責任の追及はできないんです。

そこを問題にしないと苦しみの根源を問うことはできずに、単なる毒親問題になってしまう。それでは旧統一教会は痛くも痒くもないし、問題の本質に迫ることはできません」と語っています。

2022年7月8日に安倍元首相が山上徹也容疑者によって狙撃され亡くなった事件が発端となって、「旧統一教会の日本人信者からの巨額寄付金受領と韓国への送金問題」や、「旧統一教会の霊感商法によって破産などの経済的破綻に追い込まれた信者やその家族を含む被害者の問題」、「自民党などの有力政治家と旧統一教会との深い関係」などが次々に明るみに出てきました。

山上容疑者と安倍元首相

前に旧統一教会による「マインドコントロール」についての記事を書きましたが、今回はなぜ自民党を中心とする保守政治家と旧統一教会が密接な関係になったのかについて、ご紹介したいと思います。

1.旧統一教会の「多面性」

旧統一教会で厄介なのが、妖怪の「鵺(ぬえ)」のように無数にある(判明しているだけでも優に100を超える)「友好団体」に枝分かれしていることです。

関連団体は、天宙平和連合や世界平和青年連合、世界日報社、原理研究会など、すでにメディアに主要なものが取り沙汰されていますが、それはごく一部にすぎず、ネット上で羅列された数十の団体名もまた氷山の一角です。

代表的な「顔」は次の3種ですが、大阪府松原市で発覚したような国道沿いの花壇の管理や清掃をする「花と緑のボランティア」的なボランティア団体まであります。

旧統一教会関連のボランティア団体・緑化鵺

(1)「カルト教団」としての顔

旧統一教会の勧誘方法

旧統一教会は、最初は「宗教」や「統一教会」という実態を隠して、イベント・サークル活動や聖書研究、アンケートといった勧誘方法を使い、次第に取り込んで行き、マインドコントロールで呪縛をかけて「壺や印鑑、絵画などの粗悪品を売りつける霊感商法」や「日本の信者からの巨額の寄付の韓国への送金」などを行ってきました。

「合同結婚式」という名の「見ず知らずの外国人との強制結婚」にも、多額の寄付が必要な上、結婚相手が事前に聞いていた学歴や職業などの経歴がデタラメで、無職だったり借金漬けだったりDVを繰り返す男など「結婚詐欺まがい」で、悲惨な結末を迎えた日本人女性信者も多数いたそうです。

ある元信者の女性の話を聞くと、巧妙なカネの集め方が見えてきます。 女性は教団側から、「“献金は先祖の供養のためで”、献金しないと地獄に落ちる」などと言われて、支払いを続けてしまったそうです。

去年だけでも47件、3億円超の被害が報告されていますが、1987年から2021年までの過去35年間の旧統一教会による日本での「霊感商法」被害件数と被害総額は、34,537件、1,237億円に上るそうです。これは「カルト教団」そのものです。

旧統一教会による献金被害

旧統一教会には、かつて植民地支配で韓国を苦しめた日本は悪を代表する「エバ国家」で、韓国は正義を代表する「アダム国家」であり、日本は韓国に貢ぐことが使命だ、というとんでもない教えがあります。

これは、GHQによる日本人洗脳プログラム「WGIP」によって「自虐史観」を刷り込まれた多くの日本人の思考回路を悪用したものです。

その結果、日本の信者は、完全に旧統一教会の金ヅル」状態になっています。

ある元信者も、「このような詐欺団体は、早くぶっ潰してほしい」と訴えています。

また別の元日本人信者は、韓国メディアの取材に対し次のようにコメントしています。

日本では表向き捜査が始まっていますが、統一教会への献金問題の捜査をうまく進めてほしいです。その結果は、日本人や日本の信者たちが、韓国の統一教会の姿を知るきっかけになるでしょう。(旧統一教会の悪事は)容認できないことであり、宗教を利用した犯罪は本当に許せないことだと思います。人の心を洗脳し、信者をだましてお金を奪う統一教会を許すことはできません。

教団の「世界平和統一家庭連合」への名称変更も、「カルト教団」として広く知られるようになった旧統一教会の実態をカモフラージュ(正体隠し)するのが目的だったことは間違いないと私は思います。

しかし、「嫌韓」姿勢が強い自民党議員が、なぜ旧統一教会と親密関係にあるのか、不思議に思う人も多いのではないでしょうか?

(2)「反共産主義団体」としての顔

安倍元首相の祖父・岸信介氏は、旧統一教会の創始者・文鮮明(冒頭の写真)と親密な関係を持ち、それ以降多くの自民党政治家が旧統一教会と密接な関係を持つようになりました。

文鮮明はまた、日本の右翼団体にも接近しました。

その理由は、旧統一教会が「国際勝共連合」(反共産主義連合)という顔を見せることで、自民党や右翼団体と「反共産主義思想」で一致したからです。これは「思想」というよりも旧統一教会の「単なる戦術」ではないかと私は思います。

「反共」が「単なる戦術」である証拠に、文鮮明は北朝鮮の金日成とも親密な関係にあり、旧統一教会は北朝鮮に経済支援事業を行ってきました。下の写真は、1991年に北朝鮮を訪問し金日成と会談する文鮮明です。日本人信者から搾取・収奪した「巨額献金」の一部を北朝鮮に回していたとも言えます。これは日本の「パチンコ業界」と似たような構図です。

文鮮明は北朝鮮の金日成とも親密

財団法人日本船舶振興会の「世界は一家。人類は皆兄弟」というCM標語で有名な笹川良一氏(下の写真)は、「大衆右翼」と自称していましたが、「国際勝共連合」の名誉会長も務めていました。

なお笹川良一氏は、岸信介氏と同じく「A級戦犯容疑者」として巣鴨プリズンに3年間収監されましたが、不起訴で釈放され、後に衆議院議員となり、勲一等旭日大綬章を授与されています。

笹川良一

教団のトラブルなどに対応してきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、7月12日に開いた会見で、岸元首相と教団の関係について触れました。山口広弁護士は、岸元首相と教団の創立者で教祖だった文鮮明氏が握手している写真を見せながら、次のように指摘しました。

岸信介さんと握手している写真が、いかに“統一教会”が世界的に広く認知されているかということを認めさせるために、こういう写真が繰り返し信者の皆さんに見せられて、『すごいんだ』、『地上天国はもう一歩だ』との説明に使われるという事実があるわけです。

山口弁護士は「文氏と岸元首相が握手する写真の存在が、教団の活動を日本に浸透させる上で、大いに手助けになった」と指摘しました。

一方、教団側によると、岸元首相の自宅の隣に、たまたま教団が借りた教会があったということです。教団側は「岸元首相が、若い信者の姿に『よくやっている』と共感し、話をしてみたいというところからの付き合いだ」と主張しました。さらに、「教団による平和活動の理想に共鳴して、文鮮明氏の講演会にも参加するようになった」と説明しました。

「反共」の「国際勝共連合」、あるいはその学生組織の「原理研究会(原理研)」が、自民党を中心とした保守政治家や右翼団体と結びついたのは、自然の成り行きです。野党政治家が旧統一教会と接点がないのは、教団にとってメリットがないからです。

右翼民族派として知られる犬塚博英・八千矛社代表は、次のように語っています。

(長崎大学での大学闘争で)新左翼の連中と我々がぶつかり合い、どんなに激しい乱闘になり、殴られ蹴られても、絶対に退かないのが原理研(原理研究会)の連中でした。腕自慢の体育会系の空手、合気道の奴らは、信念がないからすぐに逃げる。そういう意味では原理研は信頼がおけて頼もしかった。

確かに巧みでした。生長の家と原理研。互いに勉強しようと、私は原理研の合宿所に行ったことがあります。彼らは10人ぐらいで集団生活を送っていましたからね。そこで、勝共理論ではなく統一原理を講義された。私にはまったく興味がないし理解も出来ない。聞き流すだけに終わりました。

そうすると彼らは無理しない。『体育会系の犬塚はオルグ対象外』となって、そこからの付き合いは学内闘争だけ。まだ勝共連合とはいわない時代でしたが、『共産主義はサタン』ということで、その戦闘力は高かった。

祝賀行事を行う、元号法制化などの大会を開く、といった時には勝共連合は欠かせないんです。確実な動員が見込める。例えば2000人は必要だとすると、生長の家、佛所護念会、勝共連合で各500人は動員できる。残りは郷友連(旧軍・自衛隊OB組織)などで、足りなければ体育会系学生を動員する。

(3)「平和運動団体」としての顔

「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関連団体が主催するイベント「ピースロード」に関与した政治家が釈明に追われる中、過去に紹介したメディアにも矛先が向いています。

ピースロードは「世界平和」「日韓友好」を掲げる自転車イベントで、2013年から実施されています。今年開催予定の「ピースロード 2022 イン ジャパン」の共催には、旧統一教会の文鮮明教祖と韓鶴子総裁が設立した「UPF(天宙平和連合)」が名を連ねています。

旧統一教会の問題が取り沙汰されて以降、過去にピースロードの実行委員を務めたり、公務として参加したりと関係を持っていた政治家や自治体が次々に糾弾されています。

2018年にピースロード京都府実行委員会の委員長を務めた二之湯智元国家公安委員長は7月26日、「ちょっと名前を貸してほしいということで貸しました」と明かし、「それ以上の付き合いはございません」と釈明しました。

2.選挙における自民党との協力関係

(1)選挙ボランティア

私は以前から無報酬の「選挙ボランティア」は一体どんな人がやっているのか、利権や別途報酬など何か裏があるのではないかと疑問に思っていました。

野党候補者の場合は、「連合」傘下の労働組合の支援がある場合が多いと思います。

しかし自民党の場合は、旧統一教会のような宗教団体の支援が大きかったようです。宗教団体から派遣された「選挙ボランティア」は、かつての「モーレツ社員」のように「滅私奉公」で、残業も惜しまずに一生懸命働くそうです。

これほど心強い「選挙ボランティア」はないと私は思います。

(2)強力な集票力

与党である公明党が、創価学会の信者による集票力に支えられていることは明白です。それと同様に自民党も、表面には出ていませんでしたが、一般の保守層だけでなく旧統一教会のような宗教団体の集票力にも支えられていたことが、今回の事件をきっかけに明らかになりました。

3.今後の旧統一教会への対応について望むこと

1980年代には旧統一教会による「霊感商法」の問題が大きく取り上げられ、マスコミでも報道されました。しかし最近はこの事件が起きるまでは全くと言っていいほど話題にもなっていませんでした。

今後の旧統一教会への対応については、「カルト教団」として解散命令を含む強い措置を政府・文化庁には取ってほしいと思います。

また警察庁などの公安当局は、安倍政権になって追及の手が緩められたのを元に戻し、徹底的に全容究明に向けて捜査・調査を進めてほしいと思います。

そして、「マインドコントロール」を受けている信者の人には、一刻も早く目を覚まして脱会し、「元信者」として教団を弾劾・告発する側に回ってほしいと思います。

また教団のトラブルなどに対応してきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」には、今後も積極的にマスメディアに登場して、国民に旧統一教会の実態を詳しく知らせてほしいと思います。

マスコミも、自民党政治家と旧統一教会との関係を「祝電」「イベント参加」「会費納付」など表面的で些末なことを報道するのではなく、もっと「本質的な関係」に深く鋭く切り込んでほしいと思います。



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