<2022/1/10追記>1月10日から「全国旅行支援」が再開。ただし割引率・上限額は縮小
新型コロナの感染拡大が続く中、1月10日から観光を盛り上げようと、「全国旅行支援」が一斉に再開されました。
「全国旅行支援」の前回からの変更点は、「割引率」と「クーポンの利用方法」です。割引率は40%から20%に引き下げられました。
例えば新幹線や飛行機などの交通と宿泊のセットの場合、金額にして上限8000円の割り引きだったのが、今回は5000円となります。
2020年7月22日に「GoToトラベルキャンペーンのドタバタ朝令暮改は見苦しい迷走状態!」という記事を書きましたが、46道府県で今年10月11日から(東京都は10月20日から)「GoToトラベルキャンペーン」や「県民割」とよく似た「全国旅行支援」が始まりました。
「Go To キャンペーン事業」は、「新型コロナウイルスの影響で経済的に大打撃を受けた観光業や飲食業、イベント・エンターテインメント事業などを支援し、さらに需要を喚起するために行われる取り組み」のことでした。
1.「全国旅行支援」
(1)「全国旅行支援」の概要
「全国旅行支援」とは、政府が実施する全国を対象とした観光需要喚起策です。
10月10日まで近隣県を割引対象とした「県民割」を実施していますが、対象を全国に拡大し、遠方への旅行を促進します。
旅行代金の40%相当が割引されます。(1人1泊あたり、割引上限額については、交通付旅行商品は8,000円、その他は5,000円)
また、現地で使えるクーポン券(平日は3,000円分、休日1,000円分)が宿泊施設チェックイン時に渡されます。
<詳細な内容>
割引内容は、旅行代金を40%割引します(1人1泊あたりの上限:交通付き宿泊旅行8,000円、その他5,000円)。さらに、旅行先の土産店などで使用できる地域クーポンを平日3,000円分・休日1,000円分を進呈します。1回の旅行で7連泊までが対象、利用回数に制限はありません。
実施期間は、2022年10月11日から12月20日まで実施します(東京都のみ10月20日開始)。年明け以降については、感染状況や需要動向を踏まえて判断します。
宿泊を伴う旅行の”休日”とは、宿泊日とその翌日が両方とも「土曜・日曜・祝日」である場合を指します。日帰り旅行の休日は「土曜・日曜・祝日」です。その他は、「平日」の扱いです。
最低利用金額は、1人1泊(回)あたり平日が5,000円、休日が2,000円です。最低利用金額を下回る商品は対象外です。
全国が対象です。参加を希望しない都道府県がある場合、その都道府県を目的地とした旅行は対象外となります。
割引を受けるには、免許証などの本人確認書類などに加え、ワクチン接種歴3回接種済または PCR検査等の陰性結果の証明が必要です。
利用・予約方法は、キャンペーンに参加する”①楽天トラベルなどの旅行予約サイト、②旅行会社、③宿泊施設”から対象旅行を、割引価格で申込します。宿泊の際などに本人確認書類およびワクチン接種済証明書を提示の上、地域クーポンを受け取ります。
以上は一般的な全国ルールになります。都道府県や事業者により利用条件が異なる場合があるため、予約前にご確認ください。
(2)「県民割」や「GoToトラベルキャンペーン」との違い
①「県民割」との違い
②「GoToトラベルキャンペーン」との違い
2.「全国旅行支援」への疑問点
松野博一官房長官は10月12日午前の記者会見で、11日から始まった「全国旅行支援」に予約が殺到し、一部の予約サイトが受け付けを終了したことについて「国から都道府県に対する(予算の)追加配分について、事業の進捗(しんちょく)状況を踏まえながら、必要に応じて国土交通省において適切に対応していく」と述べました。
「全国旅行支援」は実施主体の都道府県が予約サイトや宿泊施設などへの予算配分を決めています。配分された予算額の上限に達すれば、受け付けを停止せざるを得ません。
松野氏は「こうした事態に対応し、販売実績等に応じて事業所間の予算配分の見直しや追加配分を行うよう、国交省から都道府県に促している」とも述べました。
私は、政府が観光事業に対して「分不相応な大盤振る舞い」をするような姿勢に疑問を感じます。
岸田政権の看板政策であったはずの「所得倍増計画」は一体どこに行ってしまったのでしょうか?
(1)旅行をしない人への恩恵は皆無で不公平
そもそも私のように「旅行好きでない人」には、この「全国旅行支援」は何の恩恵もありません。
また、本来は旅行好きな人でも、最近の急激な物価上昇(インフレ)の影響で、生活費を切り詰める必要があるため、旅行を諦める人も少なくないと思います。
現在経済的に困っているのは、「住民税非課税世帯」だけではないことを、政治家の皆さんは肝に銘じてほしいと思います。
(2)今わざわざ「旅行需要喚起策」を行う必要があるのか?
2020年の時は、コロナが猛威を振るっていた時期で、国民の旅行意欲も盛り上がらなかったので、「旅行需要喚起策」として有効かとも思ったのですが、今は一昨年とは状況が全く違います。
「オミクロン株」のコロナの新規感染者数は減少傾向にあり、「水際対策の大幅緩和」や「外国人の入国者数の上限撤廃」がなされた今、旅行に行きたくてうずうずしていた人は、割引キャンペーンがなくても旅行に繰り出す可能性が高いと思われます。
今は大幅な円安で、海外からの観光客(インバウンド)の急増が予想される中、国内の「旅行需要喚起策」として全国的に税金を使って割引キャンペーンを行う必要性はあまりないと私は思います。
(3)申し込みや問い合わせの急増・集中による旅行業者や旅行者の大混乱
「GoToトラベルキャンペーン」の時も、取扱いが二転三転して大混乱しました。
今回の「全国旅行支援」でも、申し込みや割引適用条件などの問い合わせが殺到して、旅行業者が対応に追われたり、旅行者も電話がつながらないとか、サイトにアクセスできないなど大混乱になっています。