雪という漢字の成り立ちと語源・由来、雪だるま、雪の種類と名前の面白い話。

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雪・漢字の成り立ち

「雪」という漢字をじっと見つめていると、「なぜ雨の下がヨなのか」などの疑問が湧いてきて、「ゲシュタルト崩壊」を起こしそうな不思議な字のように感じられます。

そこで今回は、「雪」という漢字の成り立ちと語源・由来のほか、「雪だるま」、「雪の種類と名前」の面白い話もあわせてご紹介します。

1.「雪」という漢字の成り立ち

「雪」は会意兼形声文字です(雨+彗)。

甲骨文では「雪片」の象形(「ゆき」の意味)でしたが、後に「天の雲から水滴が滴(したた)り落ちる」象形(「雨」の意味)と「先端を揃えたほうきを手にする」象形(「ほうきで掃き清める」の意味)から、「雨で洗い清める」、「ゆき」を意味する「雪」という漢字が成り立ちました。「ほうきで掃ける雨の意」という解釈もあります。

雪・異字体

なお雨の下の「ヨ」は、異字体では「彗星(すいせい/ほうきぼし)」の「彗」です。

また、「毳(セイ=セツ)」に通じ、「ほそく細かい」の意味も表します。

2.「雪(ゆき)」の語源・由来と意味

「雪」とは、「気温が摂氏0度以下の大気の上層で、雲中の水蒸気が結晶して地上に降る白いもの」です。

雪(ゆき)の語源は、以下の通り諸説あります。

・「神聖であること」「いみ清めること」を意味する「斎(ゆ)」に、「潔白(きよき)」の「き」。

・「潔斎(けっさい)」を意味する「斎潔(ゆきよし)」から。

・「緩水(ゆるやかひ)」や「冷気(ひゆけ)」の転、「深雪(みゆき)」の上略。

雪は古くから信仰の対象とされており、大雪の年は豊年の兆しと考えられていました。
そのため、「斎(ゆ)」に「潔白(きよき)」の「き」。もしくは、「斎潔(ゆきよし)」の説が有力とされています。

「雪」という漢字の意味は次の通りたくさんあります。

「ゆき」

ア:「雲の中で水蒸気が冷えて、氷となって降ってくる白い物。また、
それが降り積もった物。せつ。」(例:雪が積もる、積雪)

イ:「白い物を例えて言う。せつ。」(例:雪のような肌、雪膚)

ウ:「芝居等で、雪に見立てて降らせる白い紙の切れ端」

エ:「紋所(家々で定めている紋章)の名前。「ア」の形をしている」

オ:「タラ(タラ目タラ科の魚の総称)(室町初期ごろから、天皇が
住む所で働くが、多く衣食に関して用いた言葉)」

キ:「カブ、大根(だいこん)(室町初期ごろから、天皇が
住む所で働くが、多く衣食に関して用いた言葉)」

②「雪が降る」

③「注(そそ)ぐ」

④「濯(すす)ぐ(洗い清める)」(例:雪辱)

⑤「拭(ぬぐ)う」、「除く」

⑥「清い」

3.雪だるま・スノーマン

雪だるま

(1)雪だるま・スノーマン(snowman)とは

雪だるま(ゆきだるま、雪達磨)は、雪を固めて作られる「だるま」の(ような)形をした雪像です。

日本以外にも同様のものはあり、「雪人」または「雪男」(英・独・仏など)、「雪人形」(伊・蘭など)などと呼ばれています。(日本語で「雪男」というときは、いわゆる「インドやアメリカの雪山に棲む未確認生物の巨人」を指すのが一般的です)。

(2)雪だるま・スノーマンの歴史

雪で何らかの形の像を作ることは、雪の降る土地で慣例的に行われてきたと考えられますが、その始まりは明らかではありません。

古代から粘土や木や骨で(呪術目的だけでなく、遊具としての)人形が作られていたことを考えれば、雪の人形が早い時期から作られていたと想像できます。

しかし、雪という一過的な材料や、人形という遊戯的性格から、いつごろから作られていたのか知るのは困難です。

ハーグ王立図書館蔵の時祷書(1380年頃)には、欄外には雪だるまが描かれており、これが現在知られている最古の視覚史料です。

最古の雪だるま

(3)雪だるま・スノーマンの形状

外国の雪だるま

歌川広重

<「江戸名所道戯尽 廿二 御蔵前の雪」(歌川広重)>

歌川豊国

<「別荘雪見酒盛」(歌川豊国)>

歌川国芳

<「新板子供遊び之内 雪あそび」(歌川国芳)>

歌川国芳

<「四季心女遊 冬」(歌川国芳)>

現代の日本では、雪玉を二段に重ねた形が主流です。大きめの玉を下段とし、上に小さめの玉をのせて頭とし、木炭などで眉・目・鼻・口などを形作ります。

頭には、帽子としてバケツをのせることもあります。棒を二本、腕として下段の玉の左右に刺したり、また手袋やマフラーをつけることもあります。

西洋のものは、三段のものが多い(二段も少なくなく、また三段以上のものあります)。一番上の玉は頭で、目、鼻、口を付けます。鼻としてニンジンを刺したり、マフラーや蝶ネクタイを付けたり、ボタンをつけたり、シルクハットやとんがり帽子をかぶせたりもします。箒を持たせていることもあります。

日本の天気予報では降雪の俗した記号として通用しており、NHKや気象庁の天気予報でも降雪を二段の雪だるまアイコンで表しています。

NHK天気予報

4.「雪」の種類と名前

(1)粉雪(こなゆき)・小米雪(こごめゆき)

粉のようにさらさらとした細かい雪で、パウダースノーとも呼ばれます。

この雪は積もらないのが特徴です。

レミオロメンの「粉雪」という歌のように、切ないとかロマンチックというイメージの雪です。

(2)細雪(ささめゆき)

細やかにまばらに降る雪です。谷崎潤一郎の小説「細雪」で有名ですね。

(3)粒雪(つぶゆき)

粒になっている雪で、積もるのはこの雪です。

(4)灰雪(はいゆき)

灰が降っているようにひらひらと舞い落ちる雪です。

(5)牡丹雪(ぼたんゆき)・花びら雪(はなびらゆき)

雪の結晶がいくつか集まって、大きな塊となって降る雪です。

牡丹の花のようなので、こう呼ばれます。気温が高い時に降りやすい雪です。

(6)綿雪(わたゆき)・餅雪(もちゆき)

綿をちぎったような大きな雪で、ふわふわとしているのが特徴です。

牡丹雪よりは少し小さめ。

暖かく降水量が多い地域に降ります。

(7)泡雪・淡雪(あわゆき)

泡のようにふわふわ柔らかい雪です。

(8)べた雪・濡れ雪(ぬれゆき)

水分が多く、べちゃっとしているのが特徴の雪です。

(9)水雪(みずゆき)

べた雪よりも水分が多い雪です。

(10)斑雪(まだらゆき)・はだれ雪

まだらに降る雪や、まだらに降り積もっている雪のことです。

(11)霰(あられ)

直径5ミリ未満の小さな氷の粒です。

色が白いのは「雪あられ」、色が半透明なのは「氷あられ」と呼ばれます。

(12)雹(ひょう)

霰(あられ)より大きく直径5ミリ以上の氷の粒です。

これが降ると、傘も突き破ってしまいそうな音と激しさです。