『古事記』の内容や物語を簡単にわかりやすく紹介(その2)神話と伝説

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天岩戸神話の天照大御神(春斎年昌画

<天岩戸神話の天照大御神 (春斎年昌・画)>

前に「ギリシャ神話・ローマ神話が西洋文明に及ぼした大きな影響」という記事や、ギリシャ神話に登場する「オリュンポス12神」やその他の男神女神を紹介する記事を書きました。

また、日本人としてはぜひ知っておきたい日本神話である『古事記』や『日本書紀』については、「古事記は日本最古の歴史書で神話・伝説も多い。日本書紀は海外向け公式歴史書」「古事記の天地開闢神話をわかりやすく紹介!ただし荒唐無稽で矛盾も多い!」「大国主命(おおくにぬしのみこと)とは?因幡の白兎と国譲り神話も紹介!」「『古事記』に登場する日本の神々の系譜(その1)別天津神から神世七代まで」「『古事記』に登場する日本の神々の系譜(その2)国生みと神生み」「『古事記』に登場する日本の神々の系譜(その3)ヒノカグツチ殺害で生まれた神々」「『古事記』に登場する日本の神々の系譜(その4)イザナギが生んだ三貴子」という記事も書いています。

しかし、『古事記』の全体像については、なかなかわかりにくいのではないかと思います。

そこで3回にわたって、『古事記』の内容や物語の全体像を簡単にわかりやすくご紹介したいと思います。

第2回は「神話と伝説」です。

1.神話

(1)アマテラスの「天の岩戸」

岩戸神楽ノ起顕(三代豊国)

<岩戸神楽ノ起顕 (三代豊国・画)>

高天原のアマテラスは、弟のスサノオが大暴れしたことに怒り、洞窟の中に閉じこもってしまいます。太陽の女神であるアマテラスが身を隠したため世界は真っ暗になりました。

そこで困った神々が洞窟のそばで大宴会を催し、飲めや歌えの大騒ぎ。何事かと少し顔をのぞかせたアマテラスを力もちの神が外へ引っ張り出し、世界に光が戻りました。

(2)スサノオの「ヤマタノオロチ退治」

『日本略史 素戔嗚尊』に描かれたヤマタノオロチ(月岡芳年・画)

<『日本略史 素戔嗚尊』に描かれたヤマタノオロチ(月岡芳年・画)>

地上へと追放されたスサノオは出雲の地に降り立ちます。そこで8つの頭と尾を持つ大蛇「ヤマタノオロチ」のいけにえにされてしまう娘の話を聞きます。

スサノオはこの大蛇に酒を飲ませて酔ったところを退治して助けた娘と結婚しました。このヤマタノオロチは氾濫する斐伊川をモデルにしたものともいわれています。

(3)「因幡の白兎」

因幡の白兎

あるとき、オオクニヌシは海岸で苦しんでいるシロウサギと出会います。わけを聞くと、隠岐の島からワニザメをだまして対岸に渡ろうとしたことがばれて体の皮をむかれ、さらに通りかかった神々から海水で洗えば良いとだまされて体が痛いというのです。

オオクニヌシが「真水で体を洗ってガマの穂にくるまればいい」と教えると、シロウサギは元気になりました。

2.伝説

(1)神武東征

神武東征

アマテラスの孫、ニニギが地上を治めるため高天原から地上へと降ってきました。その子孫であるイワレビコは日向(宮崎県)から国を治めるのに適した東へと向かい、敵を退治しながら大和へと入ります。

大和では霊気をあてられ気を失うなど危ない目にもあいますが次々と荒ぶる神と豪族を降し、畝火で初代天皇として即位しました。これが神武天皇です。

(2)ヤマトタケル遠征

日本武尊と 川上梟帥。月岡芳年画

<日本武尊と 川上梟帥 (月岡芳年・画)>

第12代景行天皇の子ヤマトタケルは、父から九州のクマソタケル討伐を命じられます。女装をして敵を油断させて殺害し、出雲では剣を交換してイズモタケルをだまし討ち。東国平定の際には「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」で火をはらって火攻めの危機を脱しました。

英雄のヤマトタケルですが、父から嫌われているため遠征ばかり命じるのかと苦悩する姿も描かれています。

(3)仁徳天皇の国見

仁徳天皇・国見

第16代仁徳天皇は国見をした際、民家のかまどの煙突から火が出ないのを見て人々が食事も満足に取れないほど貧しいことを知ります。そこで3年間税を免除して、天皇も清貧に甘んじました。そのため聖帝と呼ばれています。