1.英会話が出来ない悩み
中学・高校・大学と8年間も英語を勉強したのに、「いざ外国人を目の前にすると、なかなか勇気を出して英語でしゃべることが出来ない」という悩みは、我々団塊世代の多くの人が持っているのではないでしょうか?
かく言う私も、ほぼ同類なので、どんな英語上達法の秘訣が書いてあるかと期待された方には申し訳ありません。
しかし、私は外国人と全くしゃべった経験がないわけではありません。きわめて少ない経験ですが・・・
2.私の海外や日本での英会話体験談
そこで、何かのヒントになればと思い、私の数少ない体験談をお話しします。
(1)ロンドンでの英会話体験
初めて仕事で海外に行ったとき、入国審査のところで、何を言ったらよいかも知らなかった私です。
同行した英語の達者な人から、「What’s the purpose」と聞かれるので、「 business」と答えればよいと教えられ、あとは何とか無事に通過できた程度の英会話力でした。
ロンドンの外出先で、道に迷ったとき、「Excuse me?・・・」と通りがかりの人に話しかけても、みんな無視して行ってしまいます。
私の発音が悪かったのか、東洋人の迷子など相手にしているほどイギリス人は暇ではないのか、とてもショックでした。
夏目漱石も、ロンドンで「僕はひとりぼっちで寂しいよ」とか「英語もなかなか上手になれない」とドイツに留学している友人への手紙で嘆いていますが、それに似た気持ちになりました。
とは言え、私もロンドン支店では現地スタッフと話さないと仕事になりませんので、必要に迫られて苦労しながら英会話をしていたことは言うまでもありません。
(2)ニューヨークでの体験
ニューヨークでは、勤務先のニューヨーク支店の現地スタッフの女性と、休憩時間に少し込み入った話をする機会がありました。
今はアルバイトとして、ここで働いているが、本当は近い将来、大学に入って絵の勉強をしたいなどと話していました。
私も、「broken English」で何とか話を続けていましたが、やがてしんどくなって「I can not express myself well.」(自分の言いたいことがうまく言えない)と弱音を吐きました。
すると相手は、「Why not? Now We have very hot conversation. And I can guess What you want to say.」(どうしてですか?今私たちは、とってもホットな会話をしていますよ。それに、あなたの言いたいことは、だいたい見当がつきますよ)とか何とか言ってくれました。
(3)現役サラリーマン時代のパート女性の「生きた英会話」
「生きた英会話」ということで、思い出したことがあります。私が現役サラリーマン時代に、ご主人の海外転勤に同行して長年アメリカで暮らした女性が、アルバイトスタッフとして働いていました。
ある時、外人さんが店頭に来たのですが、他の人(私も含めて)は尻込みして出て行こうとしません。
そこで、その女性が立っていき、その外人さんに二言三言話しかけました。
すると、外人さんはにっこり笑ってうなずきました。何と言ったのでしょうか?
私なら、「Please wait just a moment.」とか言って、「What can I help you?」とか聞くのでしょう。
私は、彼女がまず何と言ったのか気になったので、後で聞きました。彼女は次のように言ったそうです。
「I’ll be with you. Just a moment.」
このような言い回しは、私などにはちょっと思いつかないものですが、アメリカではよく使う表現だそうです。やはり、古めかしい表現ではない「現代の生きた英会話」を学ぶことも大切なことですね。
(4)大阪での英会話体験
最近、私がホテルの高層階のレストランで食事をして、ロビーに降りようとして、エレベーターの「下り」のボタンを押して待っていた時のことです。
宿泊客とおぼしき欧米人の老夫婦が、さらに上の階の自分の部屋に戻るべく、「上り」のボタンを押して待っていました。
先に、「下り」の方が来たので、私が乗り込むと、夫人の方がすぐに続けて乗って来ようとしました。
そこで、私はとっさに、人差し指を下に向けながら「downstairs!」と言ってストップをかけました。
一瞬、老婦人は驚いたようでしたが、すぐに了解して戻りました。後ろでご主人も、ほほえみながら軽くうなずいていました。
3.青木功の英会話術
ゴルフの青木功選手が、ジャックニクラウスやグレッグノーマンら外国のビッグネームと親しげに英語でしゃべっているのをテレビで見ることがありますね。
青木さんの話によれば、「ぼくは、英語がそれほど得意じゃない。だから、こっちから機関銃のようにしゃべりかけているんだ。そうすると、相手も答えを返してくれる。ほとんど、ゴルフのことを話しているんだから、内容もだいたい想像がつくしね。それをよそから見ると、いかにも青木は英語ぺらぺらのように見えるんだろう。」とのことです。
4.英語は「単なる意思疎通の手段」と割り切ること
確かに、「英語は意思の伝達手段」と割り切って、少しくらいの間違いは恐れずに、どんどん英語をしゃべる機会を増やしていったほうがよいようですね。
以前朝のワイド番組の中に「ウィッキーさんのワンポイント英会話」というコーナーがありましたね。
ほとんどの通行人が、びっくりして逃げてしまうことが多かったように思います。
私も、もし突然ウィッキーさんが飛び出して来て、マイクを向けられたら、逃げ出したにちがいありません。
それにしても、本来、日本人は、とても優しく親切で「friendly」な民族だと思います。
たとえ、英語がしゃべれなくても、外国人が道に迷っているのを見かけたら、身振り手振りで説明し、場合によっては目的地まで連れて行ってあげるのではないでしょうか?
夕方のワイド番組(多分、大阪ローカルの番組だと思いますが)で、「ロザンの道案内しよっ!」というコーナーがあります。
このコーナーの主役は、京大卒で英語も堪能そうな宇治原さんではなく、あまり勉強が得意でなさそうな菅ちゃんです。
彼が、変な英語で外人さんを困惑させながらも笑わせて、フレンドリーに「道案内」するのが見どころです。
これは、あくまでも「テレビ番組の企画」ですが、日本に来る外国人の多くが、「日本人の親切なおもてなしの心」に感謝しているのではないでしょうか?
私も、2020年の東京五輪に向けて、「六十の手習い」ならぬ「七十の手習い」で、英語がもう少し自由にしゃべれるように、適当な英語教材を見つけて勉強をし直してみようかと思っていたのですが、果たせずじまいです。