「一」から「万」の数字を含むことわざ・慣用句(その1)「一」

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薊の花も一盛り

数字を含むことわざ・慣用句と言えば、「三人寄れば文殊の知恵」とか「三つ子の魂百まで」などたくさんあります。

前回は「人数・年齢・回数・年月や時間・距離・寸法」を表す数字を含むことわざ・慣用句を紹介しました。そこで今回は、その他の「一」から「万」までの数字を含むことわざ・慣用句をまとめてご紹介したいと思います。

なお面白い数字の単位についての話は、前に「数字の単位は摩訶不思議。数字の不思議なマジック・数字の大字も紹介!」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧下さい。

1.「一」を含むことわざ・慣用句

(1)薊の花も一盛り(あざみのはなもひとさかり):醜い女性でも、年頃になれば、魅力が出るものであるということ。

<類義語>

・鬼も十八番茶も出花(おにもじゅうはちばんちゃもでばな)

・蕎麦の花も一盛り(そばのはなもひとさかり)

・南瓜女も一盛り(かぼちゃおんなもひとさかり)

(2)板子一枚下は地獄(いたごいちまいしたはじごく):船乗りの仕事が危険であることのたとえ。また、死につながる危険なことのたとえ。

板子一枚下は地獄

「板子」は、和船の舟底に敷く揚げ板。その下は船底で、さらにその下は、落ちたら助からない深い海であるということから。

<類義語>

・板三寸下は地獄(いたさんずんしたはじごく)

・一寸下は地獄(いっすんしたはじごく)

・一寸の地獄(いっすんのじこく)

(3)一押し二金三男(いちおしにかねさんおとこ):女性の愛を得るには押しが第一条件で、金があることや男前であることは、あまり重要ではないということ。

一押し二金三男

<類義語>

・一暇二金三男(いちひまにかねさんおとこ)
・一押し二金三姿四程五芸(いちおしにかねさんすがたしほどごげい)

(4)一か八か(いちかばちか):結果はどうなろうと、運を天に任せてやってみること。のるかそるか。

一か八か

ばくちの用語で、「一か罰か」でさいころの目に一が出るかしくじるかの意とか、「丁か半か」の「丁」「半」の字の上部を取ったものとかいう説があります。

(5)一事が万事(いちじがばんじ):わずか一つの物事から、他のすべてのことを推し量ることができること。一つの小さな事柄の調子が他のすべての場合に現れること。

一事が万事
(6)一樹の陰も他生の縁(いちじゅのかげもたしょうのえん):見知らぬ人が一本の木の下で雨宿りするのも、前世からの因縁で、この世の人と人との出会いは、みなこのように前世からの因縁であるということ。

一樹の陰も他生の縁

(7)一場の春夢(いちじょうのしゅんむ):春の夜の夢のように、その場限りであること。人生の栄華の極めてはかないことのたとえ。「一場」は、その場限り。つかのま。

一場の春夢

<類義語>

・一炊の夢(いっすいのゆめ)

(8)一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん):一つの災難や面倒なことが過ぎてほっとする間もなく、また次の災難や面倒なことが起きること。

一難去ってまた一難

(9)一に看病二に薬(いちにかんびょうににくすり):病気の回復には、周囲の人の行き届いた看病が何よりも大切で、薬は二番目であるということ。

一に看病二に薬

(10)一念天に通ず(いちねんてんにつうず):物事を成し遂げようと一心になれば、それが天に通じて、必ず成功するということ。四字熟語では「一念通天」。

一念天に通ず

<類義語>

・一念岩をも通す

(11)一引き二才三学問(いちひきにさいさんがくもん):出世するには、第一は上の人の引き立て、第二は才能で、学問の有無は三番目だということ。

一引き二才三学問

(12)一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび):

初夢に見るものの中で、縁起のよいとされているものを順に挙げた句。

一に富士山、二に愛鷹 (あしたか) 山、三に初茄子の値段と、駿河国で高いものを並べた句ともいわれます。

一富士二鷹三茄子

なお、「一富士二鷹三茄子四扇五煙草六座頭(いちふじにたかさんなすびしせんごたばころくざとう)」とは、夢に見ると縁起が良いとされるものを、順に並べた句(特に初夢についていう)。

『俚言集覧』に見られる文句ですが、この形が広く使われていたわけではなく、四以下は「一富士二鷹三茄子」の成立後に付け加えられたもの。
よく「一富士二鷹三茄子には続きがあった」と言われますが、正確には「続けて言うこともあった」です。

四の扇は、形が末広がりで、子孫繁栄や商売繁盛。
五の煙草は、煙が上へ昇るので、運気上昇。
六の座頭は、剃髪した琵琶法師のことで、「毛がない」が「怪我ない」に通じ、いずれも縁起が良いとされます。

また、一富士と四扇は末広がり、二鷹と五煙草は上昇、三茄子と六座頭は毛がないというように、「一富士二鷹三茄子」と「四扇五煙草六座頭」が対応しているとも考えられています。

「四扇」には「しおうぎ」や「よんおうぎ」の読みがつけられていることもありますが、語呂の面から考えて「しせん」が妥当です。

(13)一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず):一文ほどのわずかな金を惜しんだばかりに、後で百文もの大損をする愚かさをいった言葉。 わずかな金銭を惜しんで、後に大きな損失をするたとえ。

一文惜しみの百知らず

<類義語>

・一文惜しみの百損

(14)一葉落ちて天下の秋を知る(いちようおちててんかのあきをしる):落葉が早い青桐 (あおぎり) の葉が1枚落ちるのを見て、秋の来たことを知ること。わずかな前触れから将来の大きな動きを予知できることのたとえ。

「淮南子 (えなんじ) 」説山訓の「一葉の落つるを見て、歳のまさに暮れなんとするを知る」から。

一葉落ちて天下の秋を知る

(15)一を聞いて十を知る(いちをきいてじゅうをしる):物事の一部を聞いただけで全部を理解できること。賢明で察しのいいことのたとえ。「論語」公冶長から。

一を聞いて十を知る

<類義語>

・一を以て万 (ばん) を知る

(16)一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく):こまかな一つ一つの動作や行動。ちょっとした努力。わずかな骨折り。

韓愈「応科目時与人書」から。一度手を挙げ、一度足を踏み出す意。

一挙手一投足

<類義語>

・一挙一動(いっきょいちどう)

・挙動(きょどう)

(17)一矢を報いる(いっしをむくいる):敵の攻撃に対して、矢を射返すこと。転じて、自分に向けられた攻撃・非難などに対して、大勢は変えられないまでも、わずかながら反撃・反論すること。

一矢を報いる

(18)一銭を笑う者は一銭に泣く(いっせんをうしなうものはいっせんになく):わずかな金額だといって軽視する者は、そのわずかな金額に困ることになる。たとえわずかな金でも軽んじてはいけないという戒め。

一銭を笑う者は一銭に泣く

<類義語>

・一円を笑う者は一円に泣く。

(19)一敗地に塗れる(いっぱいちにまみれる):二度と立ち上がれないほど大敗してしまうこと。

「史記」高祖本紀から。(戦場で、戦死した者の内臓が地面に散らばって泥にまみれるという意味)

一敗地に塗れる

(20)起きて半畳寝て一畳(おきてはんじょうねていちじょう):人間が必要な広さは、起きている時が半畳で、寝ても一畳あれば足りるということ。贅沢 (ぜいたく) は慎むべきであるという教え。

起きて半畳寝て一畳

「起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半」と続けて使うこともあります。
寝起きするには、一畳もあれば十分な広さで、たとえ出世し天下を取った人間でも、一食に二合半ほどの米を食べるのが限度であるということ。

(21)親子は一世夫婦は二世主従は三世(おやこはいっせふうふはにせしゅじゅうはさんぜ):親子の関係は一世、夫婦の関係は二世にわたり、主従関係は三世にわたるほど深いものであるということ。

親子は一世夫婦は二世主従は三世

親と子の関係は現世だけのものであり、夫と妻の関係は前世と現世(もしくは現世と来世)の二世にわたり、主人と従者の関係は前世・現世・来世にわたるものであるということ。
封建社会における主従関係の強い結びつ言い表しているいます。

(22)軌を一にする(きをいつにする):①(韓愈「秋懐詩」其一から)車の通った跡を同じくするように、立場や方向を同じくすること。②(「北史」崔鴻伝から)両輪の幅を同一にする意で、国家が統一されること。

軌を一にする

(23)鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく):多くの凡人の中に、一人だけ際立って優れた人がいることのたとえ。

「鶏群」は、鶏の群れ。「一鶴」は、一羽の鶴のこと。鶏の群れの中に一羽だけ鶴が混じっているという意から。

鶏群の一鶴

<類義語>

・掃き溜に鶴(はきだめにつる)

(24)地獄は壁一重(じごくはかべひとえ):人間は一歩踏み誤ると罪悪を犯すようになるというたとえ。

地獄はすぐ隣にあることで、人は、一歩間違えると、地獄(悪の道)に踏み込んでしまう。 正しい道と悪の道とは壁一枚であるから油断してはならないという戒め。

地獄は壁一重

(25)精神一到何事か成らざらん(せいしんいっとうなにごとかならざらん):精神を集中して努力すれば、どんな難しいことでも成し遂げられないことはないということ。

精神一到何事か成らざらん

『朱子語類・八・学二』に「陽気の発する処、金石も亦透る、精神一到何事か成らざらん(天地間の陽気が発すれば、金や石も突き通してしまう。精神を集中して行えば、何事も成就できないことはない)」とあるのに由来します。

(26)大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき):事前の騒ぎばかり大きく、実際の結果は小さく、取るに足らないことのたとえ。

大山鳴動して鼠一匹

大きい山が音を響かせて揺れ動くので、大噴火でも起こるのかと思っていると、小さな鼠が一匹出てきただけだったという意味から。
古代ローマの詩人ホラティウスの言葉から出た西洋のことわざ。
原文はラテン語で「Parturiunt montes, nascitur ridiculus mus.(山々が産気づいて滑稽な鼠が一匹産まれる)」。
「大山」は「泰山」や「太山」とも書きます。

(27)頂門の一針(ちょうもんのいっしん):(頭の上に1本の針を刺す意から)人の急所を突いて強く戒めること。また、急所を押さえた教訓。

頂門の一針

「頂門」とは、頭のてっぺんのこと。「針」とは、病気を治療するときに体に刺す針のこと。
「一針」は「一鍼」とも書き、「ひとはり」とも読みます。

鍼術には頂門に針を刺す治療法があり、頭頂の急所に針を刺すことから、人の急所を痛烈に戒めることを言います。

戦国時代の思想家・荀卿に対して、宋の蘇軾が批評した言葉に対し、王遵巌が「荀子に対する急所を突いた厳しい批評である」(*)と言ったという故事に由来します。
(*)「異説高論の四字を以て立安す、まことに是れ荀卿頂門の一鍼なり」

(28)鶴の一声(つるのひとこえ):意見や利害が対立する多くの人を否応なしに従わせる権威者・権力者の一言。

鶴の一声

(29)一言既に出ずれば駟馬も追い難し(いちごんすでにいずればしばもおいがたし):一度口から出たことばは四頭立ての馬車で追っても取り返せないこと。ことばを慎むべきことのたとえ。

一言既に出ずれば駟馬も追い難し

「駟馬」とは、四頭立ての馬車、もしくはその馬車を引く四頭の馬のことで、速いもののたとえ。

(30)一馬の奔る、一毛の動かざるは無し(いちばのはしる、いちもうのうごかざるはなし):主な者が行動を起こすと、それに付属しているものも一斉に行動を起こすことのたとえ。一頭の馬が走れば、全身の毛が動くことから。

『擬連珠』に「一馬の奔る、一毛の動かざるは無し。一舟の覆る、一物として沈まざるは無し」とあります。「奔る」は「走る」とも書きます。

一馬の奔る、一毛の動かざるは無し

(31)一目置く(いちもくおく):(囲碁で弱い者が先に一つ石を置いて勝負を始めるところから)自分より相手が優れていることを認め、一歩を譲ること。強めて「一目も二目も置く」とも言います。

一目置く

(32)一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う(いっぴきのうまがくるえばせんびきのうまもくるう):一人の行動が、他の大勢の行動を駆り立ててしまうことのたとえ。
群衆は暗示にかかりやすく、一人が騒ぐと他の人もそれにつられて騒ぎ出し、大きな混乱が起きるということ。

一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う

(33)虚仮の一心(こけのいっしん):愚かな者が一つのことだけに心を傾け、やり遂げようとすること。また、愚かな者でも一心にやれば、目的を達成できたり優れたことができたりするということ。

「虚仮」は仏教用語で「実の伴わないこと」の意味。転じて、思慮・分別が浅いこと、愚か者のこと。

虚仮の一心

(34)地獄の一丁目(じごくのいっちょうめ):極めて恐ろしい所のたとえ。また、破滅や困難に陥りかける始まり。

「一丁目」は、「入り口」の意。
町に入るときは必ず一丁目からというわけではありませんが、「一丁目」とすることで、この先に「二丁目」「三丁目」もあることが分かり、より恐ろしいことが待ち受けているスタート地点であることを表現しています。

余談ですが、「地獄の一丁目」という古いアメリカ映画(1930年製作)がありましたね。

地獄の一丁目

(35)滄海の一粟(そうかいのいちぞく):広大な宇宙に比べて、人間の存在は小さく、その一生などはかないものであるということ。また、比較にならないほど極めて小さいこと。

海原に浮かんだ一粒の粟の意から。

滄海の一粟

(36)忍の一字は衆妙の門(にんのいちじはしゅうみょうのもん):忍耐はあらゆる道理に到達する入口であり、物事を成功させる基となるものだということ。耐え忍ぶことを身につければ、どんなことでも成功のもとになるというたとえ。

忍の一字は衆妙の門

<類義語>

・韓信の股くぐり
・堪忍辛抱は立身の力綱
・堪忍の足らぬ人は心の掃除の足らぬ人
・堪忍の忍の字が百貫する
・堪忍は一生の宝
・堪忍は万宝にかえ難し
・堪忍は無事長久の基
・ならぬ堪忍するが堪忍
・なる堪忍は誰もする
・忍は一字千金の法則

(37)馬鹿の一つ覚え(ばかのひとつおぼえ):愚かな者が何か一つだけのことを覚え、どんな場面でも得意になって言ったり、したりすること。

得意気になって、一つのことを何度も繰り返す者をあざけって言う言葉。

(38)裸一貫(はだかいっかん):資本や財力などが全くなくて、自分の身一つであること。無一物なこと。

<類義語>

・腕一本

・ふんどし一貫

(39)腹に一物(はらにいちもつ):表面は何事もないようで、心の中では何か悪いたくらみを持っていることのたとえ。

「腹」は「心の中」「本心」のことで、昔は精魂は腹にあるものとされていたことから。
「一物」とは、たくらみの意味で、露骨に口にする事がはばかられる時、代わりに使う言葉です。

腹に一物

(40)胸に一物(むねにいちもつ):心中にわだかまりがあること。また、心の中にひそかに期するところがあること。口には出さないが心の中にたくらみを抱くこと。

(41)一花咲かせる(ひとはなさかせる):成功して、一時華やかに栄えること。

「一花」とは、一時の栄華の意。「一花咲かす」とも言います。

(42)一筋縄では行かない(ひとすじなわではいかない):普通のやり方では処理できないこと。

「一筋縄」は、一本の縄のことで、複雑に絡まっていないことから転じて、尋常一様の手段、普通のやり方を意味します。

(43)一頭地を抜く(いっとうちをぬく):他より頭ひとつぬき出ていること。また、学問や芸術などが他の多くの人より一段とすぐれていること。

「一頭」は、頭ひとつ分の高さのこと。
「地」は、漢文で語尾に添えて語調を整える助辞なので、実質的な意味はなく、「一頭地」も「一頭」と同じ意味。
『宋史・蘇軾伝』に「吾当に此の人一頭地を出すを避くべし」とあります。

(44)庄屋の一番息子(しょうやのいちばんむすこ):甘やかされて愚鈍な者のたとえ。

「庄屋」とは、江戸時代、主に関西で村落の長を指した語で「荘屋」とも書きます。
庄屋の長男は甘やかされて育つため、頭が悪くのろまな者が多かったことから。

(45)一華開けて天下の春(いちげひらけててんかのはる):一端を知って全体を察することのたとえ。

一輪の花が開くことで天下に春が来たのを知るという意味から。(『往生講式』が出典)

(46)賢者には一言で十分(けんじゃにはひとことでじゅうぶん):愚鈍な人には何度も繰り返し言わなければ伝わらないが、賢明な人にくどくどと説明する必要はないこと。

英語のことわざ「A word to the wise is enough.」の訳。
ラテン語では「Verbum sat sapient.」。

(47)早まる烏は団子一つ(はやまるからすはだんごひとつ):慌てて急ぎすぎると、結果的に失敗したり、かえって損をすることのたとえ。

じっくり待てば多くの餌が得られるところ、慌てる烏は団子一つしか得られないという意味から。

(48)一人喧嘩はならぬ(ひとりげんかはならぬ):喧嘩というものは、受けて立つ者がいてこそ成り立つものなのだから、相手にしなければ喧嘩は起きないということ。

喧嘩は相手があってするもので、一人では喧嘩ができないことから。
争いの相手になるなという戒めの意味と、相手をするから悪いのだという意味でも使われます。

(49)一日一字を学べば三百六十字(いちにちいちじをまなべばさんびゃくろくじゅうじ):毎日少しずつでも怠らずに勉強を続ければ、積もり積もって大きな成果が得られるというたとえ。

(50)朝の一時は晩の二時に当たる(あさのひとときはばんのふたときにあたる):朝は仕事がはかどるので、なるべく早く起きて働けということ。

「一時」は昔の時刻の数え方で、約二時間。「二時」はその倍の約四時間。

朝の仕事は夜の仕事の二倍に相当するという意味から。

<類義語>

・朝起き千両、夜起き百両(あさおきせんりょう、よおきひゃくりょう)

・朝起きは三文の徳(あさおきはさんもんのとく)

・朝起きは七つの徳(あさおきはななつのとく)

(51)一瓜実に二丸顔(いちうりざねににまるがお):女性の顔立ちで、一番良いのはやや細長く白い瓜実顔、二番目は愛嬌のある丸顔だということ。

その後に「三平顔に四長顔、五まで下がった馬面顔」と続きます。

(52)一応も二応も(いちおうもにおうも):一度だけでなく二度も。繰り返し念入りに。

(53)一髪、二化粧、三衣装(いちかみ、にけしょう、さんいしょう):女性を美しく見せるのは、第一は髪かたちの美しさ、二番目は化粧、三番目が衣装だということ。

(54)一工面、二働き(いちくめん、にはたらき):世渡り上手は金の工面をする才覚が第一で、勤勉に働くのはその次だということ。

(55)一度死ねば二度死なぬ(いちどしねばにどしなぬ):人間死ぬのは一度きりと、事に当たる時決死の覚悟を決めて自分自身に言い聞かせる言葉。

(56)一度はままよ二度はよし(いちどはままよにどはよし):悪事を行うとき、最初は良心がとがめながら、なるようになれという気で行うが、二度目からはなんとも思わなくなり平気でのめりこんでいくということ。

(57)一度焼けた山は二度は焼けぬ(いちどやけたやまはにどはやけぬ):一度災いに遭うと二度と同じ災いに遭うことはないと、災難に遭った人を慰めて言う言葉。

(58)一に褒められ二に憎まれ三に惚れられ四に風邪ひく(いちにほめられにににくまれさんにほれられしにかぜひく):くしゃみについてのことわざ。一回なら誰かに褒められているし、二回は憎まれていて、三回は惚れられているが、四回は風邪をひく前兆であるということ。

(59)一にも二にも(いちにもににも):他の何よりも、そのことに専念すること。何はさておき。

(60)一二を争う(いちにをあらそう):一番になるか二番になるかを競い合う。首位をあらそうこと。

(61)一も取らず二も取らず(いちもとらずにもとらず):二つのものを同時に得ようとすると、結局どちらも手に入らなくなることのたとえ。

<類義語>

・虻蜂取らず(あぶはちとらず)

・二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず)

(62)一も二もなく(いちもにもなく):あれこれ言うまでもなく、すぐさま。「一も二もない(いちもにもない)」とも言います。

(63)一を識りて二を知らず(いちをしりてにをしらず):知識が浅く応用力がないこと。一つのことだけ知って、それ以外のことには知識がない意から。

「その一を識りてその二を知らず」とも言います。

(64)一升徳利に二升は入らぬ(いっしょうどっくりににしょうははいらぬ):ものには限界があり、それ以上を望んでも無理だということ。

一升入りの徳利に二升は入らないとの意から。

(65)一杯は人酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む(いっぱいはひとさけをのむ、にはいはさけさけをのむ、さんばいはさけひとをのむ):多量に酒を飲むことを戒めた言葉。

酒も少量のうちはよいが、多量になると自制心をなくし、しまいには人が酒に飲まれ乱れてしまうということ。

(66)一癖も二癖もある(ひとくせもふたくせもある):性格などが普通とは違っていて、油断ならない雰囲気を感じさせる様子。

(67)一つよければまた二つ(ひとつよければまたふたつ):人間の欲望には限りがないということ。

一つ願いが叶えば、もう一つ、さらにもう一つと欲が出て満足することがないとの意から。

(68)一人口は食えぬが二人口は食える(ひとりぐちはくえぬがふたりぐちはくえる):結婚して二人で暮らせば節約できることが多くなり、無駄が多くなりがちな一人暮らしよりも経済的であるということ。

「二人口は過ごせるが一人口は過ごせぬ」とも言います。

(69)宿取らば一に方角、二に雪隠、三に戸締り、四には火の元(やどとらばいちにほうがく、ににせっちん、さんにとじまり、しにはひのもと):昔、旅先で宿を取る時に、確認しておくべき事柄を順序だてて並べた言葉。

「雪隠」は、便所のこと。