最近、私の住む町内でもカラスが生ゴミを食い荒らす被害に遭って困っているのですが、ふとアルフレッド・ヒッチコック監督の動物サスペンス映画「鳥」を思い出したので、今回はこれについてご紹介します。
1.アルフレッド・ヒッチコックとは
アルフレッド・ヒッチコック(1899年~1980年)は、イギリスの映画監督・映画プロデューサーですが、1939年以降はアメリカで活躍し、スリラー映画で成功し、「サスペンス映画の神様」とも呼ばれています。
彼の代表作には「レベッカ」「ダイヤルMを廻せ!」「白い恐怖」「裏窓」「サイコ」「鳥」などがあります。
彼はハリウッド入りする前に、イギリス保守党の二人のプロパガンダ・スペシャリストから「イギリスの利益となる映画」を製作するよう指示を受けました。そこで彼は反ナチス活動家と組んで、「アメリカの世論を中立政策からイギリス支援に転換させるためのプロパガンダ映画」として「海外特派員」を製作しました。ナチス・ドイツの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスはこの映画を「プロパガンダの最高傑作」と評しています。
2.動物サスペンス映画「鳥」とは
1963年の映画で、原作はダフネ・デュ・モーリアの短編小説です。突然、鳥に襲われるようになった町の住人の恐怖を描いたもので、パニック映画の原点とも言われる作品です。
ちなみに1975年のスティーブン・スピルバーグ監督の映画「ジョーズ」もこの系譜です。
3.主演女優ティッピ・ヘドレンへのセクハラ疑惑とは
この映画「鳥」に主演した女優がティッピ・ヘドレンなのですが、アルフレッド・ヒッチコック監督の死後に発表した自伝で、監督による執拗なセクハラがあったことを告白しています。
監督は離婚歴は一度もありませんが、彼女にはずっと強い好意を抱いていたようで、ヘドレンさんが距離を置くようになると次第に執拗に攻撃的になったそうです。
当時はセクハラやストーカーといった言葉は存在しなかったため、「今まで詳しく語ったこともないし、これからも語るつもりはない」とのことです。
これに関して、想起されるのは、マイケル・ジャクソンによる児童虐待疑惑です。このようなすでに亡くなった有名監督や有名ミュージシャンによる不祥事疑惑については、映画上映中止や動画配信停止、CDの販売停止や放送中止などの動きはありません。
しか同様のことが存命中の映画監督やミュージシャンにおいて明らかになった場合の対応については、問題が残ります。
「違法薬物使用容疑」で逮捕された新井浩文容疑者やピエール瀧容疑者のような対応にするのか、それ以下にとどめるのかそれ以上の厳格な処置を下すのか、「作品」と「監督・俳優、歌手」について、関係者は対応方針をよく議論し検討しておく必要がありそうです。
私は、基本的には「作品や音楽に罪はない」という考え方です。不祥事が表面化しなければ「傑作」と絶賛しておいて、監督・俳優や歌手などが不祥事を起こしていたことが判明すると「そんな作品は見たくもない。そんな音楽は聞きたくもない」というのでは筋が通りません。