1.花八層倍、薬九層倍、お寺の坊主は丸儲け
この「ことわざ」というか「慣用句」は父から教えてもらいました。
花は原価の八倍で売られ、薬は原価の九倍で売られ、坊主は原価ゼロですから丸儲けだというわけです。「はな」と「はち」、「くすり」と「く」を掛けた「語呂合わせ」です。
売価が原価に比べて非常に高く暴利をむさぼっている商売を、数字とうまく掛けて表しています。
2.魚三層倍、呉服五層倍、花八層倍、薬九層倍、百姓百層倍、坊主丸儲け、按摩摑み取り
上記の1に掲げた慣用句の原型が江戸時代からあるこの言葉で、浮世草子『風流茶人気質』に出ています。
これも「さかな」と「さん」、「ごふく」と「ご」、「ひゃくしょう」と「ひゃく」とうまく掛けています。「按摩」は「つかみどり」というのですから「取り放題」ということです。
これはすべて「語呂合わせ」が優先しているようです。
「百姓」は江戸時代の身分制度「士農工商」では武士に次ぐ身分とされていましたが、「百姓は生かさぬよう殺さぬよう」と言われるように、苦しい生活を強いられており、暴利をむさぼるような「商売」ではありませんでした。しいて言えば一粒の米から百倍の収穫があるということでしょうか?
その他の「商売」は、「坊主」や「按摩」も含めて大なり小なり当たっていると、江戸の庶民は感じていたのではないかと思います。
3.上の慣用句を実感した話
(1)花
先日、葬儀があり、「供花」をしたのですが、最低でも1万円します。これは「花屋」の儲けと「葬儀屋」の儲けがダブルで入るからだと思いますが、お祝いの花束でも、驚くほど高価です。
(2)薬
我々は健康保険で「3割負担」ですが、健康保険組合の負担分を含めた総額は大変高いと感じます。確かに「新薬開発」には莫大なコストがかかるのでやむを得ない面もありますが、相当高価なものです。
生活保護受給者が、無料でもらえる「向精神薬」などの薬をインターネットで転売して稼ぐ違法行為をしている話も耳にしますが、こういう悪質な行為は徹底的に厳しく取り締まってもらいたいと思います。これは、「医師の過剰処方」にも問題があると思います。