皆さんも一度は冒頭の画像のような「ジグソーパズル」を作って遊んだことがあるのではないでしょうか?
ピース(小片)が多くなると大変で、1,000ピースともなると完成まで数日、延べ何十時間もかかります。ちなみに下の「ノイシュヴァンシュタイン城」は1,000ピースです。
私も一度挑戦したことがありますが、途中で楽しみよりも苦痛の方が大きくなって挫折しました。
私は子供の頃、「戦艦大和」や「零戦(ゼロ戦)」のプラモデルを楽しんで作った経験がありますが、ジグソーパズルのパーツの数はプラモデルとは比べ物にならないほど多い上に、似たような形が多く一筋縄では行きません。
1.ジグソーパズルとは
ジグソーパズル(jigsaw puzzle)とは、一枚の絵を幾つかの小片(ピース)に分解して、分解した物を再び組み立てるというタイプのパズルです。
ジグソーパズルの「ジグソー(jigsaw)」とは、英語で「糸鋸(いとのこ)」のことで、元々このパズルが木の板を糸鋸で切って作られたことからこの名が付きました。
(1)ジグソーパズルが作られた当初の目的
1760年頃に、ロンドンの地図職人で技師のジョン・スピルズベリーが、子供の教育のためにピースが欧州各国の形のジグソーパズル(完成すると地図ができる)を作ったのが最初と考えられています。
つまり「子供に欧州各国の地図を覚えさせること」が当初の目的だったのです。
ただ、世界各国の名前と位置や国の形を覚える(日本の都道府県を覚える場合も同様)のであれば、ジグソーパズルに無駄な精力を費やすよりも「じっくり世界地図を読むように眺める」ほうがずっと効率的だと私は思います。
前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、「地図を読む」こともこれと似たような効果があります。
私の高校時代の同級生に地理に非常に詳しい人がいましたが、彼は「地図を眺めるのが楽しみ」と言っていました。
(2)日本でジグソーパズルが大ブームとなったきっかけ
日本でジグソーパズルが大ブームとなったきっかけは、150万人が入場した1974年の日本での「モナ・リザ展」開催に合わせて輸入販売された「モナ・リザ柄ジグソーパズル」の大ヒットでした。
日本人は、外国人に比べて「モナ・リザ」と「ミロのヴィーナス」が異常に大好きな国民のようです。
2.ジグソーパズルは教育や脳トレにも役立つのか?
「教育」に役立つというのは、デンマーク発祥の幼児用教育玩具「レゴブロック」(下の画像)からの連想かもしれません。
たとえばあるジグソーパズルメーカーは、次のように宣伝しています。
遊びながら記憶力・集中力を鍛えられる。手先が器用になります。想像力豊かになりますし、論理的思考力が身に付く。完成品を見て味わう達成感とやりがい!自己肯定感が育つ、達成感から自信をつけられます。記念品、インテリア、装飾にもなります。
「脳トレ」に役立つというのは、クイズと同じように頭を柔らかくするということでしょうか?
ジグソーパズル・パネル専門店の「ジグソークラブ」は、次のように宣伝しています。
ジグソーパズルは、小さなピースを手でとり動かし、試行錯誤を繰り返すことで脳の動きを活性化させます。
ジグソーパズルは楽しく遊びながらリハビリができる、“遊びリテーション”にはまさに最適で、リハビリや介護、認知症予防の場で活躍しているのです。 ご自身にあったピース数・難易度、お好みの絵柄を選んで楽しく脳を活性化させましょう!
また脳科学・応用健康科学の専門家である篠原菊紀氏(諏訪東京理科大学教授)は次のように述べています。
脳科学の研究において、”あれこれ試行錯誤を繰り返して楽しみながら取り組めること”が脳の活性化につながるということがわかって います。そのため、ジグソーパズルは脳の活性化に適しており、リハビリや介護、認知症予防にもとても有効的なツールであると考え られます。 ジグソーパズルを長く続けられるひとつの趣味としてみるのも良いですね。
つまり「ジグソーパズルは脳の活性化に最適で、認知症予防にも良い」と推奨しているのです。
しかしジグソーパズルのような「遊び」を、「単なる遊び」と割り切らずに、「教育」や「脳トレ」に無理やり結びつけて商売しようとするのは日本人の悪い癖です。
これは「教育」や「頭が良くなる」という言葉に弱い世の親たちや、「脳トレ」や「認知症」という言葉に弱い中高年を狙い撃ちするジグソーパズルのメーカーの「巧妙な宣伝戦略」かもしれませんが、「教育」や「脳トレ」には役立たないと私は思います。