1.ある外国人選手の「イルカがかわいそうで気分が悪くなった」との訴え
今年9月に開幕したセーリングの「ワールドカップ(W杯)江の島大会」の開会式で行われた「イルカショー」を見て、ある外国人選手が「イルカの曲芸は、イルカがかわいそうで気分が悪くなった」と訴えて、主催者側が「楽しんでもらおうとしたが、不快な気分になった方がおられたことを謝罪します」と話したとの小さなニュースがありました。「動物園」についての、「明解国語辞典」第四版の語釈のような考え方の人なのかもしれません。
2.アメリカの海洋テーマパークでは、「シャチの曲芸ショー」を廃止
アメリカの海洋テーマパーク「シーワールド」では、「シャチの曲芸ショー」が2016年に「動物保護の観点」からという理由で廃止されました。これは、直接的には2013年のドキュメンタリー映画「ブラックフィッシュ」でシーワールドでのシャチの扱いが取り上げられ、「動物愛護団体」などからの批判が殺到したことが原因です。競争が激化するテーマパーク業界では、批判のあるシャチの曲芸を廃止し、将来的には飼育中止する方が得策と判断したようです。
3.古代ローマ人は奴隷とライオンを闘わせて熱狂した
古代ローマでは、5万人を収容できる「コロッセオ」で皇帝が「奴隷の人間」と「ライオン」を闘わせ、それを貴族から貧民に至るまで熱狂的に見物していたそうです。「奴隷の人間」はかわいそうでなくて、「シャチ」に曲芸を教えるのはかわいそうなのでしょうか?
介助犬の「ラブラドールレトリバー」や「ゴールデンレトリバー」を訓練することはかわいそうなのでしょうか?
4.イソップ寓話「ロバを売りに行く親子」の教訓
イソップ寓話の一つに「ロバを売りに行く親子」という話があります。ロバを飼っていた親子が市場へ売りに行くために歩いていると、「せっかくロバがいるのに、歩いているのはもったいない」という人がいました。そこで父親は息子をロバに乗せます。
しばらくすると別の人が、「元気な若者が楽をして、親を歩かせるとはひどい」と言ったので、今度は父親がロバに乗ります。するとまた別の者が、「自分だけ楽をして息子に歩かせるとは悪い親だ。二人一緒に乗ればいい」と言うので、そうしました。
するとまた「二人も乗るなんてロバがかわいそう」と言う者がいたので、一本の棒にロバの両足をくくりつけて、二人で担いで歩きました。しかし不自然な姿勢を嫌がったロバが暴れだし、橋の上から川に落ちて死んでしまったという話です。
5.少数意見に振り回されるな
日本にも「家を道端に作れば三年成らず」ということわざがあります。これは後漢書の曹褒伝に由来するものですが、他人の助言を信用していちいち聞いていると、何も成し遂げられないことのたとえです。
周囲の色々な意見に惑わされない確固たる信念、「プリンシプル(principle」を持ち、日本の文化を自信を持って、外国人に説明し、理解させる努力が必要なのではないでしょうか?
「郷に入っては郷に従え」という諺は、英語で「When in Rome,do as the Romans do.」と言います。これは日本だけの考え方ではありません。
最初のニュースの意見は、欧米人をはじめとする外国人の「多数派」の意見ではないと思います。むしろ、そういう「少数派」の人には、「もっと日本の文化を勉強して理解するように」と諭すべきではないかと思います。しかし、考えの凝り固まった「シーシェパード」のような人達は、頑として受け付けないとは思いますが・・・
日本の調査捕鯨船を襲う「シーシェパード」の人たちは、鯨が増えすぎて、餌となる鰯などの小型の魚が激減して、「食物連鎖」「生態系」にも悪影響を及ぼすことに思い至らないのでしょうか?
私は、鯨の生態については全くの素人なので、正直なところ、商業捕鯨を中止していることによる影響がどの程度なのかはわかりません。現状は「捕鯨反対派」と「商業捕鯨推進派」との政治的な争いになっているようですが、「調査捕鯨」で客観的なデータを収集することによって、捕鯨のあり方についての国際問題に決着をつけるべきだと私は思うのですが・・・
それにしても、ニュージーランドやオーストラリアが、「シーシェパード」の調査捕鯨妨害行為を本気になって取り締まらないのはどういう考えなのでしょうか?理解に苦しみます。
肉を食べない「ベジタリアン(菜食主義者)」や、「イスラム教徒(ムスリム)」が、宗教上の理由で「豚肉」を食べないので、それを抜いた食事を出すという「ハラール」は理解できます。さまざまな宗教に寛容な日本では、受け入れられる対応だと思います。しかし自分たちの考えや習慣を、他国や他人にも強制するのはいかがなものかと思います。
<2020/1/9追記>上越市水族博物館の「イルカショー」が大人気
2018年6月にリニューアルした上越市水族博物館「うみがたり」の「イルカショー」が大人気で、2019年8月で入場者が100万人を突破したそうです。
入場者の50%が新潟、25%が長野、5%が富山と入場者の80%が近隣県ですが、国内外からの集客に努めているそうです。隣接する妙高市には冬場、オーストラリアや台湾からのスキー客が多く、徐々に人気が出てきたそうです。
「イルカがかわいそう」という「少数意見」を跳ね返して頑張ってほしいものです。