「セブンイレブン」の「フランチャイズ本部」と対立する「オーナー」の悩み

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コンビニ

セブンイレブン・ジャパンの「フランチャイズ本部」が、心身共に追い詰められて「19時間営業」を実施した東大阪市のコンビニ店「オーナー」に対して、「24時間営業に戻さないと、違約金1700万円を請求し、契約を強制解除する」と通告したとのショッキングな報道が、つい先日ありました。

このオーナーは、妻と二人でコンビニ店を経営して来ましたが、昨年妻が亡くなってしまったことで、肉体的にも精神的にも追い詰められ、午前1時から午前6時の間は店を閉める「19時間営業」に踏み切りました。

もちろん深夜バイトやパートを補充することも考えましたが、時給を引き上げて求人をかけても人が集まらなかったそうです。

コンビニ業界は、接客・棚卸など仕事の範囲が広く、仕事がきつい割には時給が高くないので、アルバイトやパート希望者から敬遠される「雇用ミスマッチ」により、人手不足に悩む現場は悲鳴を上げているのが実情のようです。

私などの素人考えでは、そういう事情なら「19時間営業」もやむを得ないと認めるところですが、セブンイレブン・ジャパンの「フランチャイズ本部」の対応は上に述べたような非情なものでした。

1.「フランチャイズ本部」の優越的地位の乱用

「24時間営業」というのは、現在ではセブンイレブンの経営の根幹をなすものですが、もともとは、「セブンイレブン」という名前の通り、「午前7時から午後11時まで」の「16時間営業」だったのです。

果たして全ての店舗で「24時間営業」をしなければならない必然性はあるのでしょうか?

本部にしてみれば、これを一旦認めてしまうと、どこもかしこも「24時間営業」を取りやめる「なだれ現象」が起きると警戒しているのかも知れません。

しかし、今回のケースは「オーナーの置かれている状況から見て、19時間営業にすることが真にやむを得ない事情」と推察できます。

これを強硬にゴリ押しするのは、「フランチャイズ本部」の優越的地位を乱用した横暴のように私には思えるのですが・・・

この騒動の発端は、「弁護士ドットコム」にこの件が報じられ、その後テレビなどのマスコミで大々的に取り上げたことから広く知られることとなりました。

それを受けて、「フランチャイズ本部」は、「24時間営業を出来るようにサポートしたい」と「オーナー」に申し入れたそうですが、人件費や光熱費が必要になることもあり、即答を避けているとのことです。

2.過去の同様の事例

2018年4月14日の「弁護士ドットコム」によれば、福井県でも同様の事例があったようです。

福井県のあるセブンイレブンのオーナーが「記録的な大雪」を理由に、2018年2月6日から7日にかけて、24時間営業の停止を何度も本部に訴えましたが、本部は要求に応じず店を開けるよう回答したそうです。

一緒に勤務していた妻は、長時間の雪かきの末に倒れ、救急車で運ばれましたが、オーナーは営業をやめられないため付き添えなかったとのことです。スタッフの出勤も困難で、2月6日から8日にかけて約50時間不眠で働くことになったそうです。

3.コンビニ店の「オーナー」の悩み

最近は、「他のコンビニ店との競争激化」に加えて、「スーパーの攻勢」もあり、経営は苦しいようです。

もともと「フランチャイズ本部」に支払う「ロイヤリティー」が非常に高い上に、「求人難」があって、オーナーは三重苦・四重苦に喘いでいるのが現状です。

ちなみに「ロイヤリティー」とは、「売上総利益に対して一定の乗率をかけて算定」するのですが、オーナーが土地・建物を自前で用意する場合、セブンイレブンは43%、ファミリーマートは35%、ローソンは34%だそうです。

4.他のコンビニチェーンの対応状況

今回のように、オーナーから「24時間営業」を中止したいとの申し出があった場合の対応ですが、他のコンビニチェーンでは話し合いで柔軟に決めているようです。