日本語の面白い語源・由来(その1)おもちゃ、桜、梅、蛍、机、竹、松

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おもちゃの語源

ふだん使っている日本語でも、ふと「この言葉はどうやってできたのかな?」と「語源」に疑問を持ったことはありませんか?

私はたまにありましたが、考え出すときりがありませんので、ほとんどの場合は忙しい日常の仕事や生活に紛れて忘れてしまいました。しかし完全リタイアした今は、特に仕事があるわけでもなく時間が有り余っている状態なので、思い立って調べてみることにしました。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

1.おもちゃ

私は以前、言葉に詳しい人から「おもちゃの語源は、大人が子供に『これをお持ちや』と言って手渡したことから来た言葉だ」と聞いたことがあります。

今回調べてみるとそうではなく、玩具のことを古くは「持て遊び(もてあそび)」と言ったそうです。平安時代に「持ち遊び(もちあそび)」となり、近世になると「もちゃそび」と訛ったそうです。さらに後の部分が省略されて「もちゃ」となり、接頭語の「お」が付いて「おもちゃ」となったそうです。

確かに現代でも、「慰みものにして弄(もてあそ)ぶ」ことを「おもちゃにする」と言うことがありますね。

2.桜

サクラの語源は、動詞「咲く(さく)」に接尾語「ら」が付いて名詞になったものと言われています。

3.梅

梅は実を薬用にする「烏梅(うばい)」の形で中国から伝来しました。中国語では「ムエイ」のような発音だったものを日本人が「ウメ」と聞き取ったために「ウメ」と呼ばれるようになったものです。「ムメ」と読むことがあるのも、「ムエイ」から来ています。

4.蛍

蛍の語源は、「ほたり・ほたれ(火垂)」「ほてり・ほてれ(火照)」「ひたる(火足)」が転じたものです。「ほしたる(星垂)」の意味だという説もあります。

これは野坂昭如の有名な小説「火垂(ほた)るの墓」もあるので、ご存知の方も多いと思います。

5.机

「つくえ」の語源は、突き出した四本の枝で台を支えていることから、「突き枝(つきえ)」が転じたものとされています。

平安時代の「和名抄」に「机 都久恵」とあることから、「衝据(つきすゑ)」「坏据(つきすゑ)」が転じたものとして、かつては机の「歴史的仮名遣い」は「つく」とされていましたが、それ以前の文献に「ツクエ」「ツ支江」の表記が見られるため、現在では「つくえ」が正しい「歴史的仮名遣い」とされています。

これについては、前に「シクラメンのかほり」の記事でも少し触れました。

6.竹

タケの語源は諸説ありますが、主なものは「高(たか)」「丈(たけ)」と同源で、高く伸びるものという意味です。ほかに、タケノコの旺盛な成長力から「長生(たけおふ)」の意味からとする説や、「高生(たかはえ)」が縮まったものとする説があります。

7.松

マツの語源も諸説あります。久しく齢(よわい)を保つところから「たもつ」の略転とする説や、神が木に宿るのを待つところから「待つ」の意味とする説、葉が二股に分かれるところから「股(また)」の転とする説などがあります。

しかし、日本では松が古くから神の宿る神聖な木とされていることから、「神を待つ意味」と考えるのが一番妥当なようです。「祀る(まつる)」「祭(まつり)」などにも通じます。


新明解語源辞典 [ 小松寿雄 ]