最近の役職名・肩書は英語の略語や長い英語と日本語の混合など意味不明語が多い

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長い役職名

サラリーマンを完全リタイアした身には、全く関係のないことですが、最近の会社や研究機関、大学などの役職名・肩書は「英語の略語」「長たらしい英語をそのままカタカナ書きしたもの」や「中身がわかりにくい日本語」が多いように感じます。

昔は、会社役員であれば「社長」「副社長」「専務」「常務」「平取締役(平取)」「監査役」で、大学であれば「教授」「助教授」「講師」と単純明快でした。名誉職的なものとして「会長」や「名誉教授」というのもありました。

1.「英語の略語」

(1)CEO:最高経営責任者

(2)COO:最高執行責任者

(3)CFO:最高財務責任者

(4)CJO:最高法務責任者

(5)CMO:最高マーケティング責任者

(6)CIO:最高情報責任者

(7)CTO:最高技術責任者

2.「長い英語と日本語の混合」や「英語をそのままカタカナ書きしたもの」

落語に「寿限無(じゅげむ)」という噺があります。生まれた子供がいつまでも元気で長生きするようにと考えて、とんでもなく長い名前を付けたという笑い話です。

寿限無(じゅげむ)、寿限無、五劫(ごこう)の擦(す)り切れ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の、水行末(すいぎょうまつ)・雲来末(うんらいまつ)・風来末(ふうらいまつ)、喰(く)う寝る処に住む処、藪(やぶ)ら柑子(こうじ)の藪(ぶら)柑子、パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコンナの長久命(ちょうきゅうめい)、長久命の長助(ちょうすけ)

寿限無ほど極端ではないにしても、特に長たらしい役職名・肩書はあまり感心しません。

(1)「コーポレートコミュニケーション&〇〇〇〇本部」の「課長代理 ○○担当」

(2)「執行役員コンシューマ事業統括プロダクト&マーケティング統括モバイル事業推進本部本部長兼コンシューマ事業統括プロダクト&マーケティング統括プロダクト本部本部長兼コンシューマ事業統括プロダクト&マーケティング統括新規事業開発室副室長兼コンシューマ事業統括プロダクト&マーケティング統括新規事業開発室グローバル事業開発室室長」

159文字の肩書ですが、ここまでくると全く意味不明です。

これは、ソフトバンクが2017年11月30日、執行役員の1人の担当職務を12月1日付けで変更した時の「実際にあった話」です。

しかも、この役職名は「寿限無」の文字数をも超えています。

(3)チームリーダー:「プロジェクトチームなどのリーダー」「チーム毎のリーダー」

(4)フェロー:「研究所の研究員」

(5)マネージャー:「部長」あるいは「次長」

(6)オフィサー:「課長クラスの管理者」

3.中身がわかりにくい日本語

(1)執行役員

「取締役」は会社の最高意思決定陣・経営陣のメンバーとして、重要事項や方針を決定します。会社とは委任関係にあり、常に解任される可能性があります。

これに対し、「執行役員」は会社の従業員で、取締役が決定した内容を実現するために働きます。

(2)准教授・助教

昔は「教授」の下が、「助教授」「講師」という構成でしたが、最近は「准教授」「助教」という呼び方が増えています。

実は2007年の「学校教育法」の改正で、「助教授」は廃止されました。現在の序列は、「教授」「准教授」「講師」「助教」「助手」となっています。かつての「助教授」に対応するものが「准教授」です。

(3)特任教授・特任准教授

特定の専門分野や活動の形態、大学を挙げてのプロジェクトなどと関連して任命されるもので、一般には継続的に雇用される正規の大学教員ではありません。

4.今後のあるべき方向

役職名・肩書だけでなく、最近はステークホルダー、アセスメント、パンデミック、クラスター、オーバーシュート、ロックダウンなどのように英語をそのままカタカナにしただけの「カタカナ語」が多くなったような気がします。

この傾向は英語に慣れるというメリットがある反面、一般の人が意味を理解できない弊害があると私は思います。

(1)新しい「和製漢語」や「新漢語」を考案する努力

日本は明治時代に、文明国である西洋の学問・文化・文物を積極的に吸収し取り入れる「欧化政策」を推進しました。その中で、英語やドイツ語から「日本語に翻訳した言葉」がたくさん作られました。

「哲学」という言葉は、江戸時代後期から明治時代初期の啓蒙思想家の西周(1829年~1897年)が「Philosophy」を日本語に翻訳した造語です。これは「和製漢語」あるいは「新漢語」と呼ばれるものです。

「和製漢語」あるいは「新漢語」は、このほかにも、「科学」「郵便」「自由」「観念」「福祉」「革命」「意識」「右翼」「運動」「階級」「共産主義」「共和」「左翼」「失恋」「進化」「接吻」「唯物論」「人民」など現在普通に使われている言葉がたくさんあります。

これらは、なかなかよく考えたものだと思います。明治時代に多くの人々が苦心してこのような言葉を造ってくれたおかげで、現代の我々はすぐにその内容が認識できます。

「令和時代の和製漢語や新漢語」を努力して作っていくべきだと私は思います。

(2)新しい「訳語」の業界・専門家・マスコミ・国などによる標準化・共通語化の努力

いくつかの訳語が出て来ると思いますが、その中で大多数の支持を得られる共通語を定め、標準化して行く努力も必要だと思います。

(3)「カタカナ語」を使う場合はカッコ書きで日本語を添える努力

そして、どうしても「カタカナ語」を使いたい場合は、そのように標準化・共通語化された訳語の日本語をカッコ書きで添える努力をすべきだと思います。

具体的には次のような感じです。

ステークホルダー(利害関係者)、ストラテジー(戦略)、コンプライアンス(法令遵守)、ハラスメント(嫌がらせ)、リテラシー(知識応用力)、ダイバーシティ(人材多様化)、サステナビリティ(環境・社会・経済の三つの観点からの持続可能性)、レガシー(遺産)、アジェンダ(政策課題)、アライアンス(提携)、アセスメント(事前影響評価)、パラダイム(規範。共通の思考パターン)、モメンタム(相場などの勢い)、ボラティリティー(価格変動の度合い)、プライマリーバランス(基礎的財政収支)、オンデマンド(要求・需要に応じて)、パンデミック(感染症の世界的大流行)、クラスター(感染者集団)、オーバーシュート(感染爆発/爆発的患者急増)、ロックダウン(都市封鎖)

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