「運」「幸福」「不幸」にまつわる面白いことわざ(その2)。「好事魔多し」など

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笑う門には福来る

1.笑う門には福来たる(わらうかどにはふくきたる)

いつも笑い声が満ち、和気藹々(わきあいあい)とした家には、自然と幸福がやって来るということです。

「笑う所へ福来たる」「笑う家に福来たる」とも言います。

落語の一門の名前「笑福亭」はこのことわざに由来します。余談ですが「笑福亭」と言えば仁鶴や鶴瓶が有名ですが、私は鶴瓶の師匠である6代目笑福亭松鶴(1918年~1986年)が一番好きです。

ところで「泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生」ということわざがあります。これは、泣いて暮らすのも笑って暮らすのも同じ一生なのだから、くよくよせずに楽しく暮らした方がよいという意味です。

エルバート・ハバードの警句に「人生を深刻に考えすぎるな。誰も生きたままそこから逃れることは出来ない」というのがありますが、これも似たような教訓ですね。

確かに「笑い」は精神衛生上も良いそうです。

2.犬も歩けば棒に当たる(いぬもあるけばぼうにあたる)

これには二つの意味があります。

(1)積極的に行動しようとすると、わけもなく犬が棒で打たれるように、損な目にあうことが多いということです。

何か物事をしようとする者は、それだけ何かと災難にあうことも多いものだという意味です。

「犬も歩けば棒に会う」「歩く足には棒も当たる」とも言います。

(2)たとえ才能や運がなくても、何か努力してやっているうちには、思いもよらぬ幸運にあうことがあるということです。

また、単に出歩けば意外な幸運に当たることもあるという意味にも使われます。

3.好事魔多し(こうじまおおし)

良いことにはとかく邪魔が入りやすいということです。良いことがあったからといって有頂天になってはいけないという戒めの意味を含みます。「魔」は「邪魔」の「魔」です。

「好事魔を生ず」とも言います。

「月に叢雲花に風(つきにむらくもはなにかぜ)」も同様の意味です。

4.好事門を出でず(こうじもんをいでず)

よい行いや評判は、なかなか世間に伝わりにくいということです。

「悪事千里を行く(悪事千里を走る)」と対で使われることが多いことわざです。

5.孔子も時に会わず(こうしもときにあわず)

有能な人でも世に入れられずに終わることがあるという意味です。

孔子も時勢に会わず不遇だったことに由来します。出典は「荀子」です。

「聖人も時に会わず」とも言います。

6.幸い並び至らず、災いひとり行かず(さいわいならびいたらず、わざわいひとりいかず)

幸せは一度に二つもやって来ない、その反対に不幸は一つで済まず重なることが多いという意味です。

7.泣き面を蜂が刺す(なきつらをはちがさす)

泣いている顔をさらに蜂が刺すというように、不幸や苦痛の上にさらに苦痛が重なること、困っている事の上に更に困ったことが起こることです。

「泣き面に蜂」とも言います。

「切り身に塩」「痛む上に塩を塗る」「弱り目に祟り目」「病み足に腫れ足」「病み目に突き目」も同様の意味です。

8.河豚にも当たれば鯛にも当たる(ふぐにもあたればたいにもあたる)

毒のある河豚ばかりでなく、毒のない鯛でも中毒することはあるという意味です。

運の悪い時には、安全と思われたものも害になることがあるというたとえです。

徳川家康(1543年~1616年)の死因については諸説あります。「食べ物(天ぷらの食べ過ぎ)」「病気(胃がん)」「戦死(関ヶ原の戦いで戦死)?」の三つが代表的なものです。

その中の「食べ物説」は、「当時高級品だった天ぷらの食べ過ぎ」というもので、一説では「鯛の天ぷらを食べて、食中毒を起こした」と言われています。真偽のほどはわかりませんが・・・

なお蛇足ながら、「戦死説」は、「関ヶ原の戦いで本物の家康は戦死しており、その後は『影武者』が大役を担っていた」というものです。

9.牡丹餅で頬を叩かれるよう(ぼたもちでほおをたたかれるよう)

気持ちの良いこと、また思いがけない幸運が舞い込むことです。

「牡丹餅で尻を叩かれるよう」とか、単に「牡丹餅で叩かれるよう」とも言います。

「あんころ餅で尻叩かれるよう」も同様の意味です。

10.いつも柳の下に泥鰌は居らぬ(いつもやなぎのしたにどじょうはおらぬ)

これは「一度うまく行ったからといって、その後も必ずうまく行くというわけではないこと」です。転じて、「幸運なことがあったからといって、その後もまた幸運があるとは限らないこと」です。

昔は川端に枝を垂れた柳の下などにドジョウがよくいたそうです。

「二匹目の泥鰌を狙う」「株を守りて兎を待つ」も同様の意味です。

なお、出版界では「柳の下にドジョウは三匹までいる」という話があります。一つのテーマで大当たりを取った本があると、同じ傾向の本が、あと二回は売れるというのです。確かに、書店で立ち読みをしている経験から言うと、そういう傾向はあるようです。ただし、二匹目・三匹目の本の「実売部数」がどの程度なのかは定かでありませんが・・・

11.弱目の霊怪(よわめのりょうげ)

弱った体に物の怪(もののけ)が憑(つ)くことです。落ち目になると、ますます悪いことが重なることです。

「弱みの怨霊(よわみのおんりょう)」とも言います。

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