1.夢洲の「洲」を「シマ」と読むのはなぜか?
「夢洲(ゆめしま)」は、2025年の「大阪万博」開催予定地の「埋立地」(冒頭の画像は2025大阪万博の予想図)です。
東京都の豊洲(とよす)や福岡県の中洲(なかす)など「ス」と読む地名が多いためか、夢洲を「ゆめす」と読んでしまう人も多いようです。
夢洲(ゆめしま)は、1991年に舞洲(まいしま)、咲洲(さきしま)とともに一般公募で名付けられました。応募者は「洲」を「シマ」と読んだ理由を示していませんでした。当時の選考委員会のメンバーで、元広告会社員の鞍井修一さんは「読みは選考で話題にのぼらなかった」と言い、同じくメンバーで、旅行家の五十嵐道子さんは「人工島の愛称募集だったこともありシマと読んで違和感はなかった」と話しています。
埋め立て地の地名を見ると、東京都の「夢の島」や「平和島」など「島」が目立ち、神戸市の「ポートアイランド」や福岡市の「アイランドシティ」といった片仮名の愛称も定着しています。
しかし大阪人の贔屓目かもしれませんが、私には、「洲」と書いて「シマ」と読む方が優雅で味わいがあるように感じます。
(1)「洲」とは
「洲」とは、「土砂が堆積(たいせき)して陸地のようになり、水面から出ている所」(大辞林)のことです。
普通は「シマ」と読みませんが、日本国の古称である「大八洲(おおやしま)」「秋津洲(あきつしま)」など土地・国の意味で「シマ」が使われる例があります。
「洲」の代わりに、簡略して「州」が用いられることもあります。「洲」は「常用漢字」には登録されておらず、「州」という字が、「す」という読みで「中州」などに用いられる漢字となっています。ただし、固有名詞では「洲」が用いられている場合が多いようです。
(2)「島」との違い
「島」は、四方を水で囲まれた比較的狭い陸地のことです。海を隔てている本土より狭い陸地、また河や湖の中にある狭い陸地のことです。そう言えば、琵琶湖にも「竹生島(ちくぶじま)」という島がありますね。
(3)「洲」と「州」との違い
「洲」は、川や海・湖の底に砂が堆積し水面から出ている地形のことです。「中洲」「中之島」「川中島」のように土砂が堆積して陸地のようになった部分のことを指す言葉です。
一方、「州」は、「ニューヨーク州」やイギリスの「ケント州」のように国の中の行政区分の呼び名として用いられ、日本でも旧国名を「上州(上野国)」「信州(信濃国)」「泉州(和泉国)」と呼んだりしています。
また「欧州」や「亜細亜州」、「六大州」のように、大陸を中心にその周辺の島嶼や海域を含む地域を州と呼ぶ場合もあります。
(4)「洲」という漢字の成り立ち
会意兼形声文字です(氵(水)+州)。「流れる水」の象形と「川の流れの中に囲まれた土地」の象形から、「川・湖・海の底に土砂がたまって高くなり水面上に現れたもの」を意味する「洲」という漢字が成り立ちました。
音読み:「シュウ」
訓読み:「しま」「す」
名前(音読み・訓読み以外の読み):「くに」
2.夢洲とは
「夢洲(ゆめしま)」は、2025年の「大阪万博」開催予定地の「埋立地」(冒頭の画像は2025大阪万博の予想図)です。
大阪湾淀川河口には3つの人工島があります。北東にあるのが舞洲(まいしま)、南西にあるのが夢洲(ゆめしま)、南東の湾岸沿いにあるのが咲洲(さきしま)と呼ばれています
舞洲・夢洲・咲洲(上の画像)は、バブル全盛期の1988年に「テクノポート大阪」として計画され、順次埋め立て造成が行われたもので、「大阪市のバブル全盛期の負の遺産」とも揶揄されています。
松井大阪市長や吉村大阪府知事は、夢洲に「大阪万博」と「IR」を誘致することで起死回生を狙っているようですが、「IR=カジノ」というイメージが強く反対運動も起きています。
「2025年大阪万博」も、「1970年大阪万博」のような盛り上がりには欠けるようです。
ちなみに「1970年大阪万博」は、日本最初の万国博覧会であったことのほかにも、太陽の塔や月の石、パビリオンやコンパニオンなど物珍しい話題が盛り沢山で「EXPO’70」という愛称で親しまれ、日本中で大人気となりました。三波春夫の「世界の国からこんにちは」というテーマソングも大流行しました。