珍しい言葉の由来・語源 百葉箱・露場・鎧戸・忍び返し・犬走り・猫跨ぎ・猫いらず・サラダ味

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百葉箱

1.百葉箱(ひゃくようばこ/ひゃくようそう)

どこの小学校にもあったので皆さんお馴染みの「百葉箱」ですが、名前の由来は何でしょうか?

「百葉箱」( Instrument shelter)とは、気象観測のために設置する温度計などの観測機器を日射から遮蔽するとともに雨や雪から保護するための装置(箱)です

日本では1874年7月に内務省測量司がイギリスから導入したのが始まりです。当初は英語表現の 「double louvre boarded boxを直訳した「二重百葉窓の箱あるいは「板簾」と訳され、1886年に制定公布された「気象観測法」で「百葉箱」という言葉が初めて使われました。

「louvre(louver)」は、最近はそのまま「ルーバー」と呼ばれて建築物の「目隠し」(下の画像)によく使われていますね。

ルーバールーバー・横

全国の小学校の校庭にも設置されるようになったのは1953年に「理科教育振興法」が施行されてからで、文部省の奨励もあったからと言われることもありますが、第二次世界大戦前から小学校に「百葉箱」は設置されており、気象観測が行われていました。

しかし、1990年代には気象台や測候所などの気象官署での「百葉箱」による気温の観測は廃止されており、「百葉箱」に代わって「強制通風筒」と呼ばれる装置による気温の観測が行われています。

余談ですが、パリにある世界最大級美術館の「ルーブル美術館」(仏:Musée du Louvre、英:Louvre Museum)も「ルーバー」と同じスペルです。

ルーブルという名称の由来は、はっきりしていませんが、フランス人歴史家アンリ・ソーヴァル は、「古いラテン=サクソン用語集によると『Leouar』という言葉は『城塞』という意味である」と記しており、この「Leouar」が「Louvre」の語源であるとする説があります。「ルーブル美術館」が歴代フランス王の王宮である「ルーブル宮殿」にあることから、この説は説得力があるように私は思います。

2.露場(ろじょう)

「百葉箱」や「雨量計」などを設置した気象観測のための場所を「露場」と言います。

測定器械の感部を大気に露出するという意味で、このように名付けられたようです。

3.鎧戸(よろいど)

鎧戸

「鎧戸」は、鎧板と呼ばれる横に細長い板を、一定の傾斜をつけて何枚も平行に取り付けた戸のことです。日よけ・目隠しとなり、同時に通風・換気ができます。特に、雨戸など屋外に面して取り付けたものをいうことが多く、「がらり戸」とも言います。

なお、「シャッター」(金属製の巻き上げ式扉)のことを「鎧戸」という場合もあります。

いずれも、昔の武士の鎧の「大袖(おおそで)」や「草摺(くさずり)」(下の画像)に似ているためにこう呼ばれます。

鎧・兜の各部名称

4.忍び返し(しのびがえし)

「忍び返し」とは、文字通り、忍んで来る者(盗人や敵)を追い返すものの意で、塀の上などに先を尖らせた竹や木、または釘などを打ち付けておき、盗人などが乗り越えられないように工夫したものです。現代では、コンクリート塀の上縁にガラス片を並べた、少々無粋なものも目にします。

忍び返し忍び返し・2

5.犬走り(いぬばしり)

犬走り

「犬走り」とは、垣と溝の間や土手の斜面に設けられた細長い通路や平地部分のことです。犬が通れるくらいの幅しかないという意味合いからこう呼ばれます。

なお、城郭の「犬走り」は大規模で、彦根城の内堀の「犬走り」(下の画像)などがあります。

彦根城内堀の犬走り

6.猫跨ぎ(ねこまたぎ)

猫跨ぎ

「猫跨ぎ」とは、「魚が好きな猫でも食べずにまたいで通るほど味の悪い魚」あるいは「猫が食べるところがないほどキレイに身を食べた後の魚の骨」のことです。

7.猫いらず(ねこいらず)

猫いらず

今では、住宅の気密化が進んだので、昔の家のように「夜中に天井裏でネズミが運動会をする」(夜中に天井裏をネズミが走り回る)のを経験した人は少なくなったかもしれませんが、私は子供の頃、明治20年代に建てられた京町家に住んでいたため、時々「ネズミの運動会」で目を覚ましました

「猫いらず」とは、猫がいなくても(猫よりも)ネズミを捕れるという意味合いで、ネズミを駆除する目的で作られた殺鼠剤(さっそざい)です。

「猫いらず」は、黄リン約8%のほか,グリセリン,デンプンなどを含みます。殺鼠作用はリン中毒によります。現在では「毒物及び劇物取締法」の対象となり,ほとんど用いられていません。

8.サラダ味

せんべいなどの菓子に「サラダ味」と表示されていることがありますね。しかし「サラダのような青臭い味ではなくしょっぱい」と感じた方も多いと思います。

実は「サラダ味」とは、「サラダ油を使って作られている」ことが由来で、味付けは塩で行っているのです。

カルビーの「じゃがりこ」も、グリコの「プリッツ」も、亀田製菓の「ソフトサラダ」や「サラダうす焼き」もそうです。

この「サラダ味」というネーミングを最初に採用したのは、「柿の種」や「ハッピーターン」でおなじみの亀田製菓です。同社のホームページには次のような説明があります。

「サラダ油」がまだ高価だった1960年代、サラダ油をからめて塩をまぶしたせんべいが作られました。その頃の時代の背景として、純日本風の「塩味」とするよりは洋風の「サラダ味」とした方がおしゃれではないかということで名付けられました。それまでのしょうゆ味のせんべいに比べて、斬新で高級感のあるイメージで人気を呼び、以後、米菓の定番の味として親しまれています。
補足ですが・・・サラダ(SALAD)という言葉は英語ですが、その語源はラテン語の「SAL=塩」からきています。その昔、肉料理に付け合わせる新鮮な野菜に塩をかけて食べていた習慣に由来しているそうです。

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