フランス語由来の「外来語」(その5:ハ行)プティ・バゲット・パティシエ・パフェ・パラシュート・パラソル他

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フランス語由来の外来語

古来日本人は、中国から「漢語」を輸入して日本語化したのをはじめ、室町時代から江戸時代にかけてはポルトガル語やオランダ語由来の「外来語」がたくさん出来ました。

幕末から明治維新にかけては、鉄道用語はイギリス英語、医学用語はドイツ語、芸術・料理・服飾用語はフランス語由来の「外来語」がたくさん使われるようになりました。

日本語に翻訳した「和製漢語」も多く作られましたが、そのまま日本語として定着した言葉もあります。たとえば「科学」「郵便」「自由」「観念」「福祉」「革命」「意識」「右翼」「運動」「階級」「共産主義」「共和」「左翼」「失恋」「進化」「接吻」「唯物論」「人民」などです。

フランス語由来の外来語(フランス語から日本語への借用語)は、日本が幕末に開国して以来、欧米列強の学問や技術を取り入れる過程で日本語になりました。日本語になった外来語には、学術的な用語から料理・美術・ファッションなどの日常的な単語まで多岐にわたります。

そこで今回は、日本語として定着した(日本語になった)フランス語由来の「外来語」(その5:ハ行)をご紹介します。

1.プティ(petit)

岸田首相のあだ名は「ポチ」ですが、「ポチ」と言えばかつては愛犬の名前としてよく使われていましたね。

ところで、この「ポチ」はフランス語で「小さい」という意味の「petit」から来ているという説があります。

「ポチ」は日本で、犬 (飼い犬)に付ける名前として用いられてきており、飼い犬全般を表す代名詞としても用いられます。語源については、 フランス語 圏の宣教師が犬を「 petit 」(プチ=「小さい」の意味)と呼んだのを日本人が犬名と誤解したとする説、擬態語 であるポチ柄の犬(ぽちぽちとブチ模様がある犬)を示す説、日本語の「これっぽっち」「ぽっちり」、英語の「pooch」(プーチ = 口語で「犬」を意味する)や「spotty」(スポッティ = 斑の犬) 、チェコ語の「Pojd’」(ポチュ = 来い)に由来するという説などがあります。

いずれにせよ、 明治時代 から広まった新しい名称ですが、1901年(明治34年)に出版された「幼年唱歌 初編 下巻」に収録された童謡「 花咲爺 」で犬の名前をポチとしています。

なお「有力者、権力者に対して従順な者や媚びへつらう者に対する蔑称」としても用いられ、岸田首相のあだ名も多分この意味ですね。

ほかには「プティ(プチ)フール(petit four)」(「小さな釜」という意味で、一口サイズのケーキ)や「プティ(プチ)コース」(フルコース料理ではない、ちょっとお手軽なコース料理)などと使われています。

2.バゲット(Baguette

バゲット

「バゲット」はフランス語で「細い棒、杖」などの意味です。

別名バゲット・ド・パリ、パリジェンヌ(ロレーヌ地方で)、フランスパン(ベルギーおよびケベック州で)などとも呼ばれ、各地にさまざまな種類がありますが、その細長い形状が共通の特徴のフランスパンで、フランスを代表するパンです。

3.パティシエ(pâtissier)・パティシエール(女性単数形:pâtissière

「パティシエ」とは菓子製造人のことで、洋菓子やデザートを作る職人を指す言葉です。

4.パ・ド・ドゥ(Pas de deux

パ・ド・ドゥ

「パ・ド・ドゥ」は「2人のステップ」という意味で、バレエ作品において男女2人の踊り手によって展開される踊りを言います。

多くはバレエの中の最大の見せ場となっています。同性2人による踊りは「デュエット」といい、パ・ド・ドゥとは区別されます。概して東洋の舞踊は女性が一人で踊るものが多いのに対し、男女が一緒に踊るパ・ド・ドゥは西洋に特有のもので、西洋における「愛」を象徴するものだとの見方があります。

5.パフェ(parfait

「パフェ」とは、背の高いグラスに、アイスクリーム、フルーツを主体として、その他の甘い具を加えたデザートです。そのときどきにより、生クリーム、バタークリーム、チョコレート・ソース、シリアル、ナッツなどを加えます。

パフェは、「完全な」を意味するフランス語「パルフェ(parfait)」に由来し、「完璧なデザート」の意味で名付けられました。

6.パラシュート(Parachute

「パラシュート」は、傘のような形状で空気の力を受けて速度を制御するものです。名前はイタリア語の「守る」 (parare) とフランス語の「落ちる」 (chute) を組み合わせた造語です。

日本語では「落下傘(らっかさん)」とも呼ばれています。

7.パラソル(parasol)

ラテン語のpara(反)とsol(太陽)とからなる語で、婦人用日傘のことです。英語ではサンシェード(sunshade)ということもあります。日本では洋風日傘のことを言います。

8.バレエ(ballet

「バレエ」は、西ヨーロッパで発生し広まった、歌詞・台詞を伴わない舞台舞踊、及びその作品を構成する個々のダンスです。音楽伴奏・舞台芸術を伴いダンスによって表現する舞台です。

物語性をもち、複数の幕をもつ舞踊劇が多く、「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「ドン・キホーテ」などがあります。

しかし20世紀以降には物語性を否定する作品も生まれました。一方で短い小品でありながら優れた物語性を持つものもあります(例:「瀕死の白鳥」など)。

事前に振付家によってバレエ独特の所作を指定されたものを演じ、即興作品は多くありません。振付の仕方を振付術(コレオグラフィー)と言います。

9.ポプリ(pot-pourri

「ポプリ」は、花や葉・香草(ハーブ)、香辛料(スパイス)、木の実、果物の皮や苔、精油またはポプリオイルなどの香料を混ぜあわせて容器に入れ熟成させて作る室内香の一つです。

語源はフランス語で「ごった煮料理」を意味したpot pourri(直訳=「腐った鍋」)で、多様な材料を混ぜて壺に入れて作ったことに由来します。

日本には、カナダのL・M・モンゴメリ作の小説『赤毛のアン』シリーズの『アンの友達』の中で、村岡花子が「雑香」と訳して紹介したとされています。

10.パロール(parole)・ラング(langue)

スイスの言語学者ソシュールは、言語(language ランガージ)には、「ラング(langue)」と「パロール(parole)」という二つの側面があると考えました。

「ラング」とは、ある言語社会の成員が共有する音声・語彙・文法の規則の総体(記号体系)です。

それに対して、「パロール」は、「ラング」が具体的に個人によって使用された実体です。そして、「パロール」は、個人・場面によって異なり、言いよどみ、言い誤りなども含むことから、ソシュールは、言語学の研究は「ラング」を対象とすべきであるとしました。

ソシュールによれば、「パロール」とは、個人が「ラング」の規則と条件に従ってその意志を表現するために行う具体的な発話行為です。

また、「ラング」が社会的な側面に立つのに対して、「パロール」は個人的な側面に立ちますが、必ずしもこの概念は対立しているわけではなく、むしろ相互依存的な形を取っています。

11.パンセ(Pensées

『パンセ』は、晩年のブレーズ・パスカルが自らの書籍の出版に向けて、その準備段階で、思いついたことを書き留めた数多くの断片的な記述を、彼の死後に遺族などが編纂し刊行した遺著です。

「パンセ(pensée)」はフランス語の動詞 penser(考える)の過去分詞 pensé から生じた名詞で「考えられたこと」、「考え」、「思考」、「思想」という意味です。

12.パンタロン(pantalon)

パンタロン

「パンタロン」は、ズボンのデザインの一種で、またそのようなデザインのズボンそのものを指す言葉です。「ラッパズボン」とも言います。

脚の筒の形が、腰から膝までは身体にフィットし、膝から裾に向かって広がっているものです。

金管楽器のベルの形に似ていることから「ベルボトム(bell-bottoms)」とも呼ばれています。。丈の長いブーツを下に履けることから「ブーツカット」という呼び方も一般的です。

13.ピーマン(piment)

「ピーマン」は、ナス科の一年草、およびその果実で、トウガラシの栽培品種に分類されます。

日本語の「ピーマン」の由来は、広義のトウガラシを指すフランス語の 「piment(ピマン)」、あるいはポルトガル語の 「pimento(ピーメント)」とされます。ピマンやピーメントの語源は、「塗料」「顔料」を意味するラテン語の 「pigmentum」 だと言われています。

14.ビバーク(bivouac

「ビバーク」とは、登山やキャンプなどにおいて、緊急的に野営することを指す用語です。「不時泊」とも言います。

15.ビュッフェ(buffet)

「ビュッフェ」とは、フランス語で立食形式での食事という意味です。「ビュフェ」や「ブッフェ」とも言います。

「ビュッフェ」はフランス語ではもともと「飾り棚」を意味し、飾り棚に料理を並べて各自が料理を好きに取り分けて立食するスタイルを指しました

メインテーブルに並べられた料理を各自が取り分ける立食形式の食事を「ビュッフェ」と呼びます。さらに客側がセルフサービスで料理を自由に皿に取り分けるスタイルそのものをビュッフェと称することもあり、その場合には立食形式のほかシッティング・ビュッフェ(元卓の料理をセルフサービスで取り分け自分のテーブルで着席して飲食する形式)を含みます。

16.ブイヨン(boullion)

「ブイヨン」は、肉と野菜を水で長時間煮込んだもので、その名の通り「洋風出汁(だし)」です。本来は調味料を加える前の状態を指します。様々なスープの基本となるもので、英語圏では「スープストック」とも呼ばれます。

ちなみに「コンソメ」は、そのまま飲むことができる完成されたスープを指します。

17.ブーケ(bouquet)

「ブーケ」とは、「生花や造花の花束」「種々の花の匂いを混合した香水」「ワインの芳香」を意味します。

日本でブーケが広まったのは第二次世界大戦後であり、結婚式の洋式化に伴い用いるようになりました。日本では習慣的に、花瓶に差すまでの一時の包装手段を花束(はなたば)、結婚式で花嫁が持つ花束ウェディングブーケをブーケと言うことが多いようです。

18.フォアグラ(Foie Gras

「フォアグラ」は、「世界三大珍味(トリュフ・キャビア・フォアグラ)」として有名な食材です。ガチョウやアヒルに沢山の餌を与えることにより、肝臓を肥大させて作ります。

フランスでは、クリスマスや祝い事の伝統料理およびご馳走として食されます。

フランス料理の食材の一つであり、宮廷料理として供されたり、美食家や富裕層にも食されています。

19.フォン・ド・ヴォー(fond de veau

「フォン・ド・ヴォー」とは、フランス料理で用いられるフォン、つまり出汁の一種です。

フォン・ド・ヴォーは、仔牛の骨付き肉やスジ肉を、焼き色が付くまで炒めるかオーブンで焼いてから、ブイヨンや水を加え、弱火でゆっくり煮込み、タマネギやセロリなどの香味野菜と香辛料、トマト(生あるいはピュレ)を加えて、更に煮込んで作ります。

20.プチフール(petit four、複数形は petits fours

「プチフール」は、フランス語で「小さな窯」という意味で、一口サイズのケーキです。

一般に色々な種類のものを取り合わせる形で、食後のデザートや、ビュッフェ形式の料理の一部として供されます。

21.ブティック(boutique

「ブティック」は、フランス語で洋装店(magasinよりも小規模の店)という意味で、一般的にはファッショナブルで高級なアパレル商品や高価格ジュエリーを扱っている小規模の小売店のことです

22.ブルジョワジー(bourgeoisie)・ブルジョワ(bourgeois

「ブルジョワジー」は、中産階級のことであり、「有産階級」とも呼ばれます。特に17~19世紀においては革命の主体になりうるほどの数と広がりを持つ階層でしたが、市民革命における革命の推進主体となった都市における有産の市民階級をさす場合もあります。貴族や農民と区別して使われました。

短く「ブルジョワ」とも言いますが、これは単数形で個人を指します。20世紀の共産主義思想の下で産業資本家を指す言葉に転化し、共産主義者の間では概ね蔑称として用いられましたが、この資本家階級という意味では上層ブルジョワジーの指しているいます。

23.ブルゾン(blouson)

「ブルゾン」は、ふくらませた身頃の裾をベルトやタックで絞った、ウエスト丈または腰丈のジャケットのことです。フランス語の「ブルーズ(blouse)」が語源とされています。
英語のジャンパー(jumper)を意味するフランス語です。 1980年代以降、仕事着的な意味合いの強かったジャンパーに代わり、洗練されたニュアンスをもたせてブルゾンという言葉が使われるようになりました。

24.プレタポルテ(prêt-à-porter)

「オートクチュール(haute couture)」(高級注文服、高級オーダーメイド服)は、限られた個人客からの注文を受け、個人の体型に合わせ、手作業で製作した服を顧客に渡すという流れですが、「プレタポルテ(prêt-à-porter)」(高級既製服)は、基本的には卸売業者からトルソーを使い、立体裁断による型紙作り(産業パターン)を経て、大量受注して生産する流れとなります。

かつて既製服は、既製品という意味を持つ「コンフェクション」や「レディ・メイド」と呼ばれていましたが、これらの言葉は「大量生産された粗悪な安物」というニュアンスを持っていたため、それらと区別するために「プレタポルテ」立体裁断、産業パターンという言葉が生まれました。

その後、全体的な既製服の品質が向上し、prêt-à-porterは既製服一般を示す言葉となりました。

一方、日本語では当初の区別のまま「プレタポルテ」は高級既製服という意味で使われています。

25.ベージュ(beige)

「ベージュ」は、明るい灰黄色のことです。染色・漂白する前の自然のままの羊毛の色で「らくだ色」とも言います。

本来は、染めていない羊毛での毛織物をベージュと言いました。色名としてのベージュはその織物の色、つまり、極めて薄い黄色ないし茶色です。

26.ベレー(béret)帽

「ベレー帽」は、軟らかく丸くて平らな、鍔や縁のない帽子です。ウールフェルト製が多いですが、様々な素材で作られます。

27.ポタージュ(potage)

「ポタージュ」は、フランス語でフランス料理が確立する過程で洗練されたスープ全般を指す言葉で、古くからの郷土料理の色彩の濃いものとは区別されます。

日本ではスープ類のうち、とろみのついたものはポタージュ、澄んだものはコンソメと呼ばれます。

28.ポトフ(pot-au-feu

「ポトフ」は、フランスの家庭料理の一つで、鍋に塊のままの牛肉、野菜類に香辛料を入れて長時間煮込んだものです。「ポトフー」と表記される場合もあります。

フランス語でpotは鍋や壺、feuは火を示すため、「火にかけた鍋」といった意味になります。

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