「スマホ脳」とは?スマホ脳過労・スマホ認知症とは?アンデシュ・ハンセンとは?

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スマホ脳

一昔前になると思いますが、一時期「右脳(うのう/みぎのう)」と「左脳(さのう/ひだりのう)」という言葉を頻繁に聞きました。

そして「左脳の時代から右脳の時代へ」という右脳を重視するようなキャッチフレーズもあったように思います。

右脳と左脳

ところで最近、スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンが書いた「スマホ脳」がベストセラーになりました。

そこで今回は、「スマホ脳」、スマホ脳過労・スマホ認知症、著者のアンデシュ・ハンセンについてわかりやすくご紹介したいと思います。

1.「スマホ脳」とは

「スマホ脳」とは、2020年11月に新潮社から出たアンデシュ・ハンセンの本です。

(1)「スマホ脳」という本の概要・要約とポイント

<概要>

「スマホ脳」では、スマホを使い続けることで人間の脳がどのように蝕まれていくかが述べられています。

「人間の脳が現代社会に適応できているのか?」「スマホに依存しすぎるとどうなるのか?」「自分や子供がスマホを長時間使用することでどんな影響があるか?」がわかり、スマホによる悪影響を回避できます

「スマホやSNSを日頃から使っているが、なぜ夢中になってしまうのか分からない。辞められない」と悩んでいる方も少なくありません。

脳の仕組みに関する専門知識が解説されており、人間がスマホやSNSにはまってしまうカラクリが分かります。スマホとどう付き合えばいいのかという対策方法も書かれているので、これからの人生をうまく過ごせるようになります。

スマホやSNSの欠点を指摘しているのが本書の特徴です。こんなにも悪い影響があるのかと実感することができ、つい夢中で読みたくなります。

本書を読み終えた後、スマホやSNSとの上手な付き合い方を学び、実践できるようになります。

自分自身の人生をより良いものに変えていくために早速行動したくなる一冊です。

私も個人的に、「情報遮断」や「瞑想」「内省」の必要性を実感しています。「判断停止(エポケー)とは?思考停止との違いは?」「孤独力は内省力!孤独を楽しみ恐れず自分を見つめ直す」「マインドフルネス瞑想法を紹介した吉田昌生氏の1分間瞑想法」「cocorusはマインドフルネス瞑想を提供するリラクゼーションアプリ」「曹洞宗の開祖・道元とはどんな人物だったのか?その生涯と思想とは?」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

<要約>

① 人類はこれまでほとんどの期間、狩猟採集生活を送り、さまざまな危険に囲まれていました。そうした生活に合わせて進化した脳は、現代社会に適応できていません。

② スマホやSNSは脳の報酬系を刺激して依存させ、集中力を低下させます。ITの先駆者(Appleの創始者のスティーブ・ジョブズやMicrosoftの創始者ビル・ゲイツ)たちはそのデメリットを認識し、自分や子供のスマホ利用時間を制限していました。

③ SNSはむしろ人を孤独にさせます。とくに子供のスマホ利用は、自制心の発達に悪影響をもたらします。

④ 睡眠時間を増やし、運動をして、スマホ利用時間を制限すべきです。それが集中力を高め、心の不調を予防する方法です。

<ポイント>

① スマホへの依存

「スマホ脳」では、スマホを触りたくなってしまうのは脳がドーパミンという神経伝達物質を放出するからだと述べられています。

SNSに投稿することで誰かが自分の発言を見てくれるかも、反応をくれるかもと考えてしまうのです。ドーパミンは期待が高まることで放出されて、人間を気持ち良くします

報酬を獲得した時も気分が高揚しますが、ドーパミンは報酬を得られるかもしれないという期待がきっかけになっています。少し時間があるからスマホを見てみようという行動がそれです。

②スマホの悪影響

「スマホ脳」では、スマホやSNSに依存したときの悪影響がわかりやすく述べられています。

SNSに依存しすぎると、人は孤独を感じてしまいます。誰かと繋がりたくて始めたSNSが孤独感を強めてしまい逆効果です。

手元にあるスマホが気になって、集中力が低下してしまう可能性もあります。近くにスマホがあるとどうしても使いたくなってしまい、作業ペースが遅くなります

集中力が低下することで記憶が脳に定着しにくくなったり、スマホは便利だけど使いすぎると危険な悪影響があるので注意が必要です

③対策方法

「スマホ脳」では、スマホの悪影響の対策として継続的な運動習慣スマホを手元から遠ざけことが述べられています。

運動体にも心にも良い影響を与え、集中力も増加します。5分でもいいので筋トレやランニングすることがおすすめです。

ずっと同じ姿勢でスマホを見ていると体が痛くなりますが、体を動かすと気分もリフレッシュできます。

時間は腕時計で確認し、大事な連絡以外はスマホに頼らないようにするとスマホの悪い影響から身を守れます。

(2)「スマホ脳過労」について

スマホ脳

最近、スマホの使いすぎが原因で、脳に異常をきたす人が増えているという指摘が、医師や研究者の間で相次いでいます。スマホによる「認知機能の低下」、「スマホ脳過労」とも呼ばれています。

上の画像はスマホが原因で脳過労に陥った人の脳画像です。青くなっているのは、血流が減って機能が鈍っている部分です。正常な時と比べると、明らかに機能の低下が広がっています。

次に、NHK「クローズアップ現代」で取り上げられた例をご紹介します。

岐阜県の、もの忘れ外来です。以前は高齢の患者がほとんどでしたが、5年ほど前から異変が起きたといいます。

脳神経外科 奥村歩医師
「30代から50代の働き盛りの患者さんが、全体の4割を占めるに至っている。」

1年前、スマホによる脳過労と指摘された田中さん(仮名)、59歳です。自動車販売店で支店長を務めています。田中さんは、8年前からスマホを愛用。メールやSNSに加え、仕事に役立つと思うネット記事は頻繁にチェックするといいます。

田中義人さん
「話のネタに使えますし、社内の部下育成に使えるネタがたくさんあります。私自身がこういったツールにしろ情報にしろ嫌いじゃないので、知らないうちにそれが体に影響している、そういう診断でした。」

最初の異変は、もの忘れでした。なぜか、部下の名前が思い出せない。こうしたことが頻繁に起こるようになりました。
そして、部下がミスをすると…。

「今どき、小学生だってやらないよ!大体、君はどういう教育を受けてきたんだね!」

田中さんはもともと温厚な性格でしたが、周囲の目も気にせず、どなりつけてしまうことが増えたといいます。しかも驚くことに、田中さん自身はこうした異変に全く気づいていなかったというのです。

田中義人さん
「かなりひどいことを言っていましたけれども、私自身は自覚もないし、全く異常がないと思っていましたけれども、妻のほうが『おかしいんじゃないか』と。はたから見て。」

奥さんの勧めで受診した田中さん。奥村医師はこうアドバイスしました。「まずは5分でもいいから、スマホを触らない、ぼんやりする時間を作ってください」。
実は、脳にはぼんやりするときに活発化する回路があることが分かってきました。これを「デフォルト・モード・ネットワーク」といい、情報を整理する役割を果たしていると考えられています。

脳の情報処理には、3つの段階があります。情報を入れる「インプット」。次にデフォルト・モード・ネットワークによる「整理」。そして、話すなどの「アウトプット」。しかし、ぼんやりすべき時にスマホを使いすぎると、この「情報の整理」が行われないため、脳がまるで、ごみ屋敷に

スマホ脳過労

すると、覚えることや話すことにも悪影響が及ぶと奥村医師はいいます。

脳神経外科 奥村歩医師
「スマホが息抜きだと考えているかもしれないが、息抜きが息抜きになっていなくて、そのスマホが“脳過労”を増大・悪化させる最大の原因になっている方が非常に多い。」

同じく脳過労を指摘された、55歳の藤本さん(仮名)です。数年前に乳がんを患い、最近は母親の介護の心配も出てきました。藤本さんは、ある感覚に悩んでいました。「何をしても心に響かない」というのです。

藤本好子さん
「例えば映画を見に行くとか好きだったんですけど、それがさほど面白くなくなってしまう。(前は)どきどきしていたのが全然しらっとして、途方にくれた。」

スマホ脳過労

奥村医師の診断によると、藤本さんはデフォルト・モード・ネットワークが働きにくくなっている上、前頭葉の機能低下のおそれがありました。前頭葉は、判断や意欲、そして、感情まで司っています。藤本さんは、病気や介護でもともとストレスを抱え、前頭葉は余裕がない状態でした。そんな時、スマホで病気のことを頻繁に調べるうち、前頭葉に疲労がたまったのではないかといいます。

藤本好子さん
「意欲というか、好奇心が摩耗したような感じ。何を始めても結局きっとつまらないと思っちゃう、そんな感じがありました。」

このスマホによる「脳過労」という概念は、奥村医師のほかにも、複数の医師や研究者が警鐘を鳴らしています。

脳神経外科医の天野惠市さんは、東京でもここ数年同じような患者を診る機会があると話していて、脳が情報で満杯になる状況を例えて、仮に「オーバーフロー脳」と名付けているそうです。

スマホ脳過労

また、ドイツや韓国では「デジタル認知障害」と呼ぶ専門家もいます。そして、研究者の一人、韓国のソ・ヒョンソク教授は、スマホ依存で起こる異常が一時的なものなのか、それとも認知症の初期症状なのか検証すべきだと話しています。

(3)「スマホ認知症」について

これについては、前に「最近スマホ認知症が増加?対処法はデジタルデトックスと頭の休息とアナログ思考」という記事に詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

2.アンデシュ・ハンセンとは

アンデシュ・ハンセン

アンデシュ・ハンセン(1974年~ )はスウェーデン・ストックホルム出身の精神科医です。

前作「一流の頭脳」が人口1,000万人のスウェーデンで60万部の大ベストセラーとなり、世界的人気を得ました。名門カロリンスカ医科大学で医学を学び、ストックホルム商科大学でMBA(経営学修士)を取得。

現在は上級医師として病院に勤務しながら、執筆や講演活動、メディア出演も行っています。


スマホ脳 (新潮新書) [ アンデシュ・ハンセン ]