日本語の面白い語源・由来(ふ-⑥)風雲児・夫人・不届き・踏ん反り返る・プレハブ・札付き・降って湧く

フォローする



坂本龍馬

日本語の語源には面白いものがたくさんあります。

前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。

以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。

1.風雲児(ふううんじ)

神田松之丞

「幕末の風雲児」と言えば坂本龍馬高杉晋作ですが、中之島中央公会堂を寄付した相場師で「北浜の風雲児」と呼ばれた岩本栄之助や、現在なら「講談界の風雲児」と呼ばれる神田伯山(襲名前:神田松之丞)がいます。

風雲児」とは、「好機に乗じて活躍する英雄的人物」です。

風雲児の「風雲」とは、竜が風と雲を得て天に昇るような勢いで、英雄・豪傑が頭角を現す好機のことです。転じて、世の中が激しく動きそうな気運もいいます。

風雲児は、世の中の乱れなどに乗じて才能を現し活躍することから、こう呼ばれるようになりました。

2.夫人(ふじん)

夫人

夫人」とは、「他人の妻を敬っていう語」です。奥様。

夫人の「夫」は、元々は「扶」であったと考えられています。
「扶」は「手」と「音符夫」からなる字で、手の指を脇の下にぴったりと当てて支えることを表します。
「扶」の「夫」は発音を示すのみで意味はありませんが、夫を助ける意味を含んで「扶人」を用い、「夫人」に変化したと思われます。

古く、「夫人」を中国では天子の妃や諸侯の妻をいい、日本では皇后や妃の次に位する後宮の女性をいいました。

のちに、「夫人」は貴人の妻をいう語として用いられるようになり、現在では、他人の妻を敬っていう語として使われるようになりました。

3.不届き(ふとどき)

不届き者の取り締まり

不届き」とは、「配慮・注意が行き届かないこと。不注意なこと。道理や法にそむく行いをすること。不埒なこと」です。

古くは、不届きを「ぶとどき」ともいい、文字通り「届かないこと」の意味でした。
届かない対象が「法」や「道理」に当てられて、道や法にそむいた行為を意味するようになり、転じて「不埒なこと」「不注意なこと」も意味するようになりました。

不届きは、中世後期以降、文書用語として用いられた言葉で、近世以降、武士の会話の中でも使われるようになりました。

町人の間では、武士の威圧的な態度を表す言葉と受け取られ、武士をからかう際に「不届き」が用いられることもありました。

4.踏ん反り返る(ふんぞりかえる)

踏ん反り返る

ふんぞり返る」とは、「足を前に突き出し上体を後ろへ反らすこと。威張った態度をとること」です。

ふんぞり返るの「ふん」は、「ふみ(踏み)」が撥音便化した語で、「踏ん張る」という意味です。
「ぞり」は「そる(反る)」が連濁したもので、上体を後ろの方へ曲げる意味です。
「返る」は、踏ん張り反る動作の「ふんぞる(踏ん反る)」を強調したものです。

ふんぞり返るは、上体を後ろへ反らすことをいう語ですが、そのような姿勢は偉そうな態度をとっているように見えることから、威張った態度についても言うようになりました。

現代では、その姿勢よりも、尊大な態度をとる意味で「ふんぞり返る」を使うことが多くなっています。

5.プレハブ/prefab

プレハブ

プレハブ」とは、「あらかじめ工場で部材を生産・加工し、現場では加工を行わず組み立てる建築工法。また、その工法で建てられた建物」のことです。

プレハブは英語「prefab」からの外来語で、「prefabricated house」の略です。
「prefabricate」の「pre」は「あらかじめ」、「fabricate」は「組み立てる」を意味します。

日本では、1960年頃からこの建築工法が取り入れられました。

6.札付き(ふだつき)

札付き

札付き」とは、「悪い評判が世に知れ渡っていること。また、その人」です。「札付きのワル」などと使います。

札付きは、江戸時代の人別帳に由来します。
江戸時代、「連座」という制度があり、罪を犯した本人だけでなく、家族や隣近所(五人組)などにも刑罰が及びました。家族や近所の中に素行の悪い者がいると、罪を着せられる可能性があります。

そのため、「人別帳」と呼ばれる戸籍謄本のようなものに、あらかじめ札を付け、要注意人物としていたことから、定評の悪い者を「札付き」と言うようになりました。

悪い評判について使う言葉なので、良い評判については「札付き」を使いません。

良い評判をいう場合は、「折り紙つき」を使います。

7.降って湧く(ふってわく)

降って湧く

降って湧く」とは、「物事が突然起こる。思いがけなく現れる」ことです。

降って湧くは、室町時代の『玉塵抄』にある「なにも根本のない、降って湧いたことか」が古い例です。

この言葉は、降ったことによって湧いてくることを表しているのではなく、「天から降る」と「地から湧く」を合わせた表現で、天から降り地から湧くことが同時に起こることを意味します。

そのような思いがけない出来事に遭遇したようなというたとえで、「降って湧いたような縁談」や「降った湧いたような話」などと用いるようになりました。