漢字発祥の国だけあって、中国の「四字熟語」は、人生訓にもなるような含蓄に富んでおり、数千年の悠久の歴史を背景とした故事に由来するものも多く、人類の叡智の結晶とも言えます。
そこで今回は、「喜怒哀楽」を表す四字熟語のうち、「苦しみ・苦労」を表す四字熟語をご紹介したいと思います。
1.苦しみ・苦労
(1)一日九回/一日九廻(いちじつきゅうかい)
ひどく心配して、悩み苦しむこと。
「九」は何度もということ。一日に何度も腸がねじれるほどに悩み苦しむということから。
(2)轅下之駒(えんかのこま)
まだ荷を引く力がないウマの意から、他人に束縛されて自由がきかなく苦しむこと。また、力不足で仕事が処理できないこと。
「轅下」は、馬車や牛車のながえの下。ながえは、車を引くため左右から突き出た二本のかじ棒のこと。「駒」は、若いウマ、二歳馬。
(3)縁木求魚(えんぼくきゅうぎょ)/求魚縁木(きゅうぎょえんぼく)
木によじ登って魚をとろうとする意から、方法が間違っているために目的を達するのがむずかしいこと。また、やろうとしても絶対に不可能なこと。むりな望みのたとえ。
「縁」は、手がかりにする。「縁木」は、木によじ登る。
「木(き)に縁(よ)りて魚(うお)を求(もと)む」と訓読する。
(4)臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
将来の成功を期して苦労に耐えること。薪の上に寝て苦いきもをなめる意から。
「臥」はふし寝る意。「薪」はたきぎ。「嘗」はなめること。「胆」は苦いきも。もとは敗戦の恥をすすぎ仇(あだ)を討とうと、労苦を自身に課して苦労を重ねること。
(5)艱苦奮闘(かんくふんとう)
苦しいなかでも力の限り戦うこと。
「艱苦」は辛く苦しい状況。「奮闘」は力を尽くして戦うこと。
(6)含垢忍辱(がんこうにんじょく)
辱めに耐えること。
「含垢」と「忍辱」はどちらも辱めに耐えること。
「垢(あか)を含(ふく)み辱(はずかし)めを忍(しの)ぶ」と訓読する。
(7)韓信匍匐/韓信蒲伏(かんしんほふく)
将来の大きな目的のために、一時の屈辱や苦労を耐え忍ぶことのたとえ。韓信が腹ばいになって人の股(また)の下をくぐる意から。
「韓信の股くぐり」という句で有名。
「韓信」は、中国漢の高祖劉邦の臣下で、名将として知られた人物。「匍匐」は、腹ばいになって進むさま。
韓信がまだ若く貧乏なころ、淮陰(わいいん)の若者に、「お前は立派な長剣をさげているが、できるものなら、その剣で俺を一突きにしてみろ。できないなら俺の股の下をくぐれ」と挑発された。韓信は腹ばいになって若者の股下をくぐり、見かけ倒しの臆病者だと大勢の前で嘲笑された。しかし、のちに大人物になったという故事から。
(8)艱難辛苦(かんなんしんく)
非常な困難にあって苦しみ悩むこと。
「艱」「難」はともにつらい、苦しい、悩むの意。「辛苦」はつらく苦しいこと。つらい目にあって悩むこと。
(9)汗馬之労(かんばのろう)
物事を成功させるためにあれこれ奔走する労苦のたとえ。
「汗馬」は、馬に汗をかかせることで、戦功を得るために戦場を駆けめぐること。また、それによって得た戦功のこと。
(10)崎嶇坎坷/崎嶇坎軻/崎嶇轗軻(きくかんか)
才能がありながら機会に恵まれず、目指していた地位や役職に就くことができないこと。
「崎嶇」は山道の傾斜が厳しい様子のことで、人生の難儀な様子のたとえ。
「坎坷」は機会に恵まれず、志を得ることができない様子。
(11)匡衡鑿壁(きょうこうさくへき)
貧しい生活をしながらも勉学に励むこと、苦学のたとえ。
「匡衡」は中国の前漢の学者の名前。
匡衡は家が貧しく、灯火を買うことができなかったので、壁に穴を開けて隣の家の明かりで読書をしていたという故事から。
(12)苦心孤詣(くしんこけい)
全力で努力して、勉学や技術、芸術に精通していること。
または、深い知識や豊かな独創性を言い表す言葉。
(13)苦心惨憺/苦心惨澹/苦心惨淡(くしんさんたん)
心をくだいて非常な苦労を重ね、工夫をこらすこと。
「苦心」はあれこれ心をくだいて考えること。「惨憺」は心をくだき悩ますこと。
(14)苦節十年(くせつじゅうねん)
長い間、苦労を耐え忍びながら、初心を守り通すこと。
「苦節」は、苦労を耐え忍びながら、初志を守りぬくこと。「十年」は、長い間の意。
(15)求不得苦(ぐふとくく)
求めているものが得られない苦しみ。不老不死を求めても得られない苦しみのこと。また、物質的な欲望が満たされない苦しみのこと。
(16)経営惨憺/経営惨澹(けいえいさんたん)
いろいろなことに苦心して、心を悩ませながら計画して営むこと。
「経営」は目的のために考えて準備して行動すること。「惨憺」は心を砕いて悩むこと。
「惨憺経営」ともいう。
(17)桂玉之艱(けいぎょくのかん)
よそから物価の高い都会に来て、生活難に悩みながら暮らすことのたとえ。また、都会に出てきて苦学することのたとえ。
「桂」は、香木。「玉」は、宝玉。「艱」は、悩む・苦しむ。
中国戦国時代、遊説家の蘇秦(そしん)が楚の威王(いおう)と会うために楚を訪れたが三ヵ月も待たされた。その間、物価高に悩まされ、威王と面会したとき、「食べ物は宝玉よりも高く、薪は香木よりも高い」と嘆いたという故事から。
(18)攻苦食啖/攻苦食淡(こうくしょくたん)
粗食を受け入れて、辛い状況を我慢すること。または、苦学すること。
「攻苦」は苦しく辛いことと戦うこと。または、苦学すること。
「食啖」は味の無い食べ物を食べること。
「攻苦(こうく)啖(たん)を食らう」と訓読する。
(19)敲氷求火(こうひょうきゅうか)
目的に合った方法をとらないと、いくら苦労してもその目的は達せられないことのたとえ。また、見当違いの無理な望みをもつことのたとえ。
「敲」は、たたく。いくら氷をたたいても火を起こすことはできないことから。
「氷(こおり)を敲(たた)いて火(ひ)を求(もと)む」と訓読する。
(20)極大苦悩(ごくだいくのう)
この上なく大きな悩みや苦しみのこと。
「極大」は非常に大きいこと。
(21)刻苦精進(こっくしょうじん)
自身を傷つけるほどに専念して努力すること。
「刻苦」は自身の心身を苦しめるほどに努力すること。
「精進」は苦労しながらも努力すること。
(22)刻苦勉励(こっくべんれい)
心身を苦しめて仕事や勉学に励むこと。
「刻苦」は非常な苦労をすること。「刻」は責める、苦しめる意。「勉励」は務め励むこと。
(23)歳寒松柏(さいかんのしょうはく)
逆境や苦難の時にあっても、志や節操を失わないこと。冬の厳しい寒さにも、松や柏が緑の葉をつけているという意から。
「歳寒」は、冬の寒い時期。「柏」は、常緑樹のコノテガシワ。出典(『論語』子罕)の「歳(とし)寒(さむ)くして、然(しか)る後(のち)に松柏(しょうはく)の後(おく)れて彫(しぼ)むを知(し)るなり」による。
(24)坐薪懸胆/座薪懸胆(ざしんけんたん)
将来の成功や活躍のために、苦労をいとわず、つらい生活をじっと耐え忍ぶ意。つらい生活を耐えることで、敵愾心(てきがいしん)や闘志をかきたてること。もとは、復讐のために耐え忍ぶこと。
痛さをこらえて薪(たきぎ)の上に座り、苦い肝(きも)を寝床に掲げておいて、それをなめながら復讐を誓うという生活から。
「薪(たきぎ)に坐(ざ)し、胆(きも)を懸(か)く」と訓読する。
(25)山窮水尽(さんきゅうすいじん)
非常に苦しい立場に陥って、どうすることもできない状況になること。
山奥で道が無くなって進めなくなり、川を渡るための橋がなく進めなくなるという意味から。
「山(やま)窮(きわ)まり水(みず)尽(つ)く」と訓読する。
(26)四苦八苦(しくはっく)
非常に苦労すること。たいへんな苦しみ。もと仏教の語で、あらゆる苦しみの意。
「四苦」は生(しょう)老・病・死の四つの苦しみ。「八苦」は「四苦」に愛別離苦(あいべつりく)(親愛な者との別れの苦しみ)、怨憎会苦(おんぞうえく)(恨み憎む者に会う苦しみ)、求不得苦(ぐふとくく)(求めているものが得られない苦しみ)、五蘊盛苦(ごうんじょうく)(心身を形成する五つの要素から生じる苦しみ)を加えたもの。
(27)死生契闊(しせいけっかつ)
生死を共にすることを約束して、共に苦労しながらも努力すること。
「契闊」は長い間会わないことや、苦労し努力すること。
(28)七転八倒/七顛八倒(しちてんばっとう/しってんばっとう/しちてんはっとう)
激しい苦痛などで、ひどく苦しんで転げまわること。転んでは起き、起きては転ぶこと。
「七」「八」は数が多いことをいう。
(29)七難八苦(しちなんはっく)
様々な苦難や災難のこと。または、災難や苦難にあうこと。
元は仏教語で経典によって異なるが、『観音経』で「七難」は、火難、水難、羅刹難、王難、鬼難、枷鎖難、怨賊難の七つのこと。
「八苦」は、生、老、病、死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦の八つのこと。
(30)漆身呑炭(しっしんどんたん)/呑炭漆身(どんたんしっしん)
仇(かたき)を討ったり、復讐のために、どんな苦しみや苦労もいとわないこと。
「漆身」は、身体に漆を塗りつけること。「呑炭」は、炭を呑むこと。
「身(み)に漆(うるし)し、炭(すみ)を呑(の)む」と訓読する。
(31)櫛風沐雨(しっぷうもくう)/沐雨櫛風(もくうしっぷう)
風雨にさらされながら、苦労して働くこと。また、世の中のさまざまな辛苦にさらされることのたとえ。
「櫛風」は風に髪が櫛くしけずられること。「沐雨」は雨で髪が洗われること。
(32)慈悲忍辱(じひにんにく)
仏教語で、「慈悲」は慈しみ深い心、「忍辱」は苦難を耐えてしのぶことで、情け深くどんな苦難も耐えてしのぶこと。
または、僧が守るべき道のこと。
(33)四面楚歌(しめんそか)
周囲がすべて敵や反対者で、まったく孤立して、助けや味方がいないこと。また、そのさま。孤立無援。
中国楚(そ)の項羽(こうう)が、四面を囲む漢の劉邦(りゅうほう)の軍の中から楚の歌を聞き、楚はすでに漢に降くだったのか、と驚き嘆いた故事から。
(34)車胤聚蛍(しゃいんしゅうけい)
苦学することのたとえ。
「車胤」は人の名前、「聚」は集める、「蛍」は虫のほたるのこと。
車胤は若いころ貧乏で、夏には蛍を集め、その光で読書したという故事から。
(35)車蛍孫雪(しゃけいそんせつ)
車胤(しゃいん)が夏の夜に蛍の光で読書し、孫康(そんこう)が冬の夜に雪に照り返された月明かりで読書した故事。苦学のたとえ。
(36)愁苦辛勤(しゅうくしんきん)
思い悩んで憂え苦しむこと。また、その苦しみ。
「愁苦」は憂え苦しむ。「辛勤」はつらくて憂い苦しむこと。また、苦労してつとめること。
(37)手足重繭(しゅそくちょうけん)
ひどく苦労すること。
「重繭」は手足にたこやまめが何度もできること。
たこやまめが何度もできるほど苦労するということから。
(38)焦唇乾舌(しょうしんかんぜつ)/乾舌焦唇(かんぜつしょうしん)
唇や舌が乾くほどに辛苦すること。大いに焦燥すること。また、大いに言い争うことのたとえ。大いに焦るさまに用いられることもある。唇が焦げ舌が乾く意から。
「唇(くちびる)を焦(こ)がし舌(した)を乾(かわ)かす」と訓読する。
「唇」は「脣」とも書く。
(39)辛苦遭逢(しんくそうほう)
非常に辛く苦しい出来事にあうこと。
「辛苦」は辛く苦しい出来事。「遭」と「逢」はどちらも遭遇するということ。
(40)辛労辛苦(しんろうしんく)
つらい目にあって、非常に苦労すること。
「辛労」「辛苦」はともに、たいへん苦しむこと。非常につらい思いをすること。
「辛労辛苦」は、「労苦」を分けて、それぞれに「辛(つらい)」を加えた語。
(41)積薪之嘆/積薪之歎(せきしんのたん)
後から来た人が重用されて、先にいた人が下の立場になって苦労する悩みのこと。
古い薪の上に新しい薪が積み重ねられていき、古い薪は下のままになっているという意味から。
(42)絶痛絶苦(ぜっつうぜっく)
非常に辛い心や体の痛み。
「絶」は程度が甚だしいこと。「痛」と「苦」はどちらも痛みや苦しみのこと。
(43)千辛万苦(せんしんばんく)
さまざまな苦労や困難をしていくこと。また、そうした苦しみ。
「千」「万」は数の多いことを示す。「辛苦」が千も万もあるという意。
(44)孫康映雪(そんこうえいせつ)
苦労して勉学に励むことのたとえ。苦学すること。
「映雪」は雪明かりで書物を照らす意。晋(しん)の孫康が雪明かりで読書したこと。車胤(しゃいん)とともに「蛍雪之功」の故事で知られる。『蒙求(もうぎゅう)』の一句。
孫康は家が貧しかったため、灯をともす油が買えず、雪を集めてその光で勉強したという故事から。
(45)昼耕夜誦(ちゅうこうやしょう)
昼間は農作業をして、夜は勉強すること。または、貧しい生活をしながらも勉学に励むこと。
「昼耕」は昼に農作業をすること。「夜誦」は夜に本を声に出して読むこと。
「昼(ひる)は耕(たがや)し夜(よる)は誦(しょう)す」と訓読する。
(46)彫心鏤骨(ちょうしんるこつ/ちょうしんろうこつ)
心に彫りつけ骨に刻み込む意で、非常に苦心して詩文などを作り上げること。また、単にたいへんな苦労をすること。
「彫心」は心に刻み込む意。「鏤骨」は骨に刻みつける意。大きな苦労のたとえ。
「心(こころ)に彫(ほ)り骨(ほね)に鏤(きざ)む」と訓読する。
(47)霑体塗足(てんたいとそく)
つらい労働の様子。からだをぬらし、足を泥まみれにして、田畑で仕事をする姿から。
「霑」はぬらすこと。「霑体」はからだをぬらす意。「塗」は泥にまみれる意。
「体(からだ)を霑(うるお)し、足(あし)に塗(ぬ)る」と訓読する。
(48)顛沛流浪(てんぱいるろう)
つまづいて倒れたり、ふらふらしながら、当てもなく歩くこと。
「顛沛」はつまづいて倒れること。「流浪」は当てもなくさまようこと。
(49)天歩艱難(てんぽかんなん)
天運に恵まれないために非常に苦労すること。または、天の運行が停滞すること。
「天歩」は天の運行。または、国家の運命のこと。「艱難」は災難や苦労という意味。
(50)塗炭之苦(とたんのくるしみ)
泥沼で泥だらけになり、炭で焼かれるような辛い苦しみのこと。
「塗」は泥や泥水。
中国の夏の桀王は暴君として有名で、桀王によって苦しめられた人々を言い表した言葉から。
(51)塗炭之民(とたんのたみ)
辛く苦しい境遇の人々のこと。
「塗炭」は泥沼と炭火のことで、泥沼にはまって炭火で焼かれるということから、非常に辛い境遇のたとえ。
(52)難行苦行(なんぎょうくぎょう)
さまざまな苦労・苦難にたえる修行のこと。転じて、ひどく苦労をすること。
仏教語。「行」はもともと仏教の修行のこと。
(53)反首抜舎(はんしゅばっしゃ)
粗末な姿で野宿すること。または、悲壮な思いで辛い生活をおくること。
「反首」は髪の毛を束ねずに、振り乱して垂らした姿。「抜舎」は野宿すること。
(54)煩悶憂苦(はんもんゆうく)
思い悩んで、苦しんでもだえること。
「煩悶」は苦しみ悩むこと。「憂苦」は心配して苦しむこと。
(55)煩労汚辱(はんろうおじょく)
面倒な苦労や恥のこと。
「煩労」は面倒で無駄な労力のこと。「汚辱」は辱めのこと。
(56)飛絮漂花(ひじょひょうか)
特に遊女などに身を落とすことをいい、女性がつらい境遇で、見込みもないまま苦労すること。
「絮」は柳の花の綿毛、「花」は女性の形容。
女性の境遇を、綿毛が風に吹かれて目的もなく漂う様子にたとえたもの。
(57)篳路藍縷(ひつろらんる)
とても苦労しながら仕事に励むこと。または、身分が低く貧しい者が様々な苦労をして難しい物事を成し遂げて、事業を始めることのたとえ。または、無駄遣いをしないように、常に気に留めて生活することのたとえ。
「篳路」は植物の柴を編んで作った、作りの粗い車。「藍縷」は破れるほど使い古した衣服。
(58)風鬟雨鬢(ふうかんうびん)
風雨にさらされて、苦労しながら仕事に励むこと。
「鬟」はまげ、「鬢」は耳のあたりの髪のびん。
髪を風にとかされ、雨に洗われるという意味から。
(59)風餐雨臥(ふうさんうが)
旅や野外の仕事の苦痛のこと。または、野宿をすること。
風に吹かれて食事をして、雨にうたれて寝るという意味から。
(60)風餐露宿(ふうさんろしゅく)
風にさらされて食事をし、露に濡れて野宿すること。転じて、旅の苦労、野宿の苦しみのたとえ。
「餐」は飲食することで、「風餐」は風に吹きさらされて食事をすること。「露宿」は露に濡れながら寝ること。野外の仕事の苦しみのたとえとしても用いる。
(61)風塵僕僕(ふうじんぼくぼく)
長い旅をして苦しむことのたとえ。または、旅で疲弊している様子。
「風塵」は風で舞い上がった塵や土ぼこりのことで、旅の最中の苦しみのたとえ。
「僕僕」は苦しむ様子。
(62)胼胝之労(へんちのろう)
非常に辛い苦労をすること。
「胼胝」は皮膚が厚く固くなるたこやひび、あかぎれ。
たこやひび、あかぎれができるほどに苦労するという意味から。
(63)悶絶躄地(もんぜつびゃくじ)
耐えられないほどにひどい苦痛のたとえ。立っていることができないほど悶え苦しんで、のたうちまわり、地面をはいずるという意。
「悶絶」は、もだえ苦しんで気絶すること。「躄」は、両足がなえて立てないこと。また、歩けないこと。「躄地」は、両足で立つことができず、地面をはいずること。
「悶絶(もんぜつ)して地(ち)を躄(いざ)る」と訓読する。
(64)粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)
穀物の一粒一粒は、農民の苦労と努力の結果実ったものであること。転じて、細かな努力を積み重ねて、たいへんな苦労をすること。