「東」を含むことわざ・慣用句・熟語

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東食西宿

1.東食西宿(とうしょくせいしゅく)

欲張ることのたとえで、「欲の深い人が、なるべく多くの利益を得ようとつとめることです。

「東家(とうか)に食して西家(せいか)に眠らん」とも言います。出典は「芸文類聚(げいもんるいじゅう)」です。

中国斉である美女が、東西二家から同時に求婚されました。東家は金持ちですが醜く、西家は貧しいですが美男子でした。「お前はどちらに嫁ぎたいか?」と母が尋ねると、この美女は「東家で食事をして、西家で床に入る」と答えたという故事です。

2.東奔西走(とうほんせいそう)

「仕事や用事のため、東へ西へとあちこち忙しく走り回ること」です。

「東行西走(とうこうせいそう)」「東走西馳(とうそうせいち)」とも言います。

3.東海(とうかい)を踏みて死す

「東海」とは、渤海湾または東シナ海のことです。韓国が主張する「日本海」のことでは決してありません。

東海に踏み込んで死ぬということで、「世の中の無道なことを憤慨して、自殺すること」です。出典は「史記」です。

中国の戦国時代、秦王が天子となって悪政をする無道の世を魯仲連が憤って言った言葉です。

4.東夷西戎(とういせいじゅう)

中国の東方や西方周辺に住んでいる異民族を、中国が蔑(さげす)んで言った言葉です。

漢民族は、中国の四方に住む異民族を「東夷」「西戎」「南蛮(なんばん)」「北狄(ほくてき)」と卑しめて呼んでいました。彼らは中国が一番偉く世界の中心であるとの唯我独尊的と言うか独善的な「中華思想」を持っています。

習近平率いる現在の中国共産党指導部による「チベット族弾圧」や「ウイグル族弾圧」もこの伝統の延長線上にあると言えます。

5.東海揚塵(とうかいようじん)

東の大海が陸地に変わって、土ぼこりが立つという意味で、「世の中の移り変わりが甚だしいことのたとえ」です。出典は「神仙伝(しんせんでん)」です。

「桑田(そうでん)変じて滄海(そうかい)と成る」と同様の意味です。「滄海桑田(そうっかいそうでん)」「滄桑の変(そうそうのへん)」とも言います。これは、「もともと桑畑であった所が、ちょっと見ぬ間に大海に変わってしまった」という意味で、「桑畑が青海原と変わり、大海が干上がって桑畑となるような世の中の激しい変化や時勢の目まぐるしい変動」を言います。

6.東岳大帝(とうがくたいてい)

中国の泰山の神で、道教で人の寿命・福禄を司る神とされています。

「泰山府君(たいざんふくん)」とも言います。

仏教と習合(しゅうごう)し、十王の一人に数えられ、閻魔王の太子とも、その書記とも言われます。

日本では素戔嗚尊(スサノオノミコト)と同一視されて、陰陽家で祀られます。

7.東家之丘(とうかのきゅう)

「人を見る目のないたとえ」、「身近にいる人の真価はわからないものだということのたとえ」です。出典は「魏志(ぎし)」です。

「東家」は東隣の家のことで、「丘」は孔子の名です。孔子の優秀さを知らず、西隣に住む人が、「東隣の丘さん」と呼んでいたという故事です。

8.東窺西望(とうきせいぼう)

「あちこちをちらちらと窺(うかが)い見ること」、また「落ち着きのない様子」のことです。

9.東西古今(とうざいここん)

「昔から今まで、あらゆる場所で」「いつでもどこでも」という意味です。

「古今東西(ここんとうざい)」と言う場合の方が多いようです。

10.東山高臥(とうざんこうが)

「俗世を避けて山野に隠れ住むこと」です。また、「高枕をして寝る、何の束縛もなく自由に暮らすこと」です。出典は「晋書(しんじょ)」です。

「東山」は中国浙江省にある山の名前です。「高臥」とは心を高潔に保つことです。

「高臥東山(こうがとうざん)」とも言います。

中国東晋の政治家謝安は若い頃から名声があり、朝廷から再三出仕の要請を受けましたが、四十過ぎまで断り続けて東山に隠遁していたという故事です。

11.東床坦腹(とうしょうたんぷく)

「娘の婿」のことです。「東牀腹坦(とうしょうふくたん)」とも言います。出典は「世説新語(せせつしんご)」です。

「床」は寝台のことで、「坦腹」は腹をむき出して悠々と仰向けに寝ることです。

「書聖」として知られる中国・晋の王羲之(おうぎし)が、婿選びの使者が来た時に、東の寝台に横になったまま腹をむき出して食事をしており、その変人ぶりから娘婿に選ばれたという故事です。

12.東岱前後(とうたいぜんご)

「人の命が儚(はかな)いものであること」です。「東黛前後」とも書きます。出典は「易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)」です。

「東岱」は中国の名山とされる泰山(山東省泰山安県にある山)のことです。古来、人が死ぬと、その魂が泰山に帰着するとされたことから、ここでは人が死ぬ意です。

「前後」は「前後不定(ぜんごふじょう)」の意で、泰山に立ち昇る煙のように、人の生死が一定しないことを言います。

13.東倒西歪(とうとうせいわい)

東に倒れ西にゆがむ意から、「物や人が倒れたり傾いたりするさま」のことです。また「人がちゃんと立っていられず、ふらふらしているさま」のことを言います。

出典は「醒世恒言(せいせいこうげん)」です。

14.東塗西抹(とうとせいまつ)

「文人が意のままに文章や絵を書き散らすこと」です。出典は「唐摭言(とうせきげん)」です。

謙遜の言葉として用いられます。もとは、女性が念入りに化粧をすることの意です。

15.東風解凍(とうふうかいとう)

春の暖かい風によって氷が解けることで、春の訪れを言います。

七十二候」の一つで、「二十四節気」の立春初候です。

16.東扶西倒(とうふせいとう)

「酔ってまっすぐに立っていられないさま」のことです。転じて「しっかりした考えがなくふらつくさま」や「事態の困難なことのたとえ」です。

出典は「朱子語類(しゅしごるい)」です。

17.東父西母(とうふせいぼ)

不老長寿の仙人のことです。出典は「正都賦(せいとのふ)」です。

「東父」は東王公のことで、「西母」は西王母のことです。どちらも中国古来の仙人で、東王公は男の仙人の頭(かしら)、西王母は女の仙人の頭とされています。

18.東男に京女(あずまおとこにきょうおんな)

「男はたくましくて粋な江戸の男、女はしとやかで優しい京の女がよい」ということです。

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