日本語の語源には面白いものがたくさんあります。
前に「国語辞典を読む楽しみ」という記事を書きましたが、語源を知ることは日本語を深く知る手掛かりにもなりますので、ぜひ気楽に楽しんでお読みください。
以前にも散発的に「日本語の面白い語源・由来」の記事をいくつか書きましたが、検索の便宜も考えて前回に引き続き、「50音順」にシリーズで、面白い言葉の意味と語源が何かをご紹介したいと思います。季語のある言葉については、例句もご紹介します。
1.白寿(はくじゅ)
「白寿」とは、「数え年で99歳。また、その祝い」のことです。
白寿は、「百」の字の一番上にある「一」を取ると「白」の字になることから、100-1で99歳を呼ぶようになりました。
白寿の祝い方は、基本的に還暦と同じですが、祝いの色は白です。
2.盤寿(ばんじゅ)
「盤寿」とは、「将棋界でいう半寿。数え年で81歳。また、その祝い」のことです。
将棋盤の桝目の数が9×9の81個あることから、将棋の世界では「半寿」のことを「盤寿」と呼ぶようになりました。
それが一般にも広まり、「半寿」の代わりに「盤寿」が用いられることもあります。
3.半寿(はんじゅ)
「半寿」とは、「数え年で81歳。また、その祝い」のことです。
半寿は、「半」の字を分解すると「八十一」になることから、81歳や81歳の祝いを呼ぶようになりました。
半寿の祝い方は、基本的に還暦と同じですが、祝いの色は米寿と同じく金茶です。
4.葉書(はがき)
「はがき」とは、「郵便葉書の略。郵便約款で定められた規格・様式に基づいた、郵便料金を示す証票が印刷された通信用紙(官製はがき)。これを基準として作られた切手を貼って出す用紙(私製はがき)」です。第二種郵便物に属します。
はがきの語源は、紙片などに書いた覚書き「端書(はしがき)」で、元来は「端書」「羽書」と書かれました。
江戸時代には、借金の督促状、仮の徴税令書、伊勢国の紙幣などを「はがき」といい、郵便制度が導入された明治以降、主に郵便葉書を指すようになりました。
漢字の「葉書」が用いられたのも明治以降のことで、一円切手の肖像となっている近代郵便制度の創設者 前島密(まえじまひそか)が採用したとされます。
「はがき」の「は」が「葉」になった由来は、別名「ハガキの木」と呼ばれ、「郵便局の木」にも指定されている「タラヨウ(多羅葉)」(下の写真)に由来します。
タラヨウの葉は、古代インドで文字を書くために用いられたり、古くは「字書柴(じかきしば)」「絵書柴(えかきしば)」「紋付柴(もんつきしば)」とも呼ばれたためです。
ただし、「葉書」の字が当てられてから、タラヨウが持ち出されたとの見方もあり、正確な由来は未詳です。
5.バッテラ
「バッテラ」とは、「しめ鯖の押し鮨。しめた鯖を鮨飯に乗せ、棒状にして竹の皮で包んだり、箱型に入れたりしたもの」です。
バッテラの語源は、ポルトガル語で小舟を意味する「bateira(バッテイラ)」。
明治26年(1893年)頃、大阪順慶町の鮨屋がコノシロの片身を鮨に乗せた形が、小舟に似ていたため「バッテラ」と名付けられました。
これが鯖寿司に応用され、次第にしめ鯖の押し鮨を「バッテラ」と呼ぶようになりました。
江戸時代の文献にも「バッテラ」や「バッテイラ」の語は見られますが、「小舟」の意味以外では用いられていません。
6.半纏/半天/袢纏(はんてん)
「半纏」とは、「羽織を簡略化した丈の短い上着」です。胸紐をつけず細身の帯で締めます。
半纏は、袖の丈が半分程度しかないため「半丁(はんてん)」と名付けられ、「まとう」を意味する「纏」が当てられ「半纏」になったといわれます。
しかし、「纏」の字を「てん」と読むのは、「半纏」以外に仏教用語で「煩悩」を意味する場合だけであることから、「煩悩」の意味に関連するといった見方もあります。
「半天」と書くのは、音からの当て字です。
「袢纏(袢天)」の「袢」は、肌着などの意味をもつ漢字で、着る物を表すために当てられたと考えられます。
7.葉月(はづき)
「葉月」とは、「旧暦8月の異称」です。
葉月の語源は、新暦では9月上旬から10月上旬の秋にあたるため、葉の落ちる月の意味で、「葉落ち月」が転じて「葉月」になったとする説。
北方から初めて雁が来る月なので、「初来月」「初月」から「葉月」になったとする説。
稲の穂が張る月「穂張り月」「張り月」から、「葉月」になったとする説があります。
「葉落ち月」の説が有力にも思えますが、必ずしも漢字がそのまま残るとは限らず、当て字の可能性もあるため、正確な語源は未詳です。
8.パウンドケーキ
「パウンドケーキ」とは、バター・砂糖・卵・小麦粉などを混ぜ合わせて焼いたカステラ風洋菓子」です。
パウンドケーキの「パウンド」は、質量を表す単位のオランダ語「ポンド」と同じ、453.59グラムのことです。
パウンドケーキは、材料となるバター・砂糖・卵・小麦粉などを、1ポンドずつ使ったことからこの名前がつきました。