<2024/6/10追記>中国製電気自動車(EV)の炎上事故が多発
最近、電気自動車の炎上事故が相次いでいます。これにより、電気自動車(EV)の安全性に対する懸念が高まっています。炎上事故の原因は、バッテリーの過熱やショートなどが考えられ、炎上した場合の消火方法も従来のガソリン車とは異なるため、対応に苦慮する場合もあります。
中国の緊急事態管理部門によると、中国での電気自動車 (EV) の火災事故の数は、2022年の第1四半期に前年同期に比べて32%増加しました。
同部門は、2022年の第1四半期に合計640件のEV火災事故が発生し、毎日平均7件の事故が発生したと報告しています。
2023年1月31日に日本で販売を始めた中国の大手電気自動車(EV)メーカー・BYD(比亜迪)の周辺がにわかに騒がしくなりました。日本に納品実績のあるEVバスに六価クロムを含有した溶剤が使用されていることが発覚したためです。
ボルトやナットなどに使用される六価クロムは、金属表面の腐食を防ぐ特性がある一方で人体には有毒で、欧州では使用が禁止されています。日本では法的な規制はないですが、日本自動車工業会(自工会)が自主規制を呼びかけています。
BYDの安全性に対する懸念は、これだけではありません」。中国でバッテリーが自然発火して火災を起こす事故が多発しているのです。
台湾メディア『T客邦』が2022年9月6日に報じたところによると、4ヵ月の間に実に13台もの火災事故が発生しているとのことです。特に昨年6月には、6日に湖北省武漢市、広東省佛山市、 広西チワン族自治区貴港市で相次いでバッテリーが発火する事故が発生。12日には広東省珠海市で停車中のEVが炎上しています。
<2024/5/23追記>中国製EVに補助金支給は税金の無駄遣いの愚策
2023年初来、世界の自動車市場でEVの販売増加が鮮明です。トップは、中国のEVメーカー“比亜迪(BYD)”、2位は米国の“テスラ”で、2社によるトップ争いは熾烈です。吉利汽車(ジーリー)や広州汽車集団の“AION(アイオン、旧広汽新能源)”などの中国企業も高シェアを獲得しました。わが国の自動車メーカーはEVシェア争いの上位に食い込めていません。
世界のEV市場における勝負は、ほぼ決まりつつあるといっても過言ではありませんん。
BYDなど中国勢の価格競争力、新モデルの投入のスピードには目を見張るものがあります。それを支える要因として、習政権の産業補助金政策などの影響は重要です。
そうした中国メーカーの台頭に対して、今後、各国から反発が出ることが予想されます。欧州委員会は、米国のように中国製EVに制裁関税をかけることを検討するようです。EVをめぐる貿易摩擦は激化しそうです。
一方、わが国は、中国製EVにまで販売補助金を出しています。中国EVメーカーの急速なシェア拡大にどう対応するか、国内のEV産業をどう育成するか、わが国として真剣に検討することが必要です。
少なくとも、中国製EVの販売を手助けするような補助金支給は、税金の無駄遣いの愚策です。
<2024/2/16追記>「EV所有者が悲鳴、フェリーの乗船制限で予定通り帰宅できず=港周辺は大渋滞―中国・海南省」
中国メディアの紅星新聞は2月15日、春節(旧正月)休みに海南省を訪れた電気自動車(EV)の所有者が困難に陥っていると報道しました。
記事によると、同省海口市の3つの港では連日1万5000~2万台の自動車が対岸に向かうフェリーを利用しています。今年は渋滞を避けるため、出港3時間以内の車両のみ進入を許可してますが、実際には多くの車が乗り遅れを恐れて事前に港の外で列を作っています。待ち時間は5時間以上になることもあり、一部のEVはさらに長くなるケースもあるそうです。
浙江省から海南省にEVで旅行に来ていた蘇さんは、「来る時も3時間以上並んだが、帰りには乗船券がさらに入手困難になると思って早めにプラットフォームをチェックし、15日の分を購入することができた」と説明。「午前4時には港の外で待機して、正午にやっと乗船した。ガソリン車は次々乗船していくが仕方がない。1隻のフェリーにEVは18台までと決められているから」と語っています。
昨年12月に海南省の交通運輸部と海事局が発表した輸送ガイドラインでは、「新エネルギー車(EV)の車両は乗船後に指定された専用エリアに集中的に駐車しなければならず、1便当たりの積載台数は総量の10%、かつ18台を超えてはならない」と定められているということです。
EVのフェリーへの乗船台数が制限されていることについて、運輸会社の従業員は「直射日光で高温になったり、充電が不適切だったりした場合には発火などの事故を起こしやすい。ひとたび発火すれば船舶を深刻に破壊しかねず、乗船者の生命と安全を脅かすことになる」と説明しています。
これも電気自動車(EV)の思わぬ落とし穴と言えますね。
<2021/7/20追記>EUの「2035年にHV販売禁止」の狙いは「日系メーカー潰し」
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は7月14日、気候変動対策に関する包括的な法案の政策文書(コミュニケ)を発表しました。
とりわけ日本の報道で注目されたのが、「2035年までにEU域内の新車供給をゼロエミッション車(温室効果ガスを排出しない自動車)に限定する」という野心的な方針です。
日本の自動車メーカーにとって大問題なのは、トヨタ自動車など「日系メーカーが得意とするハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)は、このゼロエミッション車から除外される」という点です。
つまりEUは2035年以降、いわゆる電気自動車(EV、正確にはBEVと呼ばれる二次電池式電気自動車)と燃料電池車(FCV)しか新車登録を認めないという考えを鮮明にしたわけです。
これは「気候変動対策」に名を借りた「日本叩き」にほかなりません。
しかし、電気自動車(EV、正確にはBEV)と燃料電池車(FCV)には、以下に述べるようにデメリット(弱点)もあります。
ガソリン車は徐々に減らしていくとしても、日本が得意とするハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も残していくのが安全を担保するためには不可欠だと私は思います。
2021年1月20日に就任したバイデン大統領は、トランプ大統領が脱退した「パリ協定」(地球温暖化対策の国際的枠組み)に直ちに復帰しました。
日本を含めて世界の一般的な受け止めは「歓迎」ですが、私は「温暖化対策」全般を含めて疑問があります。
なぜ疑問かと言うと、いくら日本を含む先進国がわずかの効果しか望めない「温暖化対策」を巨額の費用を投じて行っても、エネルギー生産の倍増を目指すアフリカなどの開発途上国が今後CO2の排出をどんどん増大させるからです。中国も大気汚染が深刻なほど大量のCO2を排出し続けています。
たとえ「温暖化対策」が必要だとしても、これでは「穴の開いたバケツに、いくら一生懸命に水を入れても水が貯まらない」のと同じことです。
1.電気自動車のメリットとデメリット
(1)メリット
①減税や補助金がある
「クリーンエネルギー自動車補助金」「グリーン化特例」「エコカー補助金」などがありますが、これも国民の税金から支出されているものです。
②燃費が安い
③排気ガスが出ないので、環境に優しい
④音が静か
(2)デメリット
①車両価格が高すぎる
②充電時間が長すぎる
③充電スタンドが整備されていない
④連続走行距離が短かすぎる
上の③と④の理由から、電気自動車が多くなると、充電切れで動けなくなる車が続出するのではないかと心配です。町中なら、JAFを呼べば短時間で来てくれるかもしれませんが、山道や人里離れた田舎では立ち往生する時間も多くなるのではないでしょうか?
寒い冬だと、「電気自動車の充電切れで凍死」という事態も起きかねません。
⑤豪雪で高速道路で多数の車が動けなくなった場合の対応能力に疑問がある
昨年12月に関越道で起きたように、急激な豪雪のために高速道路で長時間多数の車が動けなくなり燃料切れになった場合、「ガソリン車」であれば、ガソリンを給油すれば対応できますが、「電気自動車」の場合、除雪が終わっても復旧に相当時間がかかるのではないでしょうか?
最悪の場合、「電気自動車」は「急速充電車」を呼ぶかレッカー車で充電ステーションに運ぶしかないのではないかと思います。
⑥充電するための電力供給が不足し「大規模停電」が起きる可能性
電気自動車はCO2を出さないと言っても、化石燃料を直接内燃機関で燃やすガソリン車よりも、CO2を出す発電所から長い距離を送電して充電してから利用するものであり、「化石燃料の効率の悪い使い方」とも言えます。
現状では、日本が得意とする「ハイブリッド車」を引き続き全世界に普及させるのに注力するのが現実的だと思います。「電気自動車」で欧米の後追いをするのは得策ではありません。
「オール電化」が停電時に全く無力なように、「電気自動車」は電気が切れると全く役に立たず大変脆いものです。
2.「2035年までに純ガソリン車の新車販売禁止」政策とは
2020年12月25日に政府の「経済財政諮問会議」のもとにある「成長戦略会議」が、2020年10月に菅首相が宣言した「2050年カーボンニュートラル」に基づいて、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を採択しました。
その中で、気候変動緩和を「成長の機会と捉える時代」になったと位置付け、「変革のロードマップ」を示しました。自動車・蓄電池(バッテリー)産業については以下のように明記されました。
自動車は、電動化を推進する。欧州の一部の国やカリフォルニア州ではガソリン車の販売の禁止が相次いで打ち出されるなど、自動車の電動化は、想像以上のペースで進んでいる。日本は、この分野でのリーダーを目指さなければならない。
遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車)100%を実現できるよう、包括的な措置を講じる。商用車についても、乗用車に準じて2021年夏までに検討を進める。
この10年間は電気自動車の導入を強力に進め、電池をはじめ、世界をリードする産業サプライチェーンとモビリティ社会を構築する。この際、特に軽自動車や商用車等の、電気自動車や燃料電池自動車への転換について、特段の対策を講じていく。
こうした取組やエネルギーのカーボンニュートラル化の取組を通じて、カーボンニュートラルに向けた多様な選択肢を追求し、2050年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指す。
CO2排出削減と移動の活性化が同時に実現できるよう、車の使い方の変革による地域の移動課題の解決にも取り組む。ユーザーの行動変容や電動化に対応した新たなサービス・インフラの社会実装を加速する。
また、蓄電池は、自動車の電動化や再生可能エネルギーの普及に必要となる調整力のカーボンフリー化の要である。研究開発・実証・設備投資支援、制度的枠組みの検討、標準化に向けた国際連携といった政策により、蓄電池の産業競争力強化を図る。
2030年までのできるだけ早期に、電気自動車とガソリン車の経済性が同等となる車載用の電池パック価格1万円/kWh以下、太陽併設型の家庭用蓄電池が経済性を持つシステム価格7万円/kWh以下(工事費込み)を目指す。
また、2030年以降、更なる蓄電池性能の向上が期待される次世代電池の実用化を目指す。具体的には、まずは全固体リチウムイオン電池の本格実用化、2035年頃に革新型電池(フッ化物電池・亜鉛負極電池等)の実用化を目指す。(出典:経済産業省・2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略)
3.「2035年までに純ガソリン車の新車販売禁止」政策への疑問
(1)欧米の電動化の後追いをする必然性・必要性はない
欧米で「電気自動車」が一般化して来ているからと言って、日本も同様の道を歩む必然性も必要性もありません。
ひところビジネスの世界でも「グローバルスタンダード」と称して欧米のマネをすることが流行しましたが、「国際社会の波に乗り遅れるな」とばかりに「温暖化対策」や「脱炭素化政策」を性急に推進するのはどうかと思います。
(2)急激かつ拙速な「電動化政策」は日本の自動車産業や石油産業への悪影響が大きい
日本の自動車産業は多くの下請け中小企業を含む巨大産業です。「電気自動車」へ急激に舵を切ると、これらの自動車産業集団に多大な影響があり、壊滅的な打撃を受ける恐れもあります。
2020年7月からは意味の分からない「レジ袋有料化」も始まりましたが、石油産業への影響も大きいと思います。ただし皮肉なことにコロナ禍の影響で、テイクアウトが増えてプラスチック容器の使用が増えたり、飛沫防止のためのビニールやプラスチックの仕切りが急増しています。
(3)電動化するとしても日本の電動化対応状況に合わせて漸進的にやるべき
菅首相は「功を焦っている」のか「パフォーマンス好き」なのか、「カーボンニュートラル」や「自動車電動化」にしても「デジタル化」にしても性急過ぎるように見えます。
入念にきちんとした「態勢整備」をして、国民の受け入れ態勢が整ってから徐々に進めるべきものです。そうしないといたずらに国民を混乱させるだけでなく、不要な負担を強いたり、無駄な手間をかけさせることになります。
(4)そもそも「温暖化対策」「脱炭素化対策」に疑問がある
「海洋プラスチックごみ問題」もそうですが、「温暖化対策」や「脱炭素化対策」も、日本はその幻想的な理念(「ドグマ」とも呼ぶべきもの)に幻惑され、呪縛に陥って莫大な税金の無駄遣いをしているように思います。
諸外国はしたたかに自国の利益を優先的に考えており、日本は「正直者が馬鹿を見る」結果にならないか心配です。