「コピーライター」と言えば、私のような団塊世代には糸井重里氏(1948年~ )の名前がまず頭に浮かびます。ちなみに奥さんは、私の好きな女優の樋口可南子さんです。
彼のキャッチコピーには次のようなものがありました。
「君にクラクラ。」(カネボウ化粧品)「くうねるあそぶ。」(日産自動車・セフィーロ)「ロマンチックが、したいなぁ。」(サントリー・レッド)
1.橋口幸生氏の「言葉ダイエット」
ところで、最近電通の名物コピーライターの橋口幸生氏が「言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術」という面白い本を出版しました。
今回はこの「言葉ダイエット」という本の内容をご紹介します。コンセプトは「ダラダラ文章にサヨナラ、修飾語オフで文章筋肉質に」ということのようです。
2.書くこととは
彼は「書くこととは、書き連ねることより『消すこと』である」と説いています。
これは、「相手は自分の文章が読みたくない」という前提で考えると納得の行く話です。
3.「言葉ダイエット」でのNG事項
(1)抽象的な表現はNG
(2)修飾語の乱発はNG
(3)カタカナ語はNG
(4)重複表現はNG
(5)過剰な敬語はNG
(6)用語の定義は正確に、あいまいはNG
(7)「この」「その」連発はNG
(8)記号の使い方は統一を
(9)読点の連発はNG
(10)文末表現の重複はNG
4.「言葉ダイエット」で注意すべきポイント
(1)一つの文は40字以内にすること
(2)一つの文に発見を入れること
①客観的な発見:データやファクツ
②主観的な発見:自己の経験などに基づくもの
5.「言葉ダイエット」の手順
(1)広げる
(2)分ける
(3)選ぶ
(4)仕上げる
確かに、書店にあふれる沢山の本を立ち読みしていると、「結論として何を言いたいのかさっぱりわからない本」や「大予測と銘打ちながら、曖昧な予測に終始している本」などがやたらに目につきます。
「結論として何を言いたいのかさっぱりわからない本」の著者は、多分自分でも結論がよくわからないのだと思います。「大予測と銘打ちながら、曖昧な予測に終始している本」は、いろいろな可能性を挙げて、前提条件が狂えば予測は外れることの予防線を張って「予測が外れた場合の批判をかわせる保険をかけている」ように見えます。
橋口幸生氏の「言葉ダイエット」は、「読みたいことを、書けばいい。」の著者田中泰延氏の主張と本質的によく似ています。田中泰延氏も元電通のコピーライターです。
また福沢諭吉は「サルでもわかる文章を書け」と諭しています。「文章を難解にしてわかりにくくするよりも、誰にでもわかるような平易な文章を書くのがベスト」という考え方ですが、この「言葉ダイエット」に通じるものがあるように思います。
言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術 [ 橋口幸生 ]